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カップ麺と呼ばれた男 ~とある能力者の成長物語~  作者: 岡部雷
落とし穴はどこにあるか分からない
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第29話 丸いおにぎりは茶碗を使うと上手くできる。

「かなり無茶な作戦だけど、今日華ちゃんの案じゃないよね?」


「……谷地さん、こんな作戦考えるの、うちの社長以外にいると思います? 茶番もいいとこですよ」


「『その教師が教えてる生徒を表彰かなんかすれば、先生の株も上がるんじゃない?』って……。理屈としては合ってるけど、新入生ってのが問題なのに」


「その1年生不意打ちとは言え優秀ですよね? 軍に売り飛ばせばおつりが返ってきそうですけど」


「あなたらしくもないね。まだ15歳よ? それは私達としては見過ごせない」


「冗談ですよ~。それに、公表もできないような人を連れ帰ったところで、正式な評価にはなりませんからね。消されるのは間違いないでしょうし」


「『任せとけ』っていう言葉って、信用しちゃあいけないね」


「社長の、が足りないです。鶴宮さんならマシな作戦を立てるでしょう?」


「そう思って話してみたんだけど、『今回はそれがいい』って」


「……うっそ」


「マジ。それで、うちの部下に今特訓させてる。ただ、直接的に能力の使い方とかを教えちゃうと、あの子の評価になるから、あくまで監督だけの役割だけど」


「それはそれで大変ですね」


「数日前までは微妙だったっぽいんだけど、今日になって自分の能力の応用に気付いたみたいで、このペースなら3週間後の大会に間に合いそうだって」


「問題なければいいんですが」



◆◆◆



「……花田先生の授業の意味が分かったか? そういうことだよ。先生がお前らの授業で見せたものには意味があったんだ」



俺が言った言葉は、先生を満足させるものだったらしい。

すみません小宮山先生。ヒントは同級生からもらいました。

……なんて言えるわけもなく。



「……やっぱあいつ頭良いなあ」



と、呟いてみる。


伊藤が教えてくれたおかげで、俺の能力を移動に使える活路が見えた。

問題は、俺の能力の持続時間である。



「そうだ、レースの追加情報が来たから言うぞ。チェックポイントは今回は3ヶ所。コースは山道だ。片道50キロの往復コース。飛行もありだから、空を飛んで移動する奴もいるだろう」


「まるっきし勝ち目がなさそうなんですが」


「そうでもない。今おまえの言った方法なら、鍛えれば上位は狙えると思う。問題は切り替えのポイントだな……。榎本、今のおまえって、能力の時間の内訳はどうなった?」


「一回の発動の限界時間は変わりません。その代わり、次の発動までの時間が10分まで縮みました」



入学前は、良くて1時間だった。ある意味、先生のスパルタ教育の賜物である。



「つまり、最長5分。次の発動まで10分。体力の回復を考えると、全力で走るのは不可能。むしろ休んだ方が効率がいい。ってことはだ」


「分かってますよ。俺が使える回数は最高で4回。時間は最長で20分。その間に、100キロを移動しないといけない」


「時速換算で300か。人間の動体視力でどうにかなるかな……」


「一回の発動で25キロ。分速5キロですね」


「行けそうか?」


「花田先生のおかげで、耐久力だけは鍛えられましたからね……。今のところ、1キロ20秒まで行けるようになりました」


「タイム的には、あと8秒縮めないと厳しいな。普通の車より早いけど、周りが見えるか?」


「正直、問題はそっちです。チェックポイントが3か所って言ってる辺りで、俺の能力が切れる辺りにありそうだな、とは思いたいんですが」


「多分、それはないだろうなぁ。それを抜きにすれば、スピード自体は問題ないのか?」


「ええ。コツさえつかめば」


「ちなみに、本気出した最高時速は?」


「350でした」


「結構ギリギリだな!」


「ええ。正直これ以上遅かったらどうしようかと思いましたよ」



最も、時速350出せる時点で、自分も驚いたけど。



「能力開発の授業は、おまえは間違いなく最高評価だよ」



何よりも嬉しい賛辞だった。

次回、トラブル発生?


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