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18匹目:ホットココアで一息ついて 3

3/3


もうここまで頑張って来たので意地で毎日投稿続けます…!!

ストックはないけれど!!



本当にただ面倒くさくなったわけではないのだ。けれど昨日のエリオットの態度を見たあとだと、アンジェリカの対応次第では普通に復縁の可能性がでてきたから悩んであげているのだ。


今後どうするにせよ、とりあえず1回殴ってこれまでのことを清算するのは悪くない。


しかしあのプライドの高いエリオットが、思い切りぶん殴られたあとどういう態度に出るのかいまいち予想が付いていない。ジェマならあのエリオットのご機嫌を窺いながら生きていくことは嫌なので、ぶん殴ったあとでどういう態度になるかどうかでこれからのことを決める。


もしエリオットが殴られたことにショックを受け、これまでどれだけ自分が酷い態度を取って来たのかと一瞬でも反省する素振りを見せればまだ良し。もし逆上してきたら、もう1発ぶん殴ったうえで逃げる。



「あ。そういえば、婚約はどうなるんですか? 殴っても殴らなくてもそのまま続行ですか?」


「え? 殴ったあと普通に婚約を続けられるんですか?」


「んやまぁいけるでしょ。これまで口喧嘩どころかちゃんと揉めたことがないってことの方が異常なんじゃないの? 貴族の婚約ってみんなそんな感じなの?」



しらーっと全員から顔を逸らされ、そらみたことかとジェマは踏ん反り返った。


いくらなんでもここまでこじれていれば、政略結婚が本当にただの契約にしかならないだろう。しかし政略結婚なんて無縁の生活をしてきたジェマには、本当にそれで良いのかわからない。


けれど貴族令嬢たちの反応を見る限り、契約的にも良くはないし心情的には嫌といったところだろう。いくら冷め切った仮面夫婦も多いとは言っても、相手があれでは演じる仮面もない。契約やその他諸々に支障が出ること間違いなしである。



甘ったるいココアにたっぷりとクリームを乗せて、両手で温かいカップを持ち上げた。



「クリスティーナ様はともかくとして、クロエとシェリーは婚約とかそういう話はないの?」


「ないことはないけれど、うちはお兄様チェックが厳しいからねぇ。わたくしも特別この人がいいという方もいないし。シェリーは?」


「まったくないわね。伯爵家と言ってもクロエのダンヴァース伯爵家とは違ってギリッギリ伯爵位を維持しているだけの底辺伯爵家だもの。初めから就職を見越して治癒科に入学したのだし、わたくし自身も治癒師になりたいし、婚約とかはあまり考えていないわ」


「へぇそうだったの。あれだけランズベリー嬢に怒っていたから好きな方でもいるのかと思っていたわ」


「違うのよ。だから余計にランズベリー嬢に腹が立つの。わたくしは治癒師になりたいから努力してマグワイア魔導学園に入ったのに、顔の良い男性のことを追いかけ回してきゃーきゃー騒いで! 本当に心底迷惑しているし腹が立つのよ!」



あぁまた話がリリアンに戻ってきてしまった。これだからリリアンは嫌いなのだ。


しかしシェリーと同様の怒りを抱えている生徒は結構多い。リリアンは図書室にいるルシアンに突撃したり、ベルノルトに会いに騎士科の鍛錬場にまで足を運んだり。本当に将来のために必死で努力をしている人たちにとっては迷惑すぎる行為を繰り返している。


貴族令嬢たちからの「はしたない」「みっともない」「婚約関係にヒビが入った」というクレームも多いが、実は「勉強をする気がないなら帰れ邪魔だクソが」という訴えもかなり多い。


それが大きな話題にならないのは、リリアンを非難すると一緒に騒いでいるエリオットまでも非難することになるからだ。


エリオットの評判が駄々下がりなのは、リリアンを選びアンジェリカを蔑ろにしているからだけではない。わざわざマグワイア魔導学園の特進科に通っておいて、最終学年になって勉学と礼節を放り出しマナーのなってない男爵令嬢に入れ込んでいるからだ。


そしてそこへきて、アンジェリカとベルノルトがエリオットから離れた。もう深く考えるまでもなく、エリオットは見捨てられたと判断するのが自然なのだ。



もしその元凶となっているリリアンをジェマがぶん殴って大人しくさせたとしたら、勇者のごとく崇め奉られるのではなかろうか。少なくともお叱りは受けないだろう。



(よし。アンジェリカ様が大公令息を殴る前にわたしがリリアンをぶん殴ろう)



そしてアンジェリカへの提案は腕力と勢いで揉み消そう。報告ついでにシリルに頼んで綺麗にぶん殴る方法を教えてもらうと決めた。


クリームの無くなったココアにマシュマロを追加している間に、クロエに口の周りを拭いてもらった。



「それでアンジェリカ様の婚約はどうですか? もしぶん殴る=婚約解消なら、さすがに提案した身としてちょっとあれなんですけど」


「あぁそうね。ごめんなさい、それは大丈夫よ。殴る殴らない以前に『ちゃんと腹を割って話し合ってきなさい』ということで許可されたことだから。その結果として、うっかり手が出てしまってもいいですよというだけの話よ」


「これまでの恨みを込めて思いっきりぶん殴っても良いって話じゃないですもんね」



にっこりと綺麗に微笑んだアンジェリカの瞳は、やはり不安を誘う色をしていた。


あとのことを何も考えずにぶん殴られても困ってしまう。アンジェリカの結論いかんでは、アンジェリカとエリオット2人ともの今後の人生を左右しかねないのだ。もうどうしようもないなら勢いで怒鳴りつけてもいいけれど、大公家と公爵家の婚約がかかっているのだからもっとじっくり悩んでほしい。このままではアンジェリカを唆したジェマが婚約の責任を取らされかねない。



「本当に大丈夫よ。もし和解できなければ婚約は解消になるから」




アンジェリカの様子がおかしかった原因がわかった。


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