二十七話 (視点ナサン)
裏口から出て、狭くて暗い路地裏を一列になって進む。
路地裏はやはり幻覚作用のある薬の中毒になったやつらの溜まり場だ。ズボンの裾を引かれて下に目を向けると、虚ろな目をして口からよだれを垂らしていても気にしている様子のない男がいた。クィムもさすがに驚いたのか「ひっ……!」と声を上げて、口を押える。
俺はこいつにかまっていると遅くなると思い、強引に振り払って足を速める。立ち止まったら、路地裏の連中は何をしてくるのかわかったもんじゃない。男も女も子供もお構いなし――そんな連中だ。もう何度も見た光景だ。だが、この路地裏にだけは慣れることはできなかった。
「クィム、路地裏の連中にかまうな!とにかく急いで、オジャ・ロタに着くことだけを考えろ!いいな!」と後ろに声をかければ、クィムは「わ、分かりました!」と返ってくる。
騒ぎの声、悲鳴、怒鳴り声に混じって、家じゅうをひっくり返しているのか何かが割れる音まで聞こえてくる。
足の裏が悲鳴を上げていたが、立ち止まっている暇はなかった。さもないと、イゴールと合流するのが遅くなる。
クィムも後ろから「義兄上……まさかここまで手が早いなんて……。」と予想もしていなかったのか、怖気づいたような掠れた声を出す。
路地裏から少し広まった路地へ出る手前、やはり兵が行き来していた。
鎧の擦れる音が耳に届いた瞬間、全身の血が冷えた。
見つかれば終わりだ。そう思った、その時だった。
「おい、ナサン!ロドリゴ、エンリケス!それから小さいの!」と上から聞こえた声に驚いて目を向けると、ネリオが屋根の上にいた。
突然現れたネリオに驚いていると、ネリオはニヤリとしながら「急に城のやつらが出入りし始めたから、お前たちに何かあったんじゃねぇかと思ってな!
早く上がってこい!便利屋が使ってる通路を使え!」と腕を伸ばしてきた。
ふとロドリゴとエンリケスを見る。エンリケスとロドリゴが頷くのを合図に、俺はネリオの手をつかんだ。




