第7話 初めての依頼 後編
視点 アスト
村長「なんと!?もう終わったのか!?」
村に戻ると、ちょうど同じタイミングでユキトたちと合流できたため、そのまま一緒に村長に報告へと向かった。
アスト「はい、2つとも破壊したのを確認していただいても良いですか?」
村長「すぐ村のもんを向かわせよう。まさかこんなに早く解決してくれるとは…本当にありがとう!報酬は確認したらすぐ渡そう。それまでこの村でゆっくりしていくと良い。」
ユキト「あっ!ちょっと良いか?」
村長「どうした?」
ユキト「俺たち、あの湖でちょっと遊びたいって思ってて…水浴びであの湖を使っても良いか?」
村長「そんなことか、もちろん良いに決まっとる。ゆっくり遊んできなさい。君たちはまだ子供だし、もっと遊んで育つべきじゃな!はっはっは!」
そう言って村長は笑っていた。すごく心が広い方で良かった。
シュート「やった!早く行きましょう!」
シュートがすごく急かしてくるので、随分楽しみにしていたようだ。村長からの許可も降りたことだし、さっそく僕らは再びあの湖へと向かうことにした。
———
ユキト「よっしゃー!ほらシュートも行くぞ!」
シュート「あっ!?待ってくださいユキトさん!抜け駆けはダメですよ!」
ライキ「はは、相変わらずだな。」
3人は靴を脱いで、下衣の裾を捲って湖の中に入っていく。
ユキト「すごい冷たいな…!…おらっ!」
ライキ「うわっ!?な、何するんだ!?」
ユキトは水をすくってライキにかけた。
シュート「でやぁっ!」
ユキト「うおっ!?冷た!?」
シュートはユキトの隙を見計らって水をかける。あんなに楽しそうな顔をしているシュートは初めてみた。
ライキ「お返しだ!」
そう言って、ライキもユキトに向かって水をかけ始める。
ユキト「おい!?2対1は卑怯だろ!?」
ライキ「最初にやってきたのはユキトだろ?」
シュート「そうですよ!ついでに日頃練習で俺たちをボコボコにしてくる恨みもここではらします!」
ユキト「マジかよ!?」
ユキトは2人から逃げるように僕がいる方へ来た。
アスト(あっ…!これはチャンス…!)
バシャッ!バシャッ!
そこで、僕もすかさずユキトに向かって水をかけた。ユキトの前にはシュートとライキがいて、後ろには僕がいるため、ユキトを挟み撃ちしている状況だ。
ユキト「っておい!?アストもかよ!?せめてアストはこっち側に来るべきだろ!?」
アスト「うーん、2対2より3対1の方が勝てそうじゃない?それに、たまにはユキトを負けさせたいし、覚悟してよ!!」
僕はそう言ってもう一度ユキトに水をかけた。
ユキト「嘘だろ!?くっそ〜!分かったよ、3人同時にかかって来い!!」
ユキトも負けじと僕たちに水をかけてきた。しかし、挟み撃ちにされた状態と数の暴力で勝てることは流石のユキトでもできないようで…。
ユキト「うぅ…まいりました…」
1人だけ服もびしょびしょにされたユキトは、とうとう負けを認めた。僕たち3人はそれを聞いてハイタッチをする。
シュート「やりました!とうとう初めてユキトさんに勝てましたね!」
ライキ「数の暴力…いや、力を合わせた連携が1番強いってよく分かったな。」
ユキト「そういうのは戦闘で感じてくれよ…。」
アスト(うーん…ちょっとやりすぎちゃったかな…?あっ、そうだ。)
ユキトはすっかり意気消沈していて、湖の中なのに座り込んでしまった。流石に可哀想なことをしたと感じ、良いことを思いついた僕はユキトに手を差し出した。
アスト「じゃあ、初めて依頼をこなせたことだし、みんなで美味しいものでも食べに行こうよ。これからも、この4人で頑張って行くんだしね。」
ユキト「おっ、良いなそれ!かなり動いてお腹も空いてきたし、食事にでも行くか!」
シュート「その前に、服や下衣を乾かさないとですね。すみませんユキトさん…その…流石にやりすぎました…。」
ユキト「そんなの気にしてないぜ。むしろ、次は絶対負けないからな!3対1でも勝てるってところを見せてやる!」
ライキ「はは…逆に闘志を燃やさせてしまったみたいだな。」
ユキトは闘志に燃えていた。勝負事になると負けず嫌いで熱くなるけど、そういったところが、彼を強くする秘訣なのだろう。少なくとも、そうやって努力をし続けるユキトは、すごくカッコいいと思う。
アスト「僕が1番濡れてないから、みんなの服を乾かしておくよ。」
ユキト「良いのか?助かるぜ!」
僕は全員分の服を受け取る。
アスト「じゃあ僕は先に出てそこの大きな木のところで乾かしてるから。」
ライキ「分かった、俺たち尻尾や耳を乾かしてからそっちに行く。」
シュート「すみませんアストさん、お願いします!」
ひと足先に湖からでて、服を乾かし始めた。近くに大きな岩があったのでそこに服を置いた。まだ太陽は出てるので、僕の風魔法を組み合わせたら、そこまで乾くのに時間はかからないはすだ。
僕は、乾くのを待つために、そのまま岩に背中を預けて座る。すると、いきなりどっと疲れがでてきて、いきなり眠くなってきてしまった。
アスト(あ…まずい…疲れが溜まってたのかな…?まぁ…少しだけ…)
あまりの睡魔に勝てず、つい目を閉じてしまった。
———
視点 ユキト
俺たちはそれぞれ尻尾を乾かしていた。特に俺は毛並みとかを意識しているので、いつも念入りに乾かすようにしている。
シュート「あの…ユキトさん、勘違いだったら申し訳ないんですけど、聞きたいことがあって…」
シュートはそう言って、珍しくそわそわしている感じを見せる。
ユキト「なんだ?」
俺が聞くと、シュートは覚悟を決めたような目で口を開いた。
シュート「ユキトさんってもしかして…アストさんのことが好きなんですか?」
ユキト(…!?)
ユキト「好きって…もちろんアストのことは好きだぜ?大切な…友達だしな!」
シュート「友達として…ですか…。」
シュートの言葉にドキッとしてしまった。まさか、シュートは俺の気持ちに気づいていてこんなことを聞いたのだろうか。
ユキト(い、いや…ずっと隠してたし…そんな簡単にバレるようなことはしてないはずだ…。)
シュート「じゃあ…恋愛的に見たらどうですか?」
ユキト「っ!?」
動揺が隠せない。多分、シュートは気づいていたんだ。そう、俺は…アストのことが好きなのだ。友達としてじゃない。恋愛的に見て…だ。




