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美しき魔女にこの世界は醜い  作者: 志智ハクモ
プロローグ2
2/3

嘘つきなお兄ちゃん

ここから読み始めると世界観が分かりづらいので必ずプロローグを読んでからこちらを読んでくださいm(_ _)m

 




 嘘だ。

 そんなはずは無い。

 きっとどこかにあるはずだ。

 普段使ってない後ろのポケットに…は無いか。

 まぁ落ち着け、俺がこんなミスをするなどあり得ない。きっと左右のポケットの奥の方に隠れてるんだな、恥ずかしがり屋さんめ。


 、、、。


 財布が無いッッ!なんでッッッ!!出かける前にチェックしたはず!確かに俺のポケットに!!

 はっ!家から出る直前にトイレに行ったあの時かぁッ。


「あの、982ジルなんですけど…」


 店員さんが怪しげな目で俺を睨む。レジ前でもたついている俺に他の客の視線も刺さる。俺は慌てながら大袈裟にお腹をさすった。


「いや、やっぱりちょっとまだお腹空いてるかもな〜!?あ、アハハハハ!」


 そう言って、元居たテーブルに戻った。この際変人でもいい、食い逃げのレッテルを貼られる方が問題だ。


 はぁ…。それにしてもこうゆう事態に気付いた瞬間の胸の高鳴りが100mを全力疾走した直後よりも激しく思えるのは俺だけだろうか。それに加えて焦りと負の感情が押し寄せてくるあの気持ち、まるでテストの前日にいつもより早い時間に寝て、早朝に起きて勉強しようと思ったら普通にいつもの時間に起きてしまった時のあの気持ち。


 おっといかんいかん、焦りすぎて現実逃避していた。この状況を打開しなくてはいけない、考えろ。


「あ」


 フ、フフフフ。どうやら俺は冷静さを欠いていたようだ、こんな簡単な問題も解けないとはな。少し考えれば解決策など秒で出てくるわ。流石俺、最強、全知全能、唯我独尊…。あれ、唯我独尊ってどんな意味だっけ?まぁいいか。


 携帯を使い人を呼ぼう。事情を説明して会計を任せよう。そしてそのままバックレよう、一石二鳥!素晴らしい!


 俺は自分の右ポケットにあるはずの携帯を取り出した。


 、、、。


 俺は自分の左ポケットに絶対にあるはずの携帯を取り出した。


 、、、。


 俺は必ずしもそこに入っているであろう、いや入っていると神に願って後ろポケットの携帯を取り出した。


 、、、。


 無ぇ…………。


 やっぱ難問だわ!難しすぎて問題製作者を疑うレベル。ってか財布探した時に気づけよ何やってんだよ俺。無能、言語道断、朽木糞牆。あれ、朽木糞牆ってどうゆう意味だっけ。じゃないじゃない、どうしよう本当にピンチだ。もう店員さんに正直に言おうかな、あの店員さん滅茶苦茶怖そうだけど仕方ない、そうしよう。


 そう決心した俺は立ち上がる。すると向かいの壁に貼ってあるチラシと目が合った。『食い逃げ、殺す。』とだけ書かれてあり、その文字の背景には血飛沫の様なデザインを施されている。俺はズボンを直して座った。


「フッ…」


 無理無理無理無理無理無理無理無理無ィィ!!!


 え、殺されんの!食い逃げで!?罪に対する罰のバランスがおかしいだろ!ヤクザの経営してる店ですかここはぁあ!!!!

 詰んだ、どう考えても打開策が見つからねぇよ…。この状況だったらどの漫画の熱血主人公でも諦めるっての。


 思考停止した俺は真っ白な灰になって窓の外を眺めていた。今日は雲ひとつない快晴だ。逆に俺の心は絶賛ゲリラ豪雨だ、そして止む事は無いだろう。日の光が俺への当てつけかの様に眩しい。

 俺は暖かい陽の光に照らされて、ボーッとしていた。


「え、こんなところで何してんの?」


「え、知り合いなの」


 俺は聞き覚えのある女の子の声と聞き覚えのない男の声の方に顔を向けた。そこには知らない金髪のイケメン君と、そのイケメンの腕に手を回して密着していた幼馴染の女の子だった。


