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カップ麺と呼ばれた男 ~とある能力者の成長物語~  作者: 岡部雷
総合優勝が最高学年なのは当たり前。(体育祭編)
53/60

第52話 人に食事を作るときは、嫌いなものを聞こう。間違って出さないように。

「おい、榎本、悪いんだけどちょっといいか?」



能力者というのは厄介なもので、一度の発動で地形を変えてしまう輩もいる。

なので、その都度地面を元に戻さないといけないのだ。

一度の競技に付き、必ず10分程度の時間が生まれる。


トーナメント形式で、あともう一度試合が終われば、準決勝が始まる。

その間、クラスメートたちは次の相手への対策を練っているのだが。


小宮山先生に、俺が一人、呼び出された。



「どうしたんですか?」


「大変言いづらいんだがな……」



珍しく歯切れが悪い。いつもはどんな厳しいことでもはっきりさせるタイプなのに。



「花田先生がマジギレしてる。おまえに」


「はい?」



疑問形で答えたものの、俺にはある程度予測がついていた。

自分を負かした生徒を、これからも教えなくてはならないなんて、大人としては屈辱だろう。



「違う。おまえが先生を復帰させるために努力してたことにキレてた」



思っていたのとやや違っていた。



「なんでも、あの人この職場辞めたがっててな……」



着任してまだ1ヶ月経ってないぞ、あの頃。



「それで、免職に厳しいうちのルールを逆手にとって、あえて負けたらしいんだけど」


「……あの特訓、意味なかったですね……」



がっかりはしていない。あれのおかげで俺の能力は新たな可能性を見出したのだ。

それでも、本来の目的からすれば、ガッツリ無意味だが。



「なんで辞めたがってるんですか?」



小宮山先生は周囲を警戒しながら



「……おまえは事情を知ってるから話すけど、あの人軍の人事部から来てるんだよ。ただ、上司の要求が無茶すぎて、ノイローゼになりかけてるらしい」



『無茶』をいくつか聞き出すと、確かに面倒だった。



「俺も、おまえの特訓に参加したっつったらえらい剣幕で睨まれた。当事者のおまえにもあたるかもしれないから、先に教えといてやる」



女って怖い。



◆◆◆



俺がテントに戻ると、準決勝の対戦相手が張り出されていた。うちのクラスは、3組が相手だった。



「どこ行ってたんだよ?」


「ちょっとな」



真田の問いを軽く受け流す。



「で、3組相手にどうすんの。確か初戦では《巨大化》を使った生徒が棒を普通に倒してたよな」



うちのクラスにも《拡大》と呼ばれる能力を持つ生徒がいるので、具体的な違いを挙げると、

・《拡大》は体の一部を大きくする。(例:手、足など)


・《巨大化》は、体が全部大きくなる。



尚、「大きくなったら密度が変わって云々」という疑問にお答えするために、この世界で使われている「擬似質量」という理論について、後で説明する。



とにかく。



「むこうだって、毎回それだよりってわけにもいかないと思うから、いくつか策は用意したよ。この場合、伊藤がキーマンだな」


「なるほどねえ」



さっきのような、いきなり自然現象をぶつけ合うようなやり方は、あちらも対策を練るだろう。



「でも、ミスッチとか、こうちゃんとかが、次活躍するって聞いた気がしたんだけど」


「それもちゃんと考えたよ。ただこれから、一番地味に活躍するのは桐山なんだけどな」


「《液体操作》? なんで?」



真田はニヤッと笑うと、



「作戦会議にいたら、おまえの面白そうな顔が見れたと思うと、残念だよ」



どうやらすごい策を立てていたらしい。

実際、そうだった。

事件については、第24話からご覧ください。

(↑リンクはれなくてすみません…)


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