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毎日ほのぼの。  作者: 愛森とき
6/15

ほのぼの(6)

2019年11月2日(土)


一児の母 帰山桃子(かえりやまももこ)の今日のほのぼの。


桃子「千紘(ちひろ)、今日、髪を切りに行こうよ」


桃子は、お昼ご飯を食べた後

部屋でゴロゴロして漫画本を読んでいた

1人娘に声を掛けた。


千紘「えー」


小学3年生の千紘は

ちょっと不満そうな顔をして

漫画本を読み続けていた。


桃子「前髪が目にかかってるし、髪の量も増えてて洗うの大変でしょ」


千紘「ぜんぜん大変じゃない」


可愛くない返事が返ってきた。


桃子「じゃあ、お母さんがジョキジョキ切ってあげるから」


ジョキジョキの所をわざと強調して言った。


千紘「それは絶対に嫌。ジョキジョキって言われると何か恐いなぁ」


千紘はむくりと起き上がって

桃子を見ながら言った。


以前、桃子が前髪を切ってあげた時に

真っ直ぐのつもりが斜めだったらしく

お友達に笑われたと言っていたのを

逆手にとったのが効いたようだった。


桃子「じゃあ、晩ご飯の前にパッと行ってしまいましょうね」


千紘「はぁぁい」


しぶしぶと言う気持ちを前面に出して

千紘は返事をした。



夕方、2人は支度をして

車で美容院へ向かった。

外はまだ17時になったばかりだったのに

薄暗くなり始めていた。


美容院に向かう車中

千紘がぼそりと言った。


千紘「最近、美容院に行くと大人の本を渡されるんだよなぁ」


桃子「え?大人の本?」


桃子は聞き返した。


千紘「うん」


桃子「髪型の本とか?まさか料理の本じゃないよね?」


千紘「違うよ。そういうのじゃなくて」


千紘は同学年の児童と比べると身長が高く

見た目だけでは中学生に見えなくもなかった。

それ故に、年齢不相応の雑誌でも

渡されているのかと思ったが違ったようだ。


桃子「んー?」


千紘の語彙力では、

どういう本なのか説明できないようで

結局、大人の本が何かわからないまま

美容院に到着してしまった。



美容院では、先に桃子が呼ばれたが

終わったのは千紘が先だった。


桃子が終わってレジへ案内されると

その手前のテーブルで

本を読みながら待っていた千紘が居た。

桃子に背を向けて座っていたが

後ろから見てもサッパリとしたのが

わかった。


桃子は千紘が持っていた本を

覗き込むようにして見た。

それは、少女漫画だった。

タイトルからして

恋愛がテーマのように思えた。


桃子「確かに大人だねー」


渡されたから断れずに

読んでいたのだろうが

桃子に気付いて

照れくさそうに笑った千紘を見て

ほのぼのとした気分になった。


店員さんのチョイスが

年齢に合わせてなのか

見た目で中学生くらいに思ってなのか

それはわからなかったが

なかなかに面白いチョイスだと

思った桃子であった。


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