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カップ麺と呼ばれた男 ~とある能力者の成長物語~  作者: 岡部雷
トラブルは入学式の前に(序章)
3/60

第3話 勘違いには許されるときと、そうでないときがある。

ここ、〈特別能力者学校〉は、学校にしては広すぎる土地を持っている。

一辺10キロもの正方形の地域を、国有地にすることによって、それを可能にしている。



ちなみにこの学校は、全寮制である。一人一部屋が与えられ、長期休暇以外は、ここでの生活が必須となる。

だが、能力者を育てる名目で大量の税金がつぎ込まれているので、学費はない。



〈学びの場〉よりも〈実験の場〉なのだ。



入学式の帰り道、俺は隣の席の男子、伊藤光太郎と一緒に歩いていた。



「そろそろ教えてよ。一体何の能力?」



改めてみると、こいつかなりのイケメンである。

あの桐山とかいう女、怒ったふりをして実は「キャー、イケメン!」とか思ってるんじゃなかろうか。


当の本人は、俺のそんな邪推には全く気付く様子もなく、



「いずれはバレるしなあ。俺、《無効》の能力なんだよ。ただ、直接触らないと意味ないけど」


「ああ、そういうこと」



確かに、人前では言いづらかろう。


《無効》とはその名の通り、他者の能力を無効化する能力だ。ただし、一口に《無効》と言っても種類がある。


仮に、《凍結》の能力者を相手にした場合。


彼のように、能力者や能力そのものに直接触れて無効化する。

一定距離内に入ったら即座に無効化する。


上記の二つは、条件を満たしている間、相手は能力を使うことはできない。

ごくまれに、「周りは凍ってるけど、自分は全く冷気を感じない」なんてパターンもある。



「確かに、嫌われ者だからなあ」



能力者にとって彼らは、相性による優劣を除けば天敵だ。かくいう俺にとってもそうだが。



「オンオフは?」


「できない」


「あちゃー」



無効化の能力も、制御できる人とできない人がいる。彼は後者だった。

これができれば、周りからの評価もだいぶ変わる。


合点がいった。



「だからか。あの桐山って女子の操作してた水に触れたから。無効化の能力は、操作してる物体の慣性までは消せないから、勢い余って教室があんなことに」


「ほぼ正解。あの先生がいなければ良かったんだけど」



そう言えば、あの後渡辺は帰ってこなかった。

別に心配してないけど。



「まあ、水道に関しては、非があるのは桐山だし、気にしなくていいんじゃね? 水道代だって、どうせ税金だ」


「……そう言ってもらえると助かる。でも、ぶつかった俺も悪いから……」



なんだろう。悪いやつじゃないのは分かっているのだけど、胸のあたりがムカムカする。



◆◆◆



寮の自室。ほとんどアパートだ。なんと1LDK。学生が住むには贅沢なような気もする。



「ふーっ……」



あいつ、伊藤もこの寮にいるらしい。

この学校にはいくつか寮があって、それぞれに違う種類の部屋がある。しかも、希望する部屋がある寮に住めるのだ。


俺が希望したのは「和室がある」だった。フローリングだけだと、どうにも落ち着かない。

条件を満たすのはここだけだったらしく、学校からは一番遠い場所にある。


ただし、徒歩五分だが。


部屋の電気をつけると、開封していない段ボールがいくつもある。

今日はこれを片付けなければいけない。


まずは〈服〉と書かれた段ボールに手を伸ばす――




ピンポン!



誰だ、こんな時間に。

鳴らし方が「ピンポーン」じゃなくて「ピンポン!」だったのにも腹が立つ。

早押しクイズじゃねーよ。



ピンポーン。

ピンポーン。ピンポーン。


ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。



……カメラ付きインターホンの寮にすればよかった。



「はいはいどなぁ―――!?」



扉を開けた瞬間、呼吸ができなくなった。

何かが顔の周りにまとわり着いている。

なんか視界がぼやけてる。


何が起こった!?



「××××××××!」



なんか音が聞こえるけど、はっきりしない。

同時に、顔の周りの「何か」が無くなる。



「……えっと」



彼女、桐山茜はポカンとした表情を浮かべ、



「……あんた誰?」



こっちのセリフだ。







この後、約1時間後にもう一本、投稿します!



面白いと思ったり、気になるなぁと思ってもらえたら、ブクマ登録よろしくお願いします!

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