表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カップ麺と呼ばれた男 ~とある能力者の成長物語~  作者: 岡部雷
楽観視しやすい人は、上のポジションにいたらまずい。 (学校襲撃編)
40/60

第39話 「やるな」と言われたらやりたくなるけど、それを見越して「やるな」と言われるとやらない。

またこんな時間に投稿。

小宮山先生が襲われた上に、病室にいた生徒がさらわれた。

異変を感じ取って、応援が駆け付けた時には、泡を吹いて気絶していた教師と、何らかの攻撃を受けて気を失った小宮山先生以外には、誰もいなかったそうだ。



学校からの緊急通信で、軍の関係者がリアルタイムで説明した。

もはや、学校すら安全とは言い切れなくなってしまったのである。

一部の生徒は大人の失態を責めたが、そもそもの前提がおかしい。



「だって、警護のど真ん中だよ? どうやって現れたかすらいまだ不明なのに」



これを言われてしまうと、俺たち子どもは何も言い返せない。


《ワープ》を使った可能性が高いのだが、問題なのは、そこが「立ち入り禁止」だったことだ。

これはただの文言ではなく、範囲型の《無効化》能力者がいたのに、という意味だ。


説明した教師によると、この能力は「自分が訪れたことがない場所」でも、理論上移動は可能だ。

ただし、「座標に自分の能力を送る必要があって、そのルート上に《無効化》能力者がいたら、移動はキャンセルされる」そうだ。

そして、範囲型と名の付く場合、この手の無効化は、「一定範囲に入れば強制的」に行われるらしい。


更に今回は、襲撃された直後という理由もあり、数が元々多くないこの能力者をかき集め、全方位で二瓶さんのいた病室をガードしていた。

まさに鉄壁だったはずなのだ。



「それを何らかの方法を使って突破した。これはまずい。君たちの安全が全く保証できない」



大人が頭を抱えている案件を、子どもが解決できるのかと言われると、文句を言っていた生徒も黙った。

子ども特有の自由な発想を使えばどうにかなるのかもしれないが、パニックに近い状態では、平静を装うので精一杯だ。



「今すぐ、必要なものだけを持って学校の体育館に移動してください」



◆◆◆



体育館に集合した後、クラスごとで固まるよう指示された。ほとんどのクラスが揃っている中、俺たちのクラスだけ、1人分の空白がある。

やることもなく、いつ来るか分からない恐怖に皆が怯えている。



「なあ、優哉。俺は正直、さっきまでおまえの想像に反対だった。でも、この状況を説明するには、おまえの考えしか当てはまらないんだよな……」



真田が本気でしょげていた。



「わたしも、榎本くんの言うことは嘘だって言いたい。優香ちゃんがそんなことするはずないって」



秋山さんは半泣きだ。



「俺だって自分の意見は強引だと思うし、みんなにボコられても仕方ないと思う。ただ、こうなった以上は、二瓶が犯人グループとグルの可能性も考えないといけないと思う。もし違ったら、後で殴ってくれていい」



俺の考えとは、そもそも二瓶がさらわれも危害も与えられず、気絶だけさせられたという点に注目したことから始まる。

小宮山先生の話なら、一度で数人を倒せる人間が、素早くその場を離れなかったのも疑問だし、まるで先生たちが来るのを待っていたかのようにも思えたのだ。

シェルターへの移動中に襲われたらしいが、話を聞くと、移動を願い出たのは彼女らしい。

わざわざ危険な外へ出た理由が、これなら筋が通る。

そこから俺が導き出した結論。



「今回に限って言えば、犯人の目的はデモンストレーションじゃないかと思う。わざと警戒度を上げさせて、それを突破すれば、こっちが食らう精神的ダメージは半端じゃないから」


「『おまえらなんていつでも殺しに行けるよ』っていう?」


「ああ。で、仕組みは分からないけど、二瓶は何らかの形で協力したんじゃないか? そのために、厳重な警備の中に入る必要があった」


「俺としては、二瓶がそんなことするとは思えないけどなあ」


「じゃあ伊藤の意見は?」


「分かんねえけど」



そこへ、ある先生が駆け込んできた。



「高久先生の意識が戻りました! それともう一つ! 二瓶優香はテロリストの協力者です!」



全員が息をのんだ。



◆◆◆



……

…………



「……って、今頃はばれてるだろうけどね」


「しっかし、おまえよく考えたよなあ。『俺を小さくして懐に入れて、頃合いを見計らって元通り!』。おまえの能力にそんな使い道があったとは!」



とある場所。一人の男と、一人の女が話している。

大きな声だが、誰かが気付いて近づいてくる様子もない。



「使えるって分かったときは、デカいものの密輸くらいにしか使い道が思いつかなかったけど、人間にも使えるとはねえ。指定した範囲にあるものを、空間ごとまとめて小さくできるなんて」


「ただ、小さくなってる間は動けねえんだよな。それがきつかったぁ!」


「ごめんごめん。今度はもうちょっと上手くやるからさ。それにしても、自分の生徒に狙われたときの教師の顔は面白かったなあ。騙されたって分かった瞬間、人ってあんな顔をするんだね」



そう語る彼女の声は、まるできれいな夕陽を見て感動したかのような純粋さすらある。



「で、次はどうするんだ? 上からの指示ではなんて?」


「あの学校、今年はいい感じの能力者が揃ってるから、また手頃な奴を連れて来いってさ。二人もいなくなったら、あいつら焦るだろうねえ?」


「げ、また行くのかよ! どうすんだ? おまえは戻れないだろ?」


「下手に侵入して、《無効化》に捕まったら面倒だしね。そうだ。これを使おう」



そう言って、彼女は端末を取り出す。



「あいつらの学校で使ってるやつか。GPSとかは大丈夫なのか?」


「バッテリーは抜いてある。この後別の場所から、これを使って適当に脅迫状でも出せば、友達助けに来るでしょ」


「軍や警察は間違いなく来るぞ? それに、協力者扱いされてるんじゃなかったか?」


「大丈夫。それについては対策があるから」



男は、こいつ悪いこと考えさせたら本当に嬉しそうな顔するなあ、と思う。

味方だったら心強いが、敵だったら最悪ではあるが。

毎日投稿します!

面白いと思ったり、続きが気になるなぁと思ってもらえたら、ブクマ登録や評価をいただけるとモチベーションに繋がります!

ご意見、ご感想もお待ちしてます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