「クリュゥゥ!!お前ってヤツは!なんつータイミングで俺の前に現れやがるんだよ!!神か!お前が神だったんだな!」


 思わず叫んでしまう。すると周りが異様に騒つく、彼氏くんも凄い顔をしている。だが俺の幼馴染はいつも通りといった感じだ。


「だから、今のご時世に白魔女様以外の人に神って言っちゃダメでしょ?場所が場所なら殺されちゃうよ」


 メッと腰を折って、人差し指を立てた手を俺の前に出してあざとく注意してきた。無表情だけど。


「分かった分かった、そんな事よりさ」


 俺はクリュの耳元に彼氏に聞こえない程度の小声で状況を説明した。クリュは理解してくれたのか何か解決策を考えているようだ。


「ちょっとクーリュちゃん、その男は誰なんだい?」


 彼氏くんは少々イラついてるのか、強めの口調だ。するとクリュは何か閃いた様子で彼氏の誤解を解いた。


「ああ、チャールズ。ほっといてごめんね、この人は私のお兄ちゃんなの。ね」


 なるほど、そういう事なら。


「HAHAHAHAHAッ、そうか!君が我が妹と付き合っている彼氏のチャーハン君かな!妹がお世話になっているようだね、まぁ座りたまえ」


 見よ!刮目せよ!!この惚れ惚れするような演技を!やはり私は天才だな、自分自身に惚れてしまいそうだ。だから妹よ、そのうわぁ、みたいな顔やめろ。お前の下着と一緒にお兄ちゃんの下着も洗濯機に入れちゃうぞ。


 2人を向かい側に座らせた。


「え!お、お兄さん!?す、すみません!生意気な口を聞いてしまって!まさかクーリュさんにお兄様がいるなんて、、」


 彼氏くんは随分驚いた様子で謝ってきた。確かに彼女の家族にあんな態度をとっては交際自体に支障をきたす。突然のことに焦っているのも相まってどうやら嘘という事は現時点では頭に無いようだった。自分で言うのもなんだが、信じないだろうなと考えていた。結果オーライなので心にしまっておく。


「いやはや、気にするでないぞチャーシュー君。我が妹が選んだ相手だ、私がとやかく言う事は無いさ。それにしても良い男じゃないか妹よ」


 オーバーすぎる身体を使ったジェスチャーで演じていくクリュの兄。


「でしょ?今まで色んな人付き合ってきたけど、この人が一番かも」


 俺もクリュも高評価で彼氏くんはとても嬉しそうな顔をしている。


「ありがとうございます!クーリュさんにもお兄様にそう言ってもらえて嬉しい限りです」


 彼氏はホッとしたようだ。もう完全に信じているな、ちょっと可哀想だと思ってしまうがそれを押し殺さなくてはこのピンチを脱却出来ないのだ。本来の目的を忘れてはならない。題して、こいつに奢ってもらおう作戦だ。という事でクリュからのお兄ちゃんというパスを存分に生かさせてもらおう。


「ところでチャイルド君、我が妹の彼氏に1番大切なものは何か分かるかい?」


 俺は真剣な眼差しで言った。


「お待たせしました、スペシャルジャンボフルーツチョコレートバニラアイストッピングスペシャルビッグサイズパフェです。」


「あっ、私でーす。 キャー、美味しそー、可愛いー、でかーい」



クリュは少し笑った様な顔でそのバカでかいパフェを迎え入れた。そのパフェは店員さんも2人がかりで持ってくるほどに大きいし何より重そうだ。名前も長いしスペシャル2個あったぞ、どれくらいスペシャルなのかめちゃくちゃ気になるな。


