第40話 思い返すとおかしい話。
主人公の行動読み返したらこうでした……。
襲われた高久先生によると、小宮山先生と敵が戦っていた時、病室から二瓶が出てきた。
戻るように指示した小宮山先生に向かって、彼女は自身の能力、《空間操作》を発動して小宮山先生をぶっ飛ばしたらしい。
その小宮山先生は、頭を強く打ったらしく、まだ意識が戻ってない。
「そんな……」
「いい人だと思ってたのに……」
そんな声がちらほらと聞こえてくる。
「これで、おまえの説は完全に成立したな。しかしこの短時間でよくそこまで結論づけたな。……でも、なんでそんなこと考えたんだ? 一応クラスメートだろ」
「別に怪しいとは思わなかったんだけど、前に襲われた人が怪我してるのに、こっちが無傷なのが気になっただけだ。それに、おまえが言ったんだろ、『凍らされてないのが気になる』って」
「あ~、一緒に逃げるのに足手まといになるのはまずいってことなのね」
「それに、俺が言った段階ではあくまで可能性だった。でも、事が起こったのは正直驚いてる」
「「「本人が!?」」」
数名からツッコミが飛んできた。
「だっておまえ必死になって説明してたじゃん!」
「うちら全然信じてないのにベラベラ喋ってたじゃん!」
「最後の方涙声になってたの知ってるからね!?」
田部、加藤さん、福原さんからの、容赦ない嵐だった。
だが実際そうである。
普通クラスメートを疑うなんて発想にはならない。よほど頭がおかしくなったとしか思われないだろう。
「こいつもうダメだ、って正直に思った人手ぇあげて!」
柊さんが言うと、ほぼ全員手を上げた。
秋山さんまで。
「あれ、俺痛い人だった?」
やばい。思い返したら恥ずかしくなってきた。
◆◆◆
「しばらく出番がないと思ったけど、思ったより早いよね」
「社長、何の話ですか?」
「ううん、別に」
「今、学生を狙ったテロが頻発してるそうです」
「ふーん」
「外国の組織らしいです」
「へー」
「……国からの防衛依頼、きちんとこなしてます?」
「うー……ん?」
「やってのんか?」
「多分、ね。……分かった。分かったからその拳は降ろそう、今日華ちゃん。やるから、仕事するから。君の能力でやられたら色々とまずいことが――!?」
◆◆◆
「あの社長がこっちの依頼をまともにこなすと思ってる方が間違いですよ。現に、今の日本にどれだけのスパイが出入りしたと思います?」
鶴宮は会議室で、部下がまとめたレポートを叩きつける。
その分厚さは、辞書と遜色変わりないレベルだった。
「自分で言うのもなんですが、あいつは私の言うことしか聞きません。あなたたちが管理するなんて土台無理な話なんです。学校が襲われたそうですね? しかも生徒がさらわれた。この責任をどうやって取るつもりですか? 首がいくらあっても足りませんよ?」
珍しく感情的になる鶴宮に対し、幹部たちはバツの悪そうな顔をするだけだった。
「軍に対する風当たりが強くなる要因を、わざわざ作ってどうするんですか?」
軍の絶対権力的な姿勢に対して、不満を持つ国民も少なくない。そんな中で、鶴宮はこれでも努力してきたのだ。
それが、たった一ヶ月の間に瓦解した。
鶴宮は一枚のレポートに注目する。
それは、軍の支持率だ。この一ヶ月でなんと5パーセントを下回るという、内閣だったら総辞職レベルにまで落ち込んでいた。
原因は、人事の強制的な一掃と、今回の事件である。
あまりの暴走に付き合いきれなくなったと、国民から突き放されたのだ。
「しかし、学校の襲撃は奴が仕事をしなかったからで――」
「見込みが甘いんだよ! なぜあいつが軍を嫌ってるか知ってるか! おまえらのような人間がいるからだ!」
階級や役職を見れば、この場にいる人間は、鶴宮よりも上になる。だが、それを全く意識しなくなるくらい、彼の怒りは頂点を越えていた。
怒髪天を突くとは、まさにこのことだ。
「……あいつがいたほうが、まだマシな組織でしたよ。切り捨てたのは早計でしたね」
これ以上は、自分の領分ではない。
鶴宮は、解雇通知が幹部たちの前に配られたのを確認すると、会議室を辞した。
◆◆◆
「小宮山先生はまだ目が覚めないし、二瓶たちの行方も分からない。現状、俺らにできることってねーよな」
身の安全のためとはいえ、体育館に缶詰めではさすがにやることもなくて暇である。
配られた端末でネットを見るくらいしかやることがない。
何せ、入ってるアプリ以外はダウンロードできない仕様だ。
「そうは言うけど、優哉はなんか考えてんだろ?」
「あのなあ、俺は伊藤の楽観視しすぎな頭をどうにかしたいくらいだよ」
その時、ふと視界の隅に。
端末を持って青ざめる、秋山さんの姿があった。
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