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17.探り合い
研修へ行く10日ほど前。営業会議後の懇親会。名取は日下部の隣に陣取った。魂胆は明らか。日下部から問題の情報を聞き出そうとしているのだ。
1位の成績を取ったものには一万円分のクオカードが賞品として出される。それを今回も狙っている。
「問題の傾向は前回と似たものになるよ」
漠然とした情報ではあるが、ジャンルは限定される。
「オリンピック出ますか?」
さらに食らいつく名取。
「出るよ」
あっさり答える日下部。若い名取にはこういうところで得をしてもらいたいと考えているからだ。そして、実は小暮にも事前に情報を与えていたのだ。
「やっぱり1位は名取かな?」
古沢が牽制する様に声をかける。
「連覇です」
名取も負けじと言い返す。