第8話 欠点のない人間ほど、欠点が見つかったときの衝撃は大きい。
ちょっと遅くなりました!
「さて、今年はこれだけですか。まあ、多い方でしょう」
呼ばれた生徒は、校庭に移動していた。
「さて、あなたたちは、向こうの生徒とは違う訓練をしましょう」
「あの、質問よろしいでしょうか?」
西山が口を開いた。自己紹介のときから思ってたけど、こいつ結構口調が攻撃的だ。
「はい、なんですか?」
対する先生の返事は、上品だ。
この人のようなおしとやかさを、こいつには身に着けてもらいたい。
「分けた意味は何なんでしょうか?」
「これから説明しますよ。あなたたちは、《範囲型》と呼ばれるタイプの能力の持ち主です」
彼女の説明によると、この世の能力の種類は数あれど、大まかに分類すると2種類あるらしい。
《範囲型》と《直結型》。
仮に、めちゃめちゃ重いタンスを、念動力で動かすとする。
《範囲型》の場合、一度に動かせる距離が短い。ただし、重さは問わない。
《直結型》の場合、一度に運べる重さに限界がある。しかし、距離はずっと長くなる。
細かく分けるといろいろあるらしいが、少なくともここにいる生徒は全員、《範囲型》の能力者なのだ、と先生は語った。
「根本から訓練の方法が違うの。向こうで小宮山先生も同じ説明をしているはずです」
花田は説明を終えると、右手を上にあげた。
途端に、ゴオオオッ! と右手を軸にするように風が吹き荒れる。
砂埃で風の流れが見えた。
「これが私の異能、範囲型の《流体操作》です。有効圏内は私の周り50センチ内」
だが、あれだけ風が起きているのに、ここは全く空気の流れを感じない。
これでは――
「地味だと思った人もいるかもしれないね。じゃあ、まず最初の授業として――」
まさか、心を読まれた?
よく見ると、足にも風を纏っている。
「――鬼ごっこを、しましょう。制限時間は、15分」
◆◆◆
「うっそだろ……」
五分後、全員が息を切らしながら地面に這いつくばっていた。
あの西山でさえ、開始1分で捕まってしまった。
「うーん、期待外れだったかなー」
子ども相手に全力出しといてどの口が。
「確かに全力だけど、君たちが本当に能力を使いこなしていたなら、もう少し逃げられたはずだよ?」
俺なんて能力を発動する暇すら与えてもらえなかった。
「パワーなら、範囲型の方が圧倒的に有利。変な話、近距離長期戦向きの能力だね」
「ああ……それについても聞きたいことが……」
西山が仰向けのまま手を上げる。タフな奴だ。
「今日、戦闘訓練をするかどうか聞いた生徒が、先生から暴行を受けたんですが」
「小宮山先生でしょ? そうです。この学校で教えるのは、あくまで能力をきちんと制御したうえで、強化すること。戦闘絡みへの応用は、あくまで就職してからの訓練になる」
厳しいことを言うようだけど、花田先生は前置きしたうえで、
「自分の能力を、何かゲームみたいに勘違いしてない? カッコよく相手を倒すことだけ、考えてない?」
花田は、それじゃダメだと言う。
「人の命は、ゲームみたいにね、再生しないんだよ」
炎天下の中、静寂が生徒を包む。
「さてさて、ちょっと休んだらまた始めましょう。午前中はみっちり鍛えてあげる」
この人、顔は美人だけど性格は悪い気がした。
◆◆◆
地獄のような鬼ごっこがが終わり、午前の授業は終わった。
早く、早くご飯を……
「ねえ榎本、うちら以外にクラスで範囲型っていないのかな?」
「さあ? 呼ばれたのは俺らだけだから、そうなんじゃないかなぁ……?」
二人で教室に戻ると、自分たちよりもぐったりしているクラスメイトがいた。
「どうしたの!?」
「み、美咲ちゃん……」
一番メンタルが弱そうな秋山が、西山に抱き着いた。
「死ぬかと思ったよ……」
直結型チームも、小宮山先生にだいぶしごかれたようだ。
「今朝、田部くんに向けて使った能力を、わたし達にも使ってきてさ……」
聞けば、小宮山先生の能力は《斥力》。視界に入っているもの全てを弾き飛ばすらしい。
「で、『逆に言えば、視界に入っていないものは飛ばせない。この意味が分かるか?』って聞いてきたから、考えようと思ったの。そしたらいきなり」
座って話を聞いていた全員を、ぶっ飛ばしたと言う。
話を聞いた西山は、ワナワナと拳を震わせ、
「……ちょっと文句言ってくる」
他の人の制止も聞かず、教室を飛び出した。
「おい、優哉!」
ぐったりしていた真田が起き上がっていた。
「頼む、西山を止めてくれ! あいつじゃ勝てない!」
言われなくても。
俺は彼女の後を追う。
今日は3本投稿です!
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