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26匹目:あの日のアップルパイをもう1度 4

ちょっと回復してきたので文字数もちょっと回復!

短く日が続いている中、読みに来てくれた方、ブクマ評価いいねしてくれた方々、みんなに感謝~!!





そんなことを言われるなんてこれっぽっちも思っていなかったらしい。上品に手を添えることすらせずにぽかんと口を開けるアンジェリカを見上げて、ジェマはぷっくりと頬を膨らませた。


アンジェリカの眉が徐々に悲し気に顰められていくのを見て、さらにキッと眉を吊り上げる。


ジェマは好き嫌いで言っているわけではない。約束が違うと言っているのだ。


自分の足に尻尾を叩きつけながら腕を組んでふんぞり返る。



「殴ることが目的になっちゃだめって言ったのに! 結局話し合う気がないなら肉体言語使うしかないですよね! ごめんなさいって言ったってももう信用なくしましたからね!」


「ジェマちゃん……。あの」


「だめです! 言い訳無用! さぁ行きますよ! 歯を食いしばれ!」



ジェマの背後に巻き込んだ面々の呆れ顔を見たらしい。ハッと息を呑んだアンジェリカは、ぎゅっと目を瞑って少し屈んだ。


「よし!」とジェマも覚悟を決めて大きく手を被る。


なんだか変なテンションになっているような気もするが、素面で公爵令嬢なんて殴れない。もうエリオットを殴ってしまっているので今更ではあるけれど。


てやっと気の抜ける掛け声を発しながら腰を入れて腕を振り回した。



「……んぇ? 何してるんです?」



ぺちーんっと何のダメージも入っていないような間抜けな音が鳴り響き、ジェマは目を瞬かせた。


全力で殴ったところでどうせ大した威力は出ないのだが、さすがに思い切りいくのは躊躇ったのでそれは想定内だ。けれどジェマはアンジェリカの左頬目掛けて手を振ったはずだった。


しかし今ジェマの目の前で左頬を抑えているのは、エリオットだった。


本当に何をしてるんだこの男はとぎゅっと眉根を寄せる。



「アンジェリカは、悪くない。私が悪かったのだ。殴るなら私を――」


「相変わらず人の話を聞いてねぇやつだな。これはアンジェリカ様とわたしの問題であって、あなたのこれまでの所業云々は一切関係がないことです! あーもう! アンジェリカ様は喜ぶんじゃない!! こんなのかっこよくもなんともないからな!!」


「き、貴様は本当に不敬なやつだな! 貴様こそ話を聞いたらどうなんだ!」


「普通に話聞いてたら今はそういう流れじゃないってわかるでしょ!? 今更何をしてるんだよもう!! あ! リリアンがいなくなったからってちょっと気が楽になってるな!?」


「いや不敬にもほどがあるぞ!?」



真っ赤な顔をして怒るエリオットを見つめるアンジェリカの瞳は潤んでいた。感動するのは少しだけ理解できる。なにせこれまでは庇ってくれないどころか傍にいなかったうえにちくちくと攻撃してきていたのだから。


しかしそれはそれ、これはこれである。


エリオットが人の話を聞かないのは以前からだが、アンジェリカもいよいよマイペースになってきた。ジェマへの気遣いよりエリオットの方が気になるのは当然だけれど、だからそれは家でやれと言っている。今はジェマを優先してほしい。


べっしべっしと尻尾を振って抗議の意を伝える。



「あなたの気持ちはどうでもいい! わたしはあなたにはまったく興味がない! これっぽっちも!! びっくりするほど興味ないんでね!! それはお家でご自由にどうぞ!!」


「興味ない……」


「今はわたしとアンジェリカ様の話です! 邪魔だからどいてて!」


「邪魔……」


「あ、あの、ジェマちゃん……」


「ほらいきますよ!! 庇ってもらったって許しませんからね!! せい!!」



先ほどよりも力が入ってしまったせいか、エリオットよりも力強い音がした。赤くなった頬はジェマが叩いたせいかエリオットのせいか。


同じくほんのりと赤くなっている婚約者同士顔を見合わせ、くすくすと笑い始める。


馬鹿なカップルにダシにされたと気付いて、ジェマの尻尾はさらに荒ぶった。






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