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第七話  アウデリア

「ところでロセスさんにエステルさん」


「どうした?」


「なに?」


「どうしてそう人前でいちゃつけますかね。見てるこっちが恥ずかしいわっ!」



あれからひと時も離れようとしない二人。それどころかあんなことやこんなことまでっ


捕えられてたからしょうがないのかもしれないけど、限度ってものがあるだろ?


正直言います、とってもうらやましいです。ロセスが。


俺だってあんな美人といちゃいちゃしたい!!



「え、お、す、すまない」


「ご、ごめんねソフィアちゃん。……うらやましい?」






はい?


「んなわけないでしょ!?」


「またまた~。ソフィアちゃんのもとに行ったときのロセスはかっこよかったんだから、お熱になるのもしょうがないもの。で・も、いくらソフィアちゃんがかわいいからって、私の旦那様は渡さないんだから!」


「おいおいエステル……」



ロセスに抱きつくエステルと、まんざらでもないロセス。







……あぁうぜぇ

はやくつかないかなー……




いちゃいちゃに耐え続け約二時間、ようやく町の南門についた。


「あーやっとついたぁ、ここまで耐えた俺を誰かほめてほしいよ……。あ、そういやこの町なんて言うんだ?」


「ああ、ここはアウデリア。商人で賑わう自治都市だ」


「商人たちは宗教も商売相手なのよね。だから聖樹教の影響は薄いはずよ」


聖樹教は俺には関係ないだろう、たぶん。追われるとしたらゼノーシス国だしね。


「それとここはどの国からも割と遠いところにあるから、ソフィーも大丈夫よ」


「お前はエスパーかっ」


「ん、えす?」


「わり、なんでもないっす」


そういえばなんで俺こっちの言葉喋れてるんだろ。気づいたら喋れてたからな~。


……なんかすごく大切なことのような気がするけど……。


まぁいいよね、喋れるのはいいことだし!


「おーい、おまえらちょっと止まってくれ!」


現実逃避をしてたところで、軽装備した男が近寄ってきた。きっと門番だろう。


……だって首から「門番」って書いてある札下げてるし。この世界の住人はなんで名前を書きたがるんだよ!



「あぁ、これは息子に作ってもらってね。今年で5歳になるんだ」



あぁそうですか。幸せなんですね。それほど治安がいいってことか?



「見たところ親子みたいだが、旅行か?」


「親子っ「あぁ、三人で旅をしていてね。世界中をまわっているんだ。な、ソフィー?」……そうだな父さん」


「そうなんです、私たち親子で旅してるんです。そうよねソフィー?」


「ああそうだね母さん!」



なぜにそんなに目を輝かせるエステル。


(お母さんって言われてみたかったのよ)


(だったら早く子供作れよ)


(まぁソフィーったら)



赤くなってくねくねしだしたよこの人。頭が残念な人みたいだ。てか残念だ。


「ずいぶんと仲が良いようですね。そして奥様も娘さんも美しい。うらやましいですなっ」


「はは、私の宝物ですよ」



あっちはなんか盛り上がってるし。なんだかなぁ……


「なぁ、早く町に入りたいんだけど。もう疲れたよ」


「ん、ああすまないな、お嬢さん。じゃあ悪いけどここに名前書いてくれ」



ソフィア・マーゼナスっと。一応ロセスたちと同じにしておいた。癪だけどなっ!



「はい、では確かに。ようこそアウデリアへ!」



町は活気にあふれ、商人たちの声がやかましい。



「やかましいはひどくないか?」


「んなことより、これからどうすんだ? 俺はギルドに行きたいんだけど」



とりあえず宿屋に向かった俺たちは、おかみさんに1ヶ月分のお金を払い、部屋に案内してもらった。



ここは一階が酒場、2階が寝室となっている。もともとは酒場だけだったが、近年冒険者が増えてきたため、宿屋を始めたそうだ。


「酔いつぶれるやつが増えてきてねぇ。追い出すより泊らせて金取ってやろうと思ったのさあっはっはっは!」



と豪語するおかみさん。なんというたくましさ……っ!








