森の村と王女
こんばんは、すらいむ[N]です。
今回は短編小説の続きとなっています。
短編小説の方も読んでみてください。
ではどうぞ!
俺は昨日、母国を滅ぼした。
城の兵士や大臣、友達や家族を切り刻んだ俺の剣は血で赤く染まっている。
かつては「勇者の剣」と呼ばれた最強の聖剣も今では人を殺した魔剣に成り下がった。
本当にこれで良かったのか、この選択は正しかったのか。
正しかった、俺は間違っていない。もはやそう信じる他ない。
そして俺は次の場所へと向かう。
次の場所は森の中にある小さな村だ。魔王を倒しに旅立ち、最初に立ち寄った村てもある。
温泉に浸かって魔物たちとの戦いの傷を癒したのを思い出す。他にも隠されていた道具もあった。
村へと向かっているとスライムが一匹現れた。
最初は一撃で倒れなかったスライムも今では戦う相手にすらならない。
俺の魔剣の一振りでスライムは粉々にくだけ散る。
青い破片が辺りに飛び散る。
癖なのかスライムが落とした金を拾い、村へと歩みを進める。
しばらく歩くと、大きな森が見えてきた。あの時はまさかこの大きな森の中に村があるとは思わなかった。
村に入ると、前に来たときと変わらぬ景色が広がっていた。
村をぽんやりと眺めていると入り口に立っている案内役であろう青年と目があった。
「・・勇者か。今さらこの村になんの用だよ。用がないのなら帰ってくれ」
どの町でも言われる言葉だ。
今までは我慢していたがもうその必要はない。剣をスラリと抜き、青年の頭に振り下ろす。
ズルッ
魔物の硬い皮膚を斬るために鍛えられた剣が人を切れないわけがない。
青年は白目を剥きながら地面に倒れた。
爽快。今まで心の奥に押し込めていたものが解放されていく。
「キャーーー!」
井戸で水を汲んでいた女が叫ぶ。
先程の青年が言うようにこの村に用はない。ただ眺めたかっただけだ。
俺が勇者だったことを現す雷撃の呪文を唱えた。空に黒雲が集まり、大きな稲光が村を包む。
一瞬で村から人の声が消えた。
俺は黒く焦げた村を一通り見歩いた後、歩くのに飽き、移動呪文を唱えた。
移動先はとある洞窟の入り口。
俺が旅立って最初の強敵に出会った場所だ。
あぁ、そうだったな。
俺は思い出す。
俺の最初の目的は王女を助けることだった。王女を助けた後、魔王を倒すよう言われたのだ。
確か王女を助けたとき、王女の愛を受け取った。
だがそんなもの俺には必要なかった。その上、真か偽かも不確かだ。
俺なら幾度かしか顔の会わせたことのない、ただの旅人に命を救われたからと言って、感謝こそあれ、好意は抱かないだろう。
他にも理由はある。
王女は城に帰るまで一度も地に足を着かなかったのだ。
王女を連れ去っていたドラゴンを死闘の末倒した俺に、王女は「城まで抱えろ」と言い出した。
瀕死の俺は王女の言葉を聞き、なんとか城まで抱えて連れ帰った。
そんな俺に当たり前のような顔をして礼も言わずに玉座に座る王女、そして休む暇もなく王は魔王討伐の命令を下した。
そんな過去の残る洞窟を歩く。暗闇でなにも見えないが、人の気配があった。
そういえば城を滅ぼしたとき、王女の姿を見ていない。
まさかと思い、ドラゴンのいたところまで進む。
すると小さな部屋から泣いている声が聞こえた。勢いよくドアを開けると、そこには王女がいた。
「あなたは・ ・ ・」
喋りかけた王女の首に俺は剣を突きつける。
「まさか城から逃げていたとはな、気づかなかった」
「お城の兵士が逃がしてくれたのです。その後持っていた聖水を使ってここまでたどり着いたのです」
「なるほどな、俺は抱えて城まで送ってやったのにな。ここまで足で来れるんだな。」
「あれは・・・」
「あれは?」
「ぅぅ・・・。」
ザシュッ!!
俺は王女の首筋を深く切った。
「ゴボゴボゴボゴボッ!」
口と首の切り口からは赤い血が溢れだし、暗い部屋の中を赤く染めた。
血の中に沈む王女の死骸を見つめながら俺は脱出呪文を唱えた。
洞窟の外に出た俺は外の空気をしっかり吸い込んだ。
そして俺は晴れることのない心の闇を抱え、次の地へと向かった。
どうでしたか。
王女を出したいな、と思っていたのですが、短編の方に、魔王の元まで行っている と書いてしまったので無理やり登場させました。
不自然なところがありましたらご指摘くださればありがたいです。
その他、感想やコメントお待ちしてます!