 だが俺の決死の言葉を踏みにじった我が妹には後で家庭内暴力というものを教えてやろう。


「ところでチャッキー君、このクソガキの彼氏に1番大切なものは何か分かるかい?」


 俺は真剣な眼差しで言った。


「えっ…。えっと、、誠実さ…ですか? あとチャールズなんですけど…」


「ん?あ、あぁすまない、覚えたよ」


 どうやら俺は彼氏くんの名前を間違えていたらしい。申し訳ない事をした。


「で、君の答えだが、誠実さも必要だがそれよりも大事なものがあるのだよ」


「と、いうと」


 彼氏くんは前のめりになりながら俺の言葉に耳を傾ける。


「それは経済力だ。誠実さや不確かなものは口だけではなんとでも言えるだろう?だが目に見えるソレは事実としてそこにある。経済力は分かりやすい」


 すごくそれっぽい事を言っているが適当である。だが、彼女の兄と言うプロップスがこの言葉を真に変える。


「ほら、見れば分かるが妹とこれからも交際するのであれば経済力は必要だろぉ?」


「た、確かに」


 2人で同時にクリュを見るが、さっきまでのパフェがもう半分もない、一体その小さい身体のどこに入っているのか不思議だ。


 俺は彼氏くんを試すように、はたまた挑発するように言った。


「君には妹を安心させるほどの経済力、言わば資産があるのかな?」


 彼氏くんは少し戸惑いながらも、僕の目をしっかりと捉えてはっきりと言った。


「あ、あります!クーリュさんに辛い思いは必ずさせません!」


「チャーリー…」


 素晴らしい男じゃないか、イケメンで金持ちで真面目って男の三種の神器だな。良いパートナーを見つけたな妹よ。しかし世の中そうは甘くないのだ、俺が彼に少し社会の厳しさというものを教えてあげよう。


「ならば何か納得のいく確証が欲しいな、君に経済力がある確証が。うむ、ならばこのお店の会計を私の分も払えるのかな?」


 さぁここが正念場だ。ちょっと無理矢理すぎるけど、ここに長居も出来ないし、長居すればどっかで嘘がバレるかもしれない。だからこそのここでの決着を要した。俺に緊張が走る。ついでに妹にも緊張がはしる。


「払えます」

「そか!!ありがと!良かった!妹はお前にやる!お幸せにな!これレシートね、また会おう!じゃあなウィアーザワールドくん!ごち!!」


 俺は光の速さで店を出た。彼が何か最後に「僕の名前はチャールズです」って言ってたけど聞こえなかった、残念だ。もっと話したかったよチャオズ。


 問題は解決し、俺は腹も膨れたし家に帰ることにした。

コンビニでも寄ってこうかと近くにあるコンビニまで歩いていると、後ろから誰かが走ってくる。


「あ、やほ〜お兄ちゃ〜ん」


 俺は振り返るとそこにはクリュがいた。


「もうお兄ちゃんじゃねー、ってかなんでいんだよ」


 当然の疑問である。さっきまで彼氏くんと一緒にバカでかいパフェを食べていたはずなのだから。


「チャールズには急に用事思い出したーって言って抜けてきた」


 にへら〜、とにやけながらそんな事を言う。彼氏くんが気の毒で仕方ないな、俺は好きだぜチャン・グンソク君!


 仮にも自分の彼氏なんだから戻れと言っても聞かないし、仕方なく俺はクリュと一緒にコンビニに向かう事にした、クリュは俺の隣を並んで歩くのだが身長がすごく小さいので絵面が色んな意味で凄い。


「お兄ちゃんはさ、」


「だからもうちげーって」


 いつまでその設定を引きずるのだろうか。注意をしてもクリュは聞かない。


「えーいーじゃーん、減るもんじゃ無いし。まさか妹属性は嫌い?」


 クリュは、どうなの?ほれ?ほれ? と視線を送ってくる。ぶん殴りたい衝動を抑えて否定する。


「んなわけあるか、異性の家族なんていた事ないしな」


 少し意地悪をする、するとクリュは申し訳なさそうな顔になって謝った。


「そんなつもりじゃなかった…」


 すっげぇ落ち込んでるな、意地悪すぎたかもな。


「分かってるよ。冗談だ」


「あのねー」


「根は優しいもんな、お前は」


「別にそんなんじゃないし」


 こう見ると勘違いされそうだが、俺はクリュに対して恋愛感情なんて持っていないしクリュもそうであると思う。ただの昔ながらの仲の良い友達って関係だ。よく男女の友情は成り立たないとか男は絶対に性的な目で見てしまうと言うが、じゃあ家族はどうなるんだろうと思う。自分の母親、姉、妹、お婆ちゃんを性的な目で見れるだろうか?分かるはずだ、君が正常ならば。


