四十一話 (視点ナサン)
誰も口を開かず、外の通りの気配だけがやけに大きく聞こえた。そんな沈黙の後、イゴールが口を開いた。
「魔法使いよ、得意な魔法は?」そう聞かれて魔法使いは少し驚いたように目を見開き「はぁ?水に関する魔法でしたら……」と警戒を見せる。
俺も、どうしてそんなことを聞くのか不思議になって顔を上げる。
「マルケス、それから魔法使い殿、こんなところで堂々と言うのもなんだが……、我々は謀反を起こそうとしている。」という言葉に全員が驚く。
「お前たちもなぜ驚いている?当然だろう、表向きに国の反逆者といわれた男が隠した設計図を暴き出し、さらにはそれを使って一つの機械を作り上げようとしているんだぞ?それも、王国では忌み嫌われるうえに迫害対象である魔法と組み合わせてな。
謀反以外の何物でもないだろう?」とイゴールはやれやれと首を振った。
「だから、反逆者として差し出す前に、我々に協力していただこう。
マルケスも魔法使い殿も、反逆行為はお得意だろうからな。」イゴールは腕を組み二人を見た。
「働き次第では、見逃してやってもいい……ということでしょうか?」というクィムの問いかけにイゴールはため息をつき「私はもう王族であることを捨てた、だからお前が決めるといいさ。」と答える。
「ところで、このおっさんの名前はなんだ?ずっと魔法使いって呼ぶわけにもいかねぇだろ」とガブリエルが口を挟む。
「……ディエゴ」と魔法使いは呟いた。
「じゃあ、ディエゴ……お前は水に関する魔法が得意なんだろ?どういうことができる?
それと、魔石……協力するなら、俺たちが作る機械に魔石を使わせてほしい。」と聞くと、ディエゴもマルケスも驚いて顔を見合わせる。
「たしかに、魔石はありますが……、王国に住んでいながらなぜその存在を?」ディエゴは明らかに動揺していた。
「あー……そうか、お前たちはそこから説明しないと……えっと、どっから説明すりゃいい?」俺が頭を掻いていると、クィムが横から「私から説明します、ですがこんな所ではなんですから……まずは劇団のテントへ移動するのはどうでしょう?
今更、彼らも逃げ出すような愚行はしないはずです。そうですね?」と二人に歩み寄る。
「まあ、逃げだせば……なんだっけ?シメイテハイ?だとかいうやつでギャングの金稼ぎに使われるんだもんな、こいつらも少しはこの街に住んでたんだし、理解してるだろ。」とガブリエルも頷く。
「では、ご同行願おうか。お二人さん。」俺も頷き、マルケスとディエゴを連れて直し屋を後にした。