「なぜギルドなんだ? 金は私たちがだすぞ?」



二部屋とり、俺一部屋、ロセスとエステルで一部屋にした。俺が駄々こねたんだけどね。


そして今はロセスたちの部屋にいる。今後の方針を決めているんだ。



「いつまでもロセスたちにおんぶだっこは嫌だし、俺も強くなりたいからだよ」



人が死ぬところなんてもう見たくない。たとえそれが偽善であったとしても。




ここでちょっとギルドについて説明しとこう。ん?なんで知ってるのかって?そりゃあジルさんに教えてもらったからだよ、明星亭のマスターの。また会うことはあるんだろうか……



えーっと、そのまえに魔物について。どうやら俺たち兄妹は魔物を知らされてなかったらしい、というか隠されてた(俺は魔物は完璧にネタだと思ってた……)。たぶんロク兄あたりが「ちょっと魔物倒してくるわ」とかいいそうだからに違いない。たしかアリーゼさんにも喧嘩売ったんだっけ、王国一強いからって理由で。





……好戦的だったんだなー、あのばか。






話がそれたけど、魔物は昔ほど強くはないが、逆に種類は増えたんだと。理由は世界に散らばった世界樹の種、かな?よくわからんけど。



んで、ギルドってのは主に魔物の討伐なんだそうだ(これはロセスに聞いた。ジルさんの店ではめったに魔物の話なんて出なかったからな)




上から順にS>A>B>C>D>Eランクあって、それ相応に任務が難しくなる。Sランクまでいった人はまだ世界で5人しかいないらしい。しかもその人たちはみな英雄とか呼ばれてるんだって。かっけぇ…




あ、もちろん討伐以外の任務もちゃんとあって(むしろこっちのほうが多いような気がしたんだが)、護衛や荷物運びといった町の人や旅商人たちの依頼まである。これが多かったジルさんのところは地域密着型だったんですねきっと。




あれ、そういやお金とか任務達成したあとのこととか聞いてなかったんじゃね?

まぁいいや、それはこの町のギルド行ってからにしよう。




「そうか、分かった。だが無理するなよ」


「そうよ、なんて言ってもソフィーは13歳の女の子なんですからね」


「ああ分かってるよ。身の丈に合うことしかしねーよ」



中身は男子高校生のままだけどな。




はい、

ということでとりあえず町に出てみました。


ギルド探そうと思ったんだが……









……なんかものすごーい見られてる。通りすぎる人たちが振りかえってまで俺を見る。




なんだ一体どうしたんだ、俺は何もしてないぞってまさか俺が王女だってことばれたのか!?




いやそれはないはずだ。だってさっき「あの娘は誰だ……」って耳にしたからな。

そして「すごいかわいい」とも。



っ!そうだ、今の俺は美少女なんだ!


ちょっとまて引かないでくれ、うぬぼれなんかじゃないんだ!……ちょっとははいってるけど。


でもゼノーシス国じゃ俺は世界3大美女の一人に入れられていたらしい。ほかの二人は知らんけど。


なるほどそれじゃあ目立つはずだ。とりあえず逃げよう。



っていって入った裏路地がまずかった。



ただいま三人の恐いお兄さんたちに囲まれています。なんだこのテンプレは……



「こんなところでなにやってるのかな~お嬢ちゃん」


「こわーいお兄ちゃんたちに連れてかれちゃうよ~?」


「しかし、稀にみる上玉だな。これはものすごく高くなるな……」



ぐへへへっておいおいマジかよ。こんなやつらがリアルに存在するとは思わなかったよ。


どうする、やっちまうか?でもここで暴れたらかなり目立つからなー。


さて、どうすっか。


「おいおい恐くて声もでないのか?」


「安心しなよ、すーぐ楽になるからね?」



……決めた、やっちまおう。こいつらみたいなのは消すしかねーだろ。


と思って魔力をためようとしたら。








「おい、そこらへんで止めてやれ」








と俺の後ろから声がした。



「んだてめーは」


「っておい、あいつは……」


「シン・マックール!」



……なにこれわざとやってんの?ネタにしかみえないんだが。



「い、いくらあんたでもこいつを譲るわけにはいかねーな」


「そうか。じゃ、遠慮はいらねえな」


「く、くそ、いつか殺してやる!」


「ああ、いつでもこい」



べたな捨て台詞をはいて逃げだす三人と、それを静かに見送るシンと呼ばれた男。名前を聞いただけであんなにビビるなんて、こいつ何者だ?



っと、そうだ、一応助けられた、みたいだな。


「あ、あの、ありがとう……」



と言い終わるまえに、男はこっちを向いた。



「こんなとこにのこのこ出てくんじゃねーよ。最近はああいう輩が増えてんだ」


「そ、そんなのしらねーよ、俺は初めてこの町に来たんだ!」


「ふん、だったら今回で分かったはずだ。もう二度と近づくんじゃねーぞ、わかったな?」



「わ、分かったよ。でもなんで助けてくれたんだ?」





「ん? 気紛れだ」


そういって、男は通路の奥へと消えていった。







いったいなんだっつんだよ……

またやっちまった感が……


ちなみにフラグは立ちません。たぶん。




ちなみに魔物に関しては前の話みてものすごく矛盾があったので説明加えてみました。すごーく焦った……



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