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カップ麺と呼ばれた男 ~とある能力者の成長物語~  作者: 岡部雷
総合優勝が最高学年なのは当たり前。(体育祭編)
58/60

第57話 予定通りには進まない。

少し早めの投稿です!

「「「「「はあ?」」」」」



俺たちは文字通り、口をあんぐり開けていた。

昼の休憩も終わり、いよいよ俺たちの出番が来た、と思ったその矢先。



「障害物競走が予定されてしたが、急きょ変更としまして、4年生による組体操を始めます」



変更?



「障害物競走の準備が終わってないので」



準備ぃ?



「なんか、雲行き怪しいぞ。なあ太一、もしかして、俺らグラウンドすら使わねえんじゃねえ?」


「っぽいな。参ったな、どこまで変更になるか分かんねえけど、最後のクラスメドレーの前に持ってこられたら困る」



この体育祭のシメ。

学校の敷地内の舗装された道を使ってのクラス全員参加のリレー。

その直前に、全貌不明の競技をこなすとなると。



「俺はともかく、確かにおまえら3人はキツイよな……」



俺は花田先生のスパルタ授業と、強制個人特訓によって能力の連発がかなりできるようになっている。

しかも、高速移動に適している。

対して3人は、二瓶さんは移動という部分だけ見れば文句なしだが、体力が弱い。

真田と秋山さんは、走るのに関して能力はあまり関係ないので、自力で走るしかない。


1年生に対して(というか、我がクラスに対して)の嫌がらせにも思えるくらいだ。



「どうする?」


「あと俺らが参加する競技はないからなあ。障害物競走まで待つしかないだろう」



こんな時でも真田は冷静だった。



ところが、ここで思わぬ事態が起こった。

トイレから戻った女子数名が、奇妙なことを言い出したのである。



◆◆◆



「幽霊?」



この時代に何を言い出すのやら。



「ほんとだって! 3人とも見てるんだから!」



福原さんが、この天気だというのにガタガタと震えている。



「あれ、能力だと説明つかなくない?」

「うんうん、だっておかしいもん……」



他の二人も、理解できない事態に混乱していた。



「何がいたんだよ?」



ウダの質問に、佐藤さんが答えた。



「髪の長い女の人。女子トイレって、個室が三つしかないんだよ。で、うちらの先に誰か入っていくのが見えたから、1人入れないじゃん?」


「そうだな」


「で、真ん中扉が閉まってたから、うちが一人で空くの待ってたの。で、戻ろうとしたら」



柊さんが割って入った。



「うちらの前には、誰もいなかったのに、出るときにドアノブが濡れてたんだ」



振り返ると、ずっと閉まっていたはずの真ん中のドアが、開いていたらしい。



「怖くね?」



真田は一通り把握すると、



「……分かった。先生たちに一応報告しておこう。でも女子トイレだからなぁ。優香、頼める?」


「時間もあるから大丈夫。運営のテントってあれだよね?」



この間の事件のこともある。

対策するに越したことはないだろう。



◆◆◆



「くそっ、まだ谷地は見つからないのか?」


「小宮山の行動を見る限り、来てるのは間違いないのだがな……」



父兄のような恰好をした男が二人、ひそひそと言葉を交わす。



「油断するな。奴の能力を使われたら、何をされるかわからん」



もう一人加わった。



「いざとなれば、君らの能力で捕縛してもかまわん。責任は私がとろう」



つまり、彼女の捕獲は、それだけ価値があるのである。



「あの~」



そこに、若い女性が近づいてきた。

だが、男たちは訝しんだ。

そのうちの一人が、



「〈どこから来たんだ?〉」



という趣旨の英語を使う。



「あ、私、日本語ダイジョブです」


「ああ、そうか。で、何か用かな?」


「連れを探しているのですが……」



表現が若干古い。日本マニアだろうか。

しかし、タダの観光客がこの場にいるのはおかしい。父兄すら招かれていないのだ。



「おまえ、どこの国のスパイだ?」


「え、違いますよ、ワタシ?」


「嘘をつくな。日本軍に外人はいない」


「? 今日は運動会ですよね?」



しらを切っているが、態度がよそよそしい。



「この女、捕まえろ。何かしらの情報を持っているに違いない」



リーダー格の言葉に従って、部下二人が捕えようとする。



「――なるほど、やっぱり狙いは、私か」



聞き覚えのない声に、注意をそがれて。

視界が、真っ暗に変わる。

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