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毎日ほのぼの。  作者: 愛森とき
4/15

ほのぼの(4)

2019年10月31日(木)


スーパー勤務 高館沙織(たかだてさおり)のほのぼの。


沙織は、地元にある中型のスーパーで

働いている。

車で10分も走れば

大型のスーパーマーケットがあるせいか

いつも空いていた。

沙織はレジ担当なので

客が来ないと気合いが入らなかった。


沙織「いらっしゃいませ」


客がレジに並べば愛想良く挨拶をした。


ある日、毎日のように見かける

60代前半と思われる女性がレジに並んだ。

年配の女性は

いつも頭にバンダナを巻いて

エプロン姿だった。


沙織「いらっしゃいませ」


年配の女性「はいはい、お願いね」


ピッ、ピッと商品のバーコードを読み取る。

大根ピッ竹輪ピッさつま揚げピッたまごピッ…

今日はおでんかなと勝手に推測した。

レジを打ちながら

他の家庭の献立を推測するのは

意外と楽しいのだった。


沙織「1,308円です」


年配の女性「はいはい、ちょっと待ってね」


小銭入れからまずは

ポイントカードと折れたお札を1枚出し

会計のトレイに置いた。

そして、小銭を1枚2枚と取り出し

トレイに置いた。


年配の女性「はいはい、お願います」


女性に言われ

沙織はお金をレジの機械に入れた。

自動でお金を集計して

お釣りを出してくれる。


沙織「200円のお返しです」


沙織がお釣りを渡そうと手を出すと

年配の女性は怪訝そうな顔をした。


沙織「お客様?」


年配の女性「私、5千円札を出したのよ」


沙織「え?」


年配の女性「だから、5千円札と小銭を508円出したのよ」


沙織「え…いや、お客様が出されたのは千円札でしたよ」


年配の女性「えー、5千円札を持って来てたと思ったのに。本当に千円札だったの?」


沙織「は、はい。千円札でした」


年配の女性「あらそうなの。おかしいわね」


おかしいわね、には

何と反応すれば良いのかわからず

黙ったまま少し愛想笑いをして

200円のお釣りとレシート、

そしてポイントカードを渡した。


年配の女性は

エコバッグに買った商品を入れながら

おかしいわね、というように

何度も首を傾げていた。

商品を入れ終わった後も

小銭入れを覗きながら首を傾げていた。


その姿は、親の言い分に

納得がいっていない子どものようで

もしくは、ハロウィンの夜に

知らぬ間にイタズラをされた大人のようで

見ていると、ほのぼのとした気分になった。


客「すみませーん。会計お願いしまーす」


沙織「あ、申し訳ありません。いらっしゃい、お待たせしました」


次のお客さんな男性だった。

白菜ピッ…お肉ピッ…しらたきピッ…

すき焼きかな、美味しそうだな

そんな事を思いながらレジを打つのだった。

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