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壁の街  作者: 山吹花絵


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十二話 (視点クィム)

 砂埃に混じって酒とたばこの匂いが通り抜ける。裏口からはガヤガヤと賑やかな声がうっすらと聞こえてくる。

 「……わるい、取り乱した。」と顔を拭いながらガブリエル殿は立ち上がる。

 私は目を合わせられず、「いえ……こちらこそ変なことを聞いてしまって……。」と言葉がつかえながらも返すと、ガブリエル殿は突然吹き出した。

 「はっ、なんかクィムって控え目なのか遠慮がねぇのかわかんねーの!」

 どうやら彼からしたら何かが面白かったらしい。

 どうしたらいいのかわからずにナサン殿を見ると、ナサン殿も笑いをこらえながら「……確かに、そういうところあるよな、お前。」と言ってくる。

 ガブリエル殿はドレスの砂埃を払いながら、「そうそう、マルセラだけどさ」と話を戻した。

 「もう朝も近いから、店が閉まる。だから出入り口の近くで待ってりゃ出くわすぞ。いつも店が閉まってから俺に声をかけてくっからな。」と私たちを正面口の方に連れ出した。

 正面口の方の通りは人通りが多くなってきていた。仕事終わりの休息を終えて帰路へ着く人も多いんだろう。

 「ここで待ってろ、すぐに戻る。」そう言ってガブリエル殿は中へと戻っていった。

 先ほどのこともあり、心配になってナサン殿を見る。ナサン殿も、いつになく口数が少なかった。

 どれくらい時間が経ったのだろう……まだ朝にはなっていない。

それでも、一秒一秒が妙に長く感じる……。

 「大丈夫でしょうか……?もしかして、あの……くそ、じじいとやらに……。」そう言ってナサン殿を見ると、ナサン殿は一瞬驚いた顔をして噴き出して蹲った。

 「え……?えっと?どうされました……?私、もしかして変なことでも……?」と狼狽えていると、ナサン殿は笑いながら首を振った。

 「違う違う、お前みてぇなやつから糞ジジイって……それに、言いなれてないのがバレバレで……ハハッ!」ナサン殿は腹を抱えて笑っていた。

 「しょ、しょうがないじゃないですか……ああいった方を表現する言葉は、先ほど知った……その、くそじじい……しか……。」思わず赤面して言い返す。

 ナサン殿は、笑いを堪えきれず肩を震わせていた。「やめろやめろっ!似合ってねぇって!ハハハッ!」と膝をバシバシと叩いていた。

 このやり取りで緊張もほぐれたのか、私も思わず吹き出してしまった。

 ひとしきり笑って、笑いつかれて一息ついた時にガブリエル殿が戻ってきた。

 「なんか楽しそうだな、お前ら。」ドレス姿で腕を組んで立っているガブリエル殿の後ろには、先ほどの綺麗な格好の女性と背の高い仮面をつけた男性が立っていた。

 ナサン殿は先ほどと打って変わって仮面の男性を警戒している。マルセラ……という劇団員は女性の方だろうが、仮面の男性は誰だろうか。

 「こっちがマルセラ、そんでもって今日は劇団長を連れてきてたらしい……。」そう言って私たちに近づいてきたガブリエル殿は、二人に私たちを紹介した後、小声で囁いてきた。

 「糞ジジイが寝たら、とりあえず話を聞きに劇団のテントに行くことになったんだ……安心しろ、お前らのことは俺のダチで劇団に興味があるやつってことにしといてやった。」と言って離れると、「もう少ししたら出発な。ナサンとクィム、ちょっと片付け手伝ってくれ。」と私たちを店の中へと呼んだ。

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