 家庭内での禁断の恋なんてあるけれど、あれは物語の中だけであって現実にはそんな感情が生まれる事は無いに等しい。もちろん例外もあると思うけど、美化される物語とは違ってリアルは単なるキモい事件で終わるだけだ。何も俺だけの価値観って訳じゃない、今の時代の一般的価値観だと思う。


 脱線したけど、要はクリュに対しての感情は家族のソレに近しいものだということだ。かれこれ9年くらいの付き合いだ、悪い所も良い所も嫌というほど見たしそれはお互い様だ。だから彼女がどんな男と付き合っていたとしても嫉妬はしない、出来ないのだ。


「そういえば、明日暇? 買い物に付き合ってよー」


 だけどその関係も都合も俺たちだけにしか融通は利かない。彼氏からしたら良い迷惑だし、邪魔でしかない。どんなに説明をしたとしても不安が残ってしまう。ただの仲の良い友達としてのスキンシップだったとしても男女ってだけで嫉妬の対象だ。だからこいつには何回も言っているはずなんだがな。


「あのなクリュ、何回も言ってるけど彼氏に勘違いさせる真似はすんなよ」


「でも(せい)はアタシの親友だし」


「でも周りにとっちゃあ関係無い、男女ってだけでそうゆう事になんだろ」


「え〜〜、じゃあちょっと待ってて」


 この会話も何回目だろうか。クリュは携帯をいじり始めた。


「そういえばさっき、俺が遮っちゃったけど『お兄ちゃんはさ』からなんて言おうとしたんだ?」


 するとクリュは僅かに悲しい様な顔をして静かに答えた。


「いや、何でもない、さっき言った買い物に付き合ってって言おうとしただけだから」


 携帯をいじりながら下を向いているクリュに俺は「そうか」と一言残した。


 クリュの携帯の画面を見るとチャールズと言う名前が写っている。何やら連絡を取り合っている様だ。内容は見ないようにする。


 実際クリュはめちゃくちゃモテる。顔は整っているし髪はまるで色という概念が無かったかと思う程に色が抜け切っていて白い。癖っ毛が強く一見ボサボサに見えるが触ってみるとサラサラしているような珍しい髪質だ。瞳は灰色でタレ目だ。せっかく可愛い顔をしているのに目の下にクマのようなものが出来ていてやる気ない目をしている。身長も148cmで体重は44kgだ。そんな小柄な割には胸が大きい。この前聞いた時は「E」とか言っていたのを思い出した。


 クリュ自体、あまり表情豊かでは無いが、性格的には感情豊かだと思う。基本無表情だけど嬉しかったりしたら少し笑う顔、悲しかったら少し悲しい顔をする。愛らしい見た目と不思議ちゃん属性で昔からよく告白をされていた。そして昔から男を取っ替え引っ替えしている、いわゆるビッチという人種だ。付き合った男は数知れず、見境ないらしい。俺はそこにはあまり介入しないから詳しくは分からないが。


 俺は色恋沙汰の面倒ごとは御免だ。だがこいつといると疑われるし、クリュの彼氏にボコられそうな事も多々あった。だからそれを阻止してくれる幼馴染がもう1人いる。


「そんな携帯いじりながら歩いてんと危ないぞ」


流石に画面を見過ぎて周りの注意を怠っている。しかし物凄いスピードで指を動かしてる。


「よし、おっけー。あの彼氏とは別れたよ」


「…はあ…」


 驚きはしない、呆れはするけど。携帯と見つめ合ってた理由が判明した、流石ビッチと噂されてるだけあるな。彼女じゃなくて友達で良かった。俺はにやけ顔をかましている彼女に冷やかしの言葉を入れる。


