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第十話 カレーライス

…結論から言えば、この世界に魔獣は存在しないそうだ。


私の常識が、こちらではことごとく通用していないことに少し凹みながらも、今度は日用雑貨を揃えるべく、"スーパー"という場所に寄って帰る。


スーパーとは"スーパーマーケット"の略称らしく、コンビニよりも大きくて品揃えも豊富だった。


今晩の料理に必要な食材をトオルが選ぶ。


私はただついて行くだけだ。


「今夜は、特製トオルスペシャルを食べさせてあげるからなー!期待しとけー!」


トオルが手に取る食材と似たような食材がインフェリスにもある。


トオルは何を作ってくれるんだろう?


食材を買い揃えた後は、布団やシーツ、枕にマットなど、私の生活に必要そうなものを"ホームセンター"という場所で買うそうだ。


いろいろとしてもらい嬉しいのだが、なんだか申し訳ない気持ちになる。


そんな私の様子を見たトオルはただただ、優しく受け入れてくれた。


帰宅後。


この日、晩御飯に"カレーライス"を作ってくれた。


「私!カレーライス大好きなの!」


実は、インフェリスでも何年も前からブームとなっている料理だった。


それをトオルに伝えると、嬉しそうな顔で何かを思い出しているようだ。


「…俺が勇者だった時に教えたんだが、まさか流行ってるなんてな!」


なんとカレーライスは地球の料理だったようで、トオルが転移された時代に、王都の料理人に教えていたそうだ。


実はトオルが日本に帰った後、料理人は勇者の残した味としてお店で出したらしく、勇者ファン達を中心に徐々に拡がっていったようだ。


カレーライスだが、インフェリスで食べたものよりも見事に美味しく、私はおかわりを2回もしてしまった。


「…うん!美味しい!」


ただ、やはり私の中の1位は違った。


私の中の最強はニクマンだ!


…これは揺るぎない!


なぜなら、はじめて食べた時の感動や衝撃が、カレーライスを上回っているからだ。


…食後、私は満腹感と疲労感とで、眠くなってきた。


それでも、洗い物くらいなら出来るのでお礼も兼ねて、やろうとしたのだが、


「座っといていいぞ!スマホの操作方法でも確認しときなー?」


と、トオルが洗い物を率先してやってくれたので、私はソファに座ってスマホを箱から取り出した。


早くインフェリスに帰りたいし、方法も見つけなきゃいけないし、だけど、この世界には順応しなきゃいけないし、やることはたくさんある。


「…まずはスマホの扱い方を…リングの効果があるうちに。」


説明書を読んでいるうちに、なんだかもっと深く眠くなり、ついに睡魔に襲われていく。


…結局、眠気に負けて、私はそのままソファで眠ってしまうのだった。



_2時間くらい経っただろうか。


「…ぅ、う〜ん。」


私は重たげな瞼をなんとかあけて目を覚ます。


すると、ほのかに石鹸の香りがした。


どうやらトオルは先にお風呂を済ませたようだ。


「起きたかー?じゅな、お風呂だけでも入れるかー?」


トオルは優しく私に問いかけた。


頭がボーっとしながらも頷く。


今日、買ってもらった衣類や下着は寝室のクローゼットにしまってあるので、準備をしたら、お風呂へと向かうことにしよう。


ちなみに、寝室として使っていた部屋は、私の部屋にしてくれた。


そして向かい側には仕事部屋があるのだが、今はトオルの部屋となっている。


私の部屋は、寝室のベッドがそのまま置かれてあり、マットや布団、シーツに枕などは入れ替えて、トオルが元々使っていたそれらは、仕事部屋にマットを敷いて使うようだ。


私にとっては、本当に濃ゆい1日で、目紛しい変化ばかりで、心をついていかせるのに実は必死で…。


…ただ、元・勇者が私を見つけてくれて、保護してくれて、本当に良かった。


湯船に浸かり、私はまた眠くなるのだった。


しばらくして、トオルの心配の声が聞こえて来る。


なんとか目をあけて、寝惚けながらお風呂から上がり、タオルで体を拭いたら、カクンッカクンッとなりながら下着を履く。


「…あれぇ?」


どうやらパジャマを私の部屋となった元寝室に忘れてしまったようだ。


半分眠りながら、脱衣所の扉を開けて、私の部屋へと向かう。


「じゅ、じゅな!!!」


トオルがなんだか慌てているようだが、眠たくてよく分からない。


「……ふぇ?」


トオルが慌てて向こう側を向くものだから、なんだろう?と首を傾げる。


「………!!(わ、私下着姿のままだった!!)」


一気に目が覚める。


顔はマグマのように熱く赤くなっていく。


「…ご、ごめんなしゃぁい!」


私は焦りながら、慌てながら、噛みながら、部屋へとダッシュで向かった。

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