サネカズラ〜再会〜 その二
「あのぉ、質問いいですか?」
クラスメイト(男)が手を上げる。
「あ、はい何でしょう?」
「紫苑とはどういったご関係でしょう?」
「え、か、関係ですか……」
関係も何も、ただ子供の頃親しかった……要は幼馴染って奴なだけなんだけど。
桔梗(昔と同じ呼び方でかまわないだろう)のほうを見てみると、何故か俯いていた。
はて、答えは単純明快。
「幼馴染」の一言で万事解決だと思うんだけど。
「あの……」
桔梗は僕のほうを見ると、申し訳なさそうに「言ってもよろしいのでしょうか」と尋ねてきた。
何で僕の許可を取るのか疑問には思ったものの、たいして問題ないだろうと思った僕はそれに頷く。
すると桔梗は深呼吸をしてから「私は……」と答えだす。
「私は……紫苑君の……」
クラス中が静まり返り、桔梗の答えを聞くために耳に神経を集中させている。
「その…………い」
ん、「い」?
「お」じゃなくて、「い」?
「許嫁です!」
あれ?
おかしいな……どうしてだろう。
「許嫁」って聞こえた気がするんだけど……い、いやそんなはずはない。
大体、現代で「許嫁」なんて単語は漫画やアニメの世界でしか聞いたことがない。
そうだ。
僕の脳が勝手に桔梗の言葉を「幼馴染」から「許嫁」と言う言葉に変換したに違いない。
うん。
僕の脳にも困ったものだ。
ふと気付く、クラス中からの視線。
何でだろう。
みんなのその視線からは負の感情しか伝わってこないよ?
しばしの沈黙が流れ、突如みんな席を立ちだした。
どうしたのだろうと見ていると、何故かみんな僕のほうに歩み寄ってきた。
そして。
「し」
「し?」
「死にさらせぇぇぇえぇぇぇえぇえ!!!!!」
クラス全員からリンチに遭う中で僕の意識は次第に薄れていった。
目が覚めると、そこはなにやら不思議な花畑だった。
白い霧が当たり一面に拡散していて、遠くのほうはまったく見えない。
足元を見てみると、名前も分からない黄色い花が僕の足元に無数に生い茂っていた。
ここはどこなのだろうか。
辺りを見回してみても、遠くのほうは見えないためよく分からない。
それにしても、僕はさっきまで学校に居たはずなんだけどな……
どうしていきなりこんなところにいるのだろう。
あぁ、そうか。
今までのが夢だったのか。
なるほど。
「……」
え?
何かが聞こえた気がした。
「……か…な……で」
あ、もう少しで聞こえそうだ。
「か……きて」
あぁ、あと少し。
「「戻ってきて!」」
「うわっ!?」
あぁ、鼓膜が破れるかと思った。
ん、あれ?
僕の目の前にある桔梗と椿の顔。
「あれ、僕は一体……」
なんか体中いろいろと痛むのは僕の気のせいなのかな。
さっき見てたのが夢だとしたら、リンチにあってる筈もないんだけど。
辺りを見回せば、そこには僕の見知った顔のクラスメイトたち(十数名)がいる。
「う、うぅぅ……」
今にも泣きそうな顔の桔梗が僕に抱きついてきたのには驚いたけど、おかげでこっちが現実なんだという実感ができた。
「本当に良かったです……本当に」
「まったくだわ。心配掛けさせて」
椿も何かホッと安心したような表情を浮かべている。
あぁ、やっぱりこっちが現実で良いんだ。
「いや、危なかった。危うく人一人を死なせるところだった」
周りの何処からかそんな声が聞こえたのは、僕の聞き間違いだと信じたい。
「お前ら、そろそろ終わるぞぉ」
椅子に座って読書していた先生が立ったと同時にチャイムの音が響いた。
「さて、もうめんどいから終礼も一緒にするぞ。連絡のある奴はいないな。じゃぁ、終わるぞ」
「起立、礼」
「「ありがとうございました」」
これで今日の学校は終わりだ。
まぁ、かなり遅れての二話目です。
本当、こんなものでも見ていただけていたなら嬉しいですね。
サブタイをどうしようか考えたんですが、日にちが変わらない場合は「その二」「その三」とかするんでよろしく。
相変わらず、指摘などをお願いします