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30/51

30.まさかの被り

 カラオケのイントロが流れ出す。尾崎豊の曲だ。

「誰だ?」

 ステージに向かったのは穴山らしい。頭の禿げ具合でかろうじて見分けがつく。顔は当然、生クリームまみれだ。

「おい、暗いぞ」

 日下部が声を上げる。

「名取、若いんだからもっと盛り上がるやつ行け」

「了解しました!」

 名取はすぐにデンモクを手に取る。


 穴山の歌が終わり、名取が立ち上がる。それを制して四宮がステージへ。

 流れた曲は昨年流行ったダンスユニットのあの曲。

「あれ、これおれの曲っすよ」

 名取が割って入ろうとする。

「そうなの? 俺も入れたんだけど」

「えー、まさかの被り?」

 ノリノリで歌う四宮。その四宮の歌が終わると、再度同じ曲が流れる。

「なんだ? またやるのか?」




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