第五話 魔物
祝一万PV突破!そしてずいぶん遅れました!
ところで、世界樹が封印されたあと、魔物たちはどうしたかっていうと、じつは行方不明らしい。
大半は巫女さんに滅ぼされたらしいんだが、逃げていくやつも何匹か見かけたそうだ。
んでこの300年間は誰も見てないんだと。
もう全滅しててもおかしくないと思うんだけど……
「……これ、どっからどう見ても魔物だよなぁ」
牢屋の柵をがじがじ噛んでる、なんかカエルとライオンを足して2で割ってムカデ並みに手足をはやしたあんじゃこりゃー!!!
的なものがつい先ほど現れた。大きさはライオン。
ちなみに周りの囚人たちは阿鼻叫喚だ。
「おあ、なんだこいつら!」
「う、うわあああ近寄るなっ!」
「ひいいいい!!」
当然そうなるよなぁ。冷静なふりしてるけど俺もう失神5秒前だもん。失神しちゃおうかな。
いやむしろ叫ぼう。看守あたりが気づいてくれるかもしれない。
よし、いくぞ?せーのーでっ
「たあーすけーてーーーーーー!!!」
なんなのこの気持ち悪いものっ!絶対夢にみるわっ!
「ぴぎー!?」
と錯乱していたらなぜか魔物とおもわれるものがどこかに飛んでった。
なんだ、救世主がきたか!?
「大丈夫かっ!」
と思ったらあのにっくき預言者様だった。
「な、てめっ・・・!」
「あとでいくらでも殴ってくれて構わない! だから今は俺についてきてくれ!」
もろくなった柵を壊し、俺に手をのばすロセス。こいつなんか知ってんのか?
躊躇する俺の手を強引にひっぱる。
「時間がないんだ!」
「くそっ、あとでちゃんと説明しろよッ!」
引っ張られるがままに走る。状況は分かんないけど、ここにいても死にそうだしな……
ってやべえ、あのひと喰われそうだッ!
「おい、あのひとっ!」
「時間がないっていったろ!」
「うそだろ見捨てんのか!!」
掴まれている手をなんとか離そうとするが、大人の男の力にかなうわけもなく。
「ぎゃああああああああ!!」
ぐちゃって音が、した。
「う、うわあああああああああッ! はなせ、はなせよっ!」
なんだよ、なんなんだよこれっ!
なんで目の前で人が食われてるんだ!
体に魔力をこめ、筋肉を強化する。まだ助かるかもしれない!
「魔法かっ、く、しょうがない!」
人だったものに群がる魔物らしきものに突進しようとしたら、後ろ首に衝撃が走った。
「がっ……!」
「本当に、すまない……」
「あなた、こっちです、急いでください!」
女の人の声が聞こえたところで、俺の意識は闇に落ちた。
~リゼルside~
「なんでこの時代に魔物なんているんだッ!」
「愚痴を言ってないで足を動かせロクフェル! フレンはアリシアを連れて母上のところにいけ!」
「私にも戦わせてください、リゼル兄さん!」
「だめだ、おまえは親衛隊とともに非戦闘者を守れ! いいか、誰も死なせるなよ!」
「ッ!はいっ!」
兵士より魔物の攻撃の知らせを受けたリゼルは、とっさに思考をめぐらせた。
(どうして魔物が……。いや、今は魔物の討伐が先だ。幸いカールが城下町を監視していたはずだから、そう被害は出ていないだろう。とりあえず俺とロクフェルの親衛隊とともに城内の魔物を駆除だな)
「全兵士に伝達! 町の魔物を駆除しろ! 魔物1匹に対し5人以上であたれ、一匹も逃すなよ!」
『はっ!』
「よし、アリーゼ、みんな集まったか」
「はい、第一王子親衛守護騎士隊隊長アリーゼ・ガートナス以下12名、全員揃いました!」
腰にレイピアをさした女性が声をあげた。
「王国最強部隊の力を見せるときだ。いくぞっ!」
ロクフェルたちの部隊とわかれ、走り出すフレン。その心は、一つのことで埋め尽くされていた。
(無事でいてくれよ、ソフィア……!)
~モゼールside~
目の前に浮かぶ少年とその後ろにいる魔物に、モゼールは完全に怯えきっていた。
「け、警備兵はなにをしている! はやくこの侵入者を追い出せっ!」
「無駄だよ。外に立ってた人ならこの子が食べちゃったもん」
あははっと楽しそうに笑う少年は、魔物の頭をなでながら答えた。
魔物はそれに応えぐるると喉を唸らせる。
「まったく、君もばかなこと考えたよね、聖樹教を利用しようとするなんてさ。結局どうしたかったわけ?」
「な、なぜ貴様にそんなことをっ……」
モゼールがしゃべり終える前に、少年はいつの間にか手に持っていた剣を喉元に突きつけていた。
「あのさぁ、自分の立場分かってる? 僕の言葉理解できてるよね、宰相さんなんだもんね?」
楽しそうな顔のままの少年に得体のしれない何かを感じたモゼールは、ひいっと声をだし、少年に懇願し始めた。
「金か、地位かっ、望みはなんでもかなえる、いやかなえますっ! どうか、どうか命だけはッ!」
「望み、ね。じゃあさ、僕の妹をさ、生き返らせてよ。三年前に死んじゃったんだ」
「そ、そんなことできるわけ……」
「殺せ」
「そ、そんな、ひぃぃよるな! 私はこんなところで死ぬ男ではあぎゃああああああああああああ!!」
「まったく、いい大人なのに簡単に嘘つかないでよね。あ、大人だから嘘つくのかな?」
足にかみついた魔物を必死に引きはがそうとするモゼールを変わらぬ笑顔で見ていた少年は、ふいにその表情を消した。
「こちらアクセル」
懐から取り出した深緑の石を取り出す。
その石が淡く光りはじめると、中から声が聞こえた。
{アクセルか、ロセスだ!}
「こちらの目的は達成しました」
{俺も終わった。そろそろ魔物たちを退いてくれ!}
「分かりました。ですがいいのですか?あなたへの罰は確実ですよ?」
{……分かっている。それでも今は……}
「アクセル・ゼロ、帰還します」
最後まで待たずに石を懐にしまった少年は、魔物を従え部屋を後にした。
残ったのは、モゼールの肉塊だけだった。
方向を考えてたらいつの間にかこんなに時間が……
ほんとさーせん!




