蛙の弟子は蛙
推奨:第6章の「エピローグ」まで読了
魔王らとの一大決戦の後、ククは調査隊の1人として魔王城に立ち入った。
調査の対象は、魔王によって立ち入り禁止とされていた6階と7階。
既に魔王はいないが、未知とはすなわち、どんな危険が待ち受けているかわからないということだ。
十数名の調査隊は、極めて慎重に探索を開始。
まずは5階の天井を強引に破り、6階へと上がる。
そこには数多くの魔法道具や研究資料と思しき物が、所狭しと置かれていた。
しかしそのどれもが特殊な魔法により、操作や閲覧ができない状態にあった。
最低限、危険は無いらしいことだけを確認し、やむなく調査隊は7階へと進む。
7階はほとんど5階と同じ造りをしており、通路に沿って小部屋がいくつか、そして最奥に大きな広間があった。
小部屋はどこももぬけの殻で、家具すら無い。
では広間に何かがあるのだろう、とククたちは緊張した面持ちで歩を進める。
が。
最奥の広間には、寝台が6つあるだけだった。
魔法すらかかっていない、ただの寝台。
調査隊の面々は皆訝しんだが、結局、収穫はそれだけで、その日の調査は終了となった。
拠点に帰還した後、ククはふと気付く。
思い起こすは6階で見た、魔法道具や資料……否、それにかけられていた魔法、その魔力。
あの魔力には、どこか覚えがあった。
魔王のものに極めて近いが、髪の毛1本分、どこかがほんの少しだけ違う魔力。
ククは拠点を出て、エラたちの仮住まいに向かった。
いつも通りの笑顔で出迎える師に、ククは問う。
「フウツさんはどこですか」と。
何の前置きも無く、エラは「気付いたか?」とだけ返した。
「はい」とククは答える。
魔王城にあった魔法道具と研究資料を、他人に触れられないよう封じたのはフウツだ、と。
ククは察しており、そのことをエラもまた察したのだ。
理由はわかっていた。
大方、仲間を蘇生させようとしていたという事実を、他者に暴かれないようにとの「自分」への気遣いだろう。
フウツから魔王の記憶を聞いていたので、ククにもそれくらいの予想はできた。
ではなぜエラたちの元を訪ねたかというと。
「あの魔法、解読させてくれませんか」
――フウツのかけた魔法の式を解き明かす、その許可を得に来たのだ。
ククは研究者肌である。
難解な魔法を前にして、「立ち向かいたい」という欲が湧いて来るのは至極当然のことだ。
やる気と知的好奇心に満ち溢れるククを見て、「さすが我が弟子」とエラは笑った。
しばらくの後、エラに呼ばれてやって来たフウツは事情を聞き、ククの頼みを了承して、それから「なんだかますます似てきたね」と苦笑したという。




