第七話 英雄
私はトオルと再び服屋さんに入る。
店員のお姉さんは会計の準備を済ませてくれていた。
あとは、お金を支払うだけのようだ。
「…オ、オトウサン、、コレ、カッテクダサイ。」
慣れない呼び方に、わざとらしくカタコトになってしまう。
トオルはそんな私を見ながら笑っていた。
するとお姉さんは、
「お父様!娘さんは可愛いので、もっとお洒落させてあげてください!」
とトオルに向かって力説し始める。
私が、緊張していると勘違いしてしまったようだ。
「店員さん!大丈夫ですよ!これ全部買います!あ、カードで!」
トオルはお財布からカードを取り出し、お姉さんに渡す。
笑顔でお姉さんはカードを受け取ると、それを機械に差し込んだ。
「暗証番号を入力ください!」
お姉さんがそう言うと、トオルは機械を触りだした。
これで、お会計が済んだらしい。
本当にこの世界の技術力は、凄いんだなと関心させられる。
服屋さんを出る際、店員のお姉さんは笑顔で、
「また来てくださいね!」
と手を振ってくれた。
お金を稼いだら、また来ることにしよう。
お姉さんにお辞儀をし、トオルにもお礼を伝える。
「…ぁ、あの、ありがとうっ。」
トオルは、お金のことは気にしないでいいと言ってくれたのだが、やはり住ませてもらっていて、お世話になるだけなのも何だか申し訳ない。
この世界に慣れたら、仕事とか依頼とかで、稼ぎたいものだ。
冒険ギルドとか商業ギルドとかはあるのだろうか?
いろいろ考えながら歩いていると、
「じゅな。さっきのは"クレジットカード"って言って、銀行に預けているお金で支払いが出来るんだ。」
トオルは教えてくれた。
インフェリスにも銀行はあるし、クレジットカードのようなものは存在する。
それは、"ギルドカード"と呼ばれるもので、ギルドカードには魔力を込めると、自分のランクや依頼をクリアしたら貰えるポイントが分かるようになっており、ポイントを使って支払いしたり、銀行に預けているお金をギルド経由で後払いする方法がある。
ちなみ魔法を使わない人は、ギルドで残りのポイントを調べてもらうのが一般的だ。
「ギルドカードみたいに、ポイントで支払いしたり、"ネットマネー"で支払いする方法もあるんだが…"ネット"については今から、スマートフォンを買うから、これから覚えていけばいいよ。」
と、トオルは続けた。
私はトオルから、この世界のことを習いながら歩いていると、"英雄SHOP"というスマートフォンが並んでいるお店に辿り着く。
スマホは、朝のように起こしてくれるアラームや、ネットを使っていろんなことを調べたり、アプリで便利なことがたくさんあるらしい。
私は、高いんだろうなぁと不安に思っていたのだが、トオルは察したようで、
「気にするなよ?じゅな。俺はこう見えても、システムエンジニア(SE)っつって、ぼちぼち…は、稼いでるんだぞ!趣味は貯金だしな!」
ニコッと笑ってくれた。
「元・勇者は優しいね。」
私も安心して、ニコッと笑う。
すると、トオルは
「お、おう!」
と、目を背け照れた様子を見せてくれたのだった。
"英雄" と "Docozo" と "ハードバンク" があるそうです。




