27匹目:ラストダンスはお菓子を食べながら見守る所存 4
キリの良いところまで書ききれなかったのではちゃめちゃに短いです。
昨日の夜美味しいお酒を飲んでしまったせいです。反省。
量は用意されているものの、1つ1つは小さく作られている。1種類に付き1つならば案外食べられるものだなとジェマは空になった皿をぼうっと見つめた。
詰め込むように食べたスイーツの味がよくわからなかった。これまで恋愛問題から逃げ続けたツケが回って来たような気がして、ジェマは苦い顔をしてジュースをちみちみと舐めた。
恋愛がなんだ。他に考えなければならないことはいくらでもあるではないか。
ジェマはやればできる子ではあるが、それでもマグワイア魔導学園の特進科に余裕で合格できたわけではない。入学できたところで卒業できる保障はなく、付いていくのに必死というほど辛くはなくても、後見人の立場にリリアン物語に自身の恋愛にと色々なことに頭を割くほどの余裕はなかった。
恋愛なんてスイーツ片手に他人の話を聞かせてもらうくらいでちょうど良いのだ。
ルシアンのことを好きか嫌いかを考え始めれば、どうやって侯爵令息と交際するのか、将来どうしていくのかなどと考えなければならない問題が次々と出てくる。
もちろんそれは考えたところでジェマ1人で解決できる問題でもなければ、一時の感情で簡単に決められることでもない。ルシアンと結婚したいと言えばきっとアシュダートン伯爵は養子に迎えてくれるだろうが、実の両親に相談もなしには決められない。平民のジェマが侯爵令息のルシアンと真剣に交際しようと思えば、まずは実家に戻って両親に相談するところから始めなければならないのだ。
少なくともそこまでしても良いと思えるほどの情熱はまだ無く、軽い気持ちでとりあえず付き合えるほどルシアンに愛情がないわけではない。
もしルシアンがジェマと同じ平民だったらもう少し気軽に自分の気持ちを考えられたかもしれないけれど、侯爵家は地位が高すぎる。
空になったお皿をしょんぼりと見つめて小さくため息を吐いた。
リリアンはよくもああ考えなしに高位貴族に迫ることができたものだ。今更になってそのすごさを改めて実感してしまった――そんな度胸など持ち合わせる必要性はないのだけれど。
「もっと食べたいなら取って来れば? それともダンスする?」
「…………お菓子取って来る」
くいっと残ったジュースを飲み干して立ち上がる。そんなジェマを見上げてルシアンが頬を膨らませた。
「頑固」
「今日はダンスだめって言われてるから」
「そういうことは先に言いなよ。そんな可愛い恰好してたらダンスのためだと思うでしょうが」
「わたしは着るつもりはなかったの。起きたら寮の部屋に届いてたの」
「そのドレス選んだ人天才では?」
「クロエとシェリーに伝えておくね」
ちょこんと裾を摘まんで微笑み、ふわりと裾を靡かせながらルシアンに背を向けた。