「それはさぞかし円満に別れたんだろうな」


「うん、すっごい怒ってた。お兄ちゃんじゃないって事もバレちゃったし殺してやるってさ」


 マジかよもうバレたのか。冷やかしてる場合じゃねぇよ今は元カレくんの頭冷やしてあげたいよ。まぁでもバレるのは仕方ないか、クリュに兄がいる事自体()()()()()()()だからな。少し考えれば分かる。そんな事より明日から服の中に少年ジャンプ入れとこう。


「大丈夫大丈夫、アタシが守ってあげるよ、お兄ちゃん」


 そんなことを火種を付けた張本人が言うんだもんなぁ、しっかり守ってもらおう。


 彼女の顔つきが何か少し違った様に思えた。そんな彼女に、


「あ、明日は予定あるから無理。」


 と一言添えた。


 ――――――


 コンビニで財布がない事に気付いた俺はクリュにジュース奢ってもらってそのまま別れた。俺はそのジュースを飲み干しながら帰路に着いた。


 紹介がだいぶ遅れたが、俺の名前は林真 清(はやしま せい)15歳で今年高校に入る。身長は176cmで体重が57kg。

 見た目というか、髪は暗めの灰色で目にかかるほどの長さで軽い天パだ。瞳の色は黒。よくめちゃくちゃ疲れてそうな目って言われる、何を言ってんだか俺はいつでも元気100倍だ馬鹿野郎。鼻は少し高い方だと思う、眉毛は細いな。笑う口が大きいともよく言われるな。そんな感じだ。性格は、、これから知ってもらえればいい。


 今は3月で俺は4月に有名な世界政府直属の魔法魔術学校に入学するのだが、別に俺が凄いわけじゃない。魔法技術は人並み以下だし、頭も特段良い訳ではない。身体能力は小さい頃からの事もあって多少自身はあるけど、それでも凡人止まりだ。その学校も確かに設備や人材、全てにおいてトップクラスで数々の優秀な生徒を輩出してきたが、逆にそんなのは一握りだ。芽吹かない人達の方が圧倒的に多い。俺はその中の1人って事だ。入学する事も難しい訳じゃないし第9部まで、学校は存在して一つ一つが規格外にでかい。そこには大量の生徒が在学している。ちなみに俺は第3部高校に入学する。


 大事な事を言い忘れていた。その世界政府直属の魔法魔術学校ってのは何のために作られたかっていうと概ね『黒魔女の遺産』を葬り去る為、簡単に言うと人類を脅かす敵を倒すって事だ。なんで世界がそんな状態になってるのかはまた今度話そう、今は割愛する。


 まぁどんな世界でもモブで脇役の俺には関係無い、天才様が倒してくれるし、俺は人類を救う様な力もない。ただ平和に生きていたい


 じゃあなんでそんな軍人の卵みたいな学校に行くのかって? そうだな、まず一つに進路は軍人だけでは無く医療や研究者など幅広く道がある、優遇されているんだ。もちろん科目ごとに分かれているものだ。今や魔法は人類には欠かせないものになっている、戦闘魔法だけでは無く色々な用途に魔法魔術は使われている。最近では人類が古くから扱ってきた科学との密接な関係、融合に着目しているらしい。


 そして二つ目の理由だがこれは話さないでおく。きっとすぐ分かるだろうから。


 36年前の『黒魔女襲来』からここまでで世界は大きく変わった。地形も歪み、魔法や魔術の概念が誕生し、それを利用し普及させ、文化も大きく変わった。そして人類が歴史の中で一番の軍事力を持った世界だ。


 平和と自由を愛する俺にとっちゃ、生まれる世界を間違えた。


 俺は自宅に着いて、玄関の扉を開ける。「おかえりぃ!生卵買ってきたか!?」とやたら大きな声でがなりたてる俺の親父が奥の廊下から出てきた。


「あ、忘れたわ」









ご愛読ありがとうございます。


さぁ、世界線が難しいので必ずプロローグを読んでからこちらを読んでいただきたいです。

主人公も出てきましたしね。ここからこの世界の細かな所を物語を進めながら少しずつ明かせたらなって考えてます。よろしくお願いします。


何か至らぬ点がありましたらご報告お願いします。

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