ハーバーランドの門をくぐる
こんばんは、すらいむ[N]です。
ではどうぞ!
ガレッドとの二人旅、目指す場所は、あの村から一番近くにある国ハーバーランドだ。
ガレッドによると王守護騎士団があると言う。
他にも未開の地が北に広く開かれているということから魔物に対する設備も整っているらしい。
俺は、旅に出てすぐにこの世界について教えて貰った。
ガレッドは旅の時に使っていたと言う世界地図を広げながら詳細に説明してくれた。
地図によるとどうやら俺が現れた森は、未開の地の中だったらしい。
あの村も未開の地の近くだったが、何故か魔物が現れなかったとガレッドは不思議そうに言っていた。
ガレッドはあの村の近くから良い鉱石が採れることから居を構えたという。
遥か南には様々な町や国があるらしく、この世界は人々の住む場所をぐるりと囲む様に未開の地が広がっているらしい。
魔物の勢力図は東西南北に別れており、その中でも細かくあるようで、その対策として各地に騎士団が結成されている。
騎士団にも種類が多いという。
俺達はとりあえず未開の地に入らないようにハーバーランドを目指す。
村から繋がる道を早足に進む。
いくら近い国といっても3日はかかる。
道中、魔物が現れることは多々あったが、それほど強くはなく簡単に倒せる相手だった。
夜は薪火を一晩中灯し、俺は剣を傍において横になり、ガレッドは簡易の炉を組み立てて、俺の聖剣を鍛えてくれていた。
3日後、俺達は分厚い鉄でできた城門の前に着いた。
入り口には武装した兵士が二人、どうやら門番のようだ。
「ここはハーバーランドの国だ。旅の者とお見受けする。入国証は持っているか?」
門番の一人が口を開く。前の世界では門番などやる気がなく、誰が通っても気になどしなかった。こことは大違いだ。
「いや、持ってない。持ってなかったら通してはくれないのだろうか?」
ガレッドが聞き返す。
「いや、そんなことはない。少し手続きが面倒になるだけだ。ではこちらへ来ていただこう。」
俺とガレッドは城門の隣に設置されている小屋へと連れていかれる。
中には更に2人の武装した兵士が待機しており、門番の一人が書類とペンを俺とガレッドの前においた。
「ここに出身国と職業を書いてくれ。そしてこの国に来た理由も聞かせてもらう。」
ガレッドはすらすらと書類に記入していく。
だが俺には出身国というものがない。そして職業もこれといってない。勇者と言う訳にもいかない。
「もしかしてどの国に入るときもこのような事をしなくてはならないのだろうか?」
俺は門番に聞いてみる。
「いや、最近この国に闇騎士と名乗る殺人者が現れたのだ。最高の騎士の称号である聖騎士を真似たのかは知らぬが迷惑なことだ。魔物の活動も活発になってきている時に・・・。だから一応検問を行っているのだ。」
「質問だがこの世界に『勇者』と呼ばれる人間はいるか?」
「!?」
小屋の中が一瞬沈黙に包まれた。
「お前・・・勇者様を知らないのか?」
一番最初に口を開いたのはガレッドだった。
「お前は一体どこから来たんだ?」
続いて門番が口を開く。
まさか地下の世界から来た、なんて言えるはずがない。
「勇者様と言ったら全ての騎士を率いるお方だぜ!」
「たしか今は各地を一人で旅しているらしいな。というか俺顔見たことないんだよな。」
兵士2人が会話を交わす。
「勇者様は兄弟がいるらしいが兄の方は幼い頃に亡くなったそうだ。」
よく見れば門番が一番の老年のようだ。
「とりあえず見た目は放浪騎士のようだからアンタはそう書いておいてくれ。横の親父さんは鍛冶道具を持っているところから鍛冶職人かな。」
俺は紙に出身国を不明と書き、職業は放浪騎士と書いた。
「ぐうっ!!」
突然門の方から声がした。
とっさに城門の方を見るともう一人の門番が
紺のコートに身を包んだ人間の剣に貫かれている。
「何をしているッ!」
門番が動くより早く、俺は雷撃の呪文を細く鋭くして紺のコートの人間へと放った。
「ぐあっ!!」
雷撃は紺のコートの人間に当たった。
紺のコートの人間は体を震わせ、そのまま力が抜けたように地面へ倒れこんだ。
門番と兵士2人とガレッドが倒れている2人の元へと駆け寄った。
「・・・闇騎士だ。まだ若いじゃないか。」
どうやら闇騎士と呼ばれていたのはまだ若い男のようだ。
「しっかりしろ!!今薬草を・・・!」
兵士は門番の脇腹に深々と刺さっているナイフを抜きながら薬草を刷り込んだ。
「ぐううっ!」
痛そうな呻き声をあげる。
「俺も手伝おう。」
ガレッドが回復呪文で手助けをする。
「旅の騎士、感謝する。是非後程城へ来ていただきたい。王にも伝えておこう。」
「わかった。中に入らせてもらえるんだな?」
「勿論だ!国の敵を捕まえてくれた恩人だ、好きに通ってくれ。これからは通行証も要らないからな。」
そう言うと、門番は闇騎士を連れて国へと入っていった。
ガレッド達の方も峠は越していた。
ナイフは無事に取れ、回復呪文によりそれほど出血もなく傷が塞がろうとしていた。
「ありがとう、とても助かった。後は目を覚ますだけだから城の救護所へ連れていこうと思う。良ければ後から来てくれ。」
「勿論だ。」
やっとハーバーランドへと入る。
旅は旅でも地下世界の旅とは違うなと心から思う。
人々の温もりを感じる良い世界だ。
そして俺とガレッドは城門をくぐった。
いかがでしたか?
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ではまた!




