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50.おまけ
「小暮、井川さんを頼むぞ」
浦田に念を押されて小暮は頷いた。そして、タクシー乗り場まで井川を送った。
「じゃあ、気を付けて。運転手さん、横浜までお願いします」
「おう、お前も気を付けてな」
井川を乗せたタクシーを見送ると、小暮も駅のホームに向かった。
帰りの電車で眠り込んでしまった名取がはっと気付くと降りる駅の直前だった。重たい荷物をぶら下げて慌てて電車を降りた。
「あっ!」
余計な荷物に気を取られ、自分のリュックを電車の中に忘れた。リュックの中には家族への土産も入っていた…。
「ずいぶんお土産買って来たのね」
帰宅した名取を妻が迎える。
「なに? これ? お土産は」
「電車の中に忘れた…」
「えーっ! バカじゃないの?」