表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壁の街  作者: 山吹花絵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/60

五十七話 (視点ナサン)

 劇団員の騒ぎ声で俺とクィムは目を覚ました。半分寝ぼけたままテントを出ると、治安監察局の連中とバレエダンサーたちが言い合いになっている。

 「ちょっと、怖い目にあった子にもう少し気ぃ使うとかないわけ!?」

 バレエダンサーたちに詰め寄られ、監察局の男たちは完全に気圧されている。

 「朝から元気だよなぁ……。」

 目をこすりながら、ガブリエルがふらふらと隣に来た。

 クィムはもう目が覚めたのか、小声で囁いた。

 「では、作戦開始と行きましょうか?」

 俺は大きなあくびをひとつして声をかけた。

 「あのさぁ、俺たち現場に居合わせたけど? 俺たちからは聞かなくていいのか?」

 その一言で、場は途端に静まり返った。

 監察局の連中は、よほど居心地が悪かったのか、すぐに俺たちのほうへやって来る。

 「だからさ、イゴールと俺とこいつで歩いてたときに、たまたま現場を見かけたんだよ。

 そしたら、ちょうどいいところに騎士団が通りがかったから……男どもはそっちに任せた。

 で、俺とクィムでここまで連れて帰ってきたってわけ。

 あの二人とは初対面だし、家がどこにあるのかとかは知らねぇ。」

 ――と、それだけを伝えた。

 ガブリエルも肩をすくめる。

 「俺も、ここに来てからの面倒をバレエダンサーたちと一緒に見てたくらいだから、ほとんど知らねぇな。

 食欲はないわけじゃないらしいし、そんなに心配すんな。」

 監察局の連中は聞き取りを終えると、まるで厄介ごとから逃げるように、その場を後にした。

 しかし一人だけ、若い局員が足を止めて振り返り歩いてくる。

 「何か思い出したことがあれば、すぐに少女を連れてくるよう、団長に伝えてください。必ず……。

 それと――本来お伝えすべきことではありませんが、あの男たちは人身売買に関与していた余罪が出ました。

 ……もう、日の光を浴びることはないはずです。では。」

 そう言い残し、足早に去っていった。

 「……随分と物騒ですね。」とクィムが呟く。

 「……だな。」

 俺はそれだけ返して、朝食の匂いが漂ってくる方へ歩いていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