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カップ麺と呼ばれた男 ~とある能力者の成長物語~  作者: 岡部雷
総合優勝が最高学年なのは当たり前。(体育祭編)
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第55話 勢いがあるかないかで、何事も行方が変わる。

決勝戦。

結論から言えば、勝った。



「反則ギリギリじゃねーか……」



呟いたのは俺ではなく、真田だ。

この競技、能力を使うことは許可されているが、一応スポーツマンシップに則り、怪我をさせないが大前提である。



「あんなの卑怯だって」



味方からこの言われよう。

何をしでかしたのかというと。



・試合開始のホイッスルと同時に、短期決戦を狙った相手クラスは、《ワープ》の能力者を使って味方をこっちの棒の先端に送り込もうとする。

見た目で言えば、空間にゲートが出現している。


・ところがうちのクラス、ゲートに加藤女が火炎を一気に送り込む。相手がいようとお構いなしに。ここで、佐藤さんが姿を消して移動開始。


・ゲートを通じての火災を恐れた相手チームの《ワープ》能力者、慌ててゲートを閉じる。


・間髪入れず、江川さんが爆風で伊藤を敵陣まで一気に吹っ飛ばす。(伊藤の《無効化》は、能力者本人に触れないと発動しません)


・厄介な奴が飛んできたことにより、棒を守っていた生徒の数名が逃亡。空白のポイントができる。


・その空白部分に佐藤さんが姿を現す。伊藤は受け身を取りながら着地。いきなり現れた敵に、相手チーム動揺。なぜなら、向こうに佐藤さんの姿が見えるから。しかしこれは、《迷彩》の能力で見えた目を変えた岩たん。


・佐藤さん、伊藤を台にして棒に飛びつこうとするも、相手のクラスの一人が棒を動かしたことにより失敗。(今回のルールでは、完全に棒を完全に倒すか、ギブアップのみが勝利条件。棒持って逃げるのもアリとされている)


・相手が棒を持って移動した地点に、桐山がはるか遠くの空から雲に含まれる水分を操って高速で叩き込む。


・予想外の衝撃に耐えかね、向こうの生徒が棒から手を離す。うちのクラスの勝利。



「山田さんの役割は、棒を持った生徒がどこに動くかを桐山に知らせる、か。今日みたいにほとんど雲がないと、少ない量を的確な位置に落とさないと、この賭け、成立しないもんなあ」



山田さんの能力、《伝達操作》は、乗っ取りが一番手っ取り早いのだが、今回はそういう使い方は禁止されている。そこで相手の運動神経に流れる電気信号を読み取る、という荒業をやってのけたのだ。

桐山も、最終戦に向けて何もしなかったわけではないらしい。

天気だけ見れば快晴に分類されるだろうが、実は雲が全くないわけではない。

(快晴は、雲量が0~1のとき)



「小宮山先生がいてくれたら、あいつらの行動止めてくれただろうになあ」



つまり桐山は、初戦からずーっと、ほとんど雲が空に見えない状況で、わずかな雲の水分を集めていたのだ。



「怪我しなくてよかったかもしれないけど、やり方汚いって」



真田が頭を抱えている。二瓶さんも抱えている。

学級委員として、責任を追及されるからだ。



◆◆◆



小宮山だけではない。

他のクラスの担任も、自分の受け持つクラスの近くにはいない。


前月の事件は解決したとはいえ、警戒は怠らないようにと、上からお達しを受けている。

常に外部や、内部への直接侵入を防ぐ必要がある。


それでも、小宮山には職務を投げ出しても、把握しなければならないことがあった。



「それ、本当ですか?」


「あんたに嘘ついたってしょうがないでしょ!?」



聞かれた方の花田は、いい年にもなって泣きそうになっている。



「あんたの生徒が、あたしの全力の攻撃を跳ね返したんだよ!」


「……」



範囲型で、そこまでの出力?


小宮山は記憶を探る。

範囲型の良い点は、全方位に安定した能力の展開である。これにより、後ろから近付いても有効圏内に入ってしまえば、能力を身に浴びることにある。

しかし、防御をという項目で見ると、これは弱点でもある。

一点集中に弱いのだ。


範囲型と対になる直結型なら、他を捨てて一ヶ所の防御に専念することができる。点には点で対抗しうるのだ。

範囲型では、できない。



「でも、花田先生も範囲型でしょう?」


「流体力学極めて、一点攻撃したのに?」



彼女の能力は《流体操作》。気体の流れを操れば、真空砲だって作れるのだ。



「榎本の防壁、元々のスペックが高いとは聞いてましたけど、そこまでとは」


「あんた担任のくせに何やってんの?」



負けた教師に責められた。



「確かに、範囲型でそれができるくらいの強度ってなると、持続時間延ばすの、難しいでしょうね」


「まあね。でも、ずっと訓練して一向に延びないのもおかしいけど。……まさか、あんたの組織に引き入れるつもり?」


「え? いや~」



図星だった。



◆◆◆



怪我を負ってない、という理由で、勝者、我が1年2組。

しかし、周りからの目が痛い。刺すような、というか、本当に刺しに来そうな気配だ。



「おまえらさ~、もうちょっと手加減しろって。実行委員の先生から、発案した生徒に反省文書かせろって」



真田の手には、分厚い原稿用紙が。



「で、誰のアイディアだ?」



皆の手が、ある人物を指していた。



「おまえかぁ! 光太郎!」



伊藤は悪びれもせずに、



「まあ、勝ったから」



スポーツマンシップの欠片もねえ。

とにかく、学年ではいまだトップを維持している。



さて次は……?



「なに作ろうかな~♪」



借り物競争。


さて、次のコンビは、どう動く?


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