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20匹目:お誘いの薔薇とプリンアラモード 6

6/6

総合評価400ptありがとう~!!読みに来てくれた方々全員に感謝~!

完結までに500ptが目標なので、読みに来たついでに評価・ブクマ・感想・いいねなどなどやりやすい方法で応援してくれたら嬉しいです♪

頑張るぞ~!!!!






「何だよそれ! もっと早く言ってよ! 全部知ってて黙ってたの!?」


「んや。なんていうの? なんか……ほらあれ。なんかねぇ…………」



むやみやたらに他人に言い触らすとリリアン物語が現実になるような気がしてちょっと怖かったから、なんて。



好奇心でリリアンの話を聞き続けていたジェマだったが、初対面時の気持ち悪さは頭のどこかにずっと残っていた。


リリアンの自己申告ではとても順調に進んでいたらしいが、ジェマから見るとリリアンの攻略は全然進展していなかった。エリオットはともかくとして、フランツとルシアンからは明確に嫌われていたせいだ。もちろんジェマの好感度もまったく上がっていなかったので、シリルを紹介するつもりは微塵もない。リリアンから話が出た時点で、絶対にシリルを建国祭へ呼ばないようにしようと決めたくらいだ。


大きく掬い取ったプリンを頬張って、ほっぺをぷっくりと膨らませる。机の向こうで同じように頬を膨らませて抗議しているルシアンと目を見合わせて、2人でくすりと笑った。



「うむ。ごめんね」


「僕も。八つ当たりしてごめんね」



保護者のような顔をしてフランツが満足げに頷く。ゆらゆらと揺れた尻尾がフランツにぶつかって、見上げたフランツにぱんぱんのほっぺを見せびらかした。



ついと視線を滑らせて、ジェマは周囲を見回した。通りすがりの生徒たちにちらちらと注目されているが、なぜだかみな微笑まし気に目を細めていく。


もしここに座っているのが、ジェマとルシアンではなくクロエとシェリーだったらまた違う反応になるのだろうなとふと思った。先ほどのルシアンのおじさん発言を思い出し、やっぱりそうだよなと納得する。


20歳と30歳ならともかく、15歳と25歳の10歳差は大きい。ジェマがシリルやフランツに懐いてはいても、なんとなく恋愛対象かと言われると違和感があるのはそのせいだ。おじさんだから無理とまでは言わないが、結婚相手として1番に考える相手ではないのだ。



「というかあいつ、むしろすごくない?」



行儀悪くスプーンを咥えてぷるぷると揺らしていたルシアンが、こてんと首を傾げた。ジェマも同じ方向へ首を傾げて続きを促す。



「いやだってさ、エリオット様と僕とベルノルト君とフランツ先生とシリル様でしょ? 全員顔が良いって共通点はあるけど立場も性格も全然違う面子なのに、よく一緒くたにして同時進行に恋愛しようと思えたよね。僕とフランツ先生だけだって、同じ対応じゃ2人ともと仲良くなれるのは無理じゃない?」


「たしかに。まぁ無理だろうな」


「だから失敗してるんじゃない? そのやり方も間違えてるし」



ルシアンに近付くために自習室に突入して勉強の邪魔をするとか、あえてテストを頑張らないでずっとフランツの補習を受け続けるとか。


もう初めからすべて間違えているとしか言いようがない。ベルノルトはどちらかと言えば嫌悪よりも困惑の方が強そうだったが、この2人は好きか嫌いかと尋ねられれば、きっときっぱりと「嫌い」と答える。



しかしたしかに言われていれば、そもそも同時進行で手を出そうと思えるほど生易しいメンバーではない。普通に会話をする仲になることすら難しそうな人たちなのに、リリアンはさらに同時進行で攻略するという荒業に出たわけだ。


すごいというか愚かというか。


少なくとも、やり方がわかっていたとしても実際にやろうと思う人はほとんどいないだろう。



嫌な記憶を思い出したのか、ブラックコーヒーを飲みながらフランツが眉を顰めた。



「結局1番仲良くなれているっぽいエリオット様だって、本当に親しくなれているかどうかは怪しいしね」


「そうなの? アンジェリカ様にも見捨てられそうって聞いたけど」


「んー。まぁわたしが勝手に思ってるだけどね。もしかしたら普通に仲直りして予定通り結婚するかもしれないよ」


「お前、そんな風に思いながら好奇心でひっかき回してたのか……」


「違うよ。わたしがひっかき回した結果、そうなるかもしれない事態に陥ってるかもしれないって話!」



そもそもアンジェリカとリリアンが同じ天秤に乗ることはないのだ。今が学生という特殊状態だから錯覚できているだけだ。


例え本当に心の底からリリアンを愛していたとしても、その他のデメリットをすべて吞み込めるほどエリオットに漢気があるだろうか。そしてアンジェリカは幼いころからずっと隣にいたエリオットをばっさりと切り捨てられるだろうか。


冷静に考えればどちらもあり得ない話だ。周囲だって2人が大人しく結婚してくれるのが1番楽なのだから、全力でそう誘導するに違いない。



思い切りの良すぎるジェマの提案が採用されているのも、押してダメなら引いてみろというだけの話だとジェマは思っている。


瑞々しいフルーツを味わいながら、目を閉じて関係者たちの顔を思い浮かべる。



「まぁあれだね。まだ勢い余って大きい決断をするほどの大事件は起きてないから、現段階ではなんとも言えないよね」



その大事件を起こしてしまえとアンジェリカを唆した記憶がふっと蘇り、アンジェリカの考えはまとまっただろうかと窓の外を見上げた。




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