第24話 使いやすいものは、ほぼイコールでデザインがシンプル。
「ほらほら、ぼさっとしてないで能力を限界まで出して!」
花田先生の檄が飛ぶ。
「全力であたしから逃げ切りなさい!」
「再テストは来月じゃないんですか!?」
「そう言えばあんたらが気を抜くと思ってね! ここで捕まった奴は放課後に補習!」
もう滅茶苦茶だ。
生徒の抗議など、大人の前では無力なのである。
◆◆◆
週明けの月曜日、いきなり午後の授業で、テストを兼ねた鬼ごっこを再び行うと宣言した。
「テストって、まだ俺ら能力が伸び始めたばかりですよ!?」
「甘いこと言ってないで、始めるよ、いーち、にー、さーん、しー」
残酷なカウントから必死になって逃げる。
……かと思いきや。
「あれ、あんたら逃げないの?」
「ここで先生を倒せば、俺たちはもう先生の授業を受けなくて済む! 校長と約束をこぎつけました!」
隣のクラスの面々が一丸になっていた。向こうは向こうで大変だ。
「ほう?」
いつもは逃げていた人が、恐れに立ち向かっている。
「じゃあ、かかってきな」
◆◆◆
幕切れは早かった。
反逆に参加しなかったのは、クラスが違う2人だけだった。
「なあ、榎本。花田先生のって、合気道だよね?」
「相手の力を利用するってやつ? まあ、見た感じはそうだな」
「にしても、強いなあ」
「そりゃ、俺らの先生やんなきゃいけないんだから、もしものことがあったらまずいでしょ」
先生の足元に折り重なる彼らが、もしも犯罪者だったら、心強い光景だ。
だが、逆に見方がやられていると考えると、身の毛がよだつ。
「やれやれ、わたしの授業気に入らない?」
「基礎のきちんと押さえてないのに、応用をやれって無理な話だとは思いませんか」
「あのね、あんたらは基礎はできてんの。応用鍛えるには実践するしかないでしょうが」
俺たちの能力のタイプは、「能力そのものは既に完成している。それが先になってしまったので、使える時間が短い」。
「……あんたら今日は成績優秀な二人の逃げっぷりを見てなさい」
え、続けるの?
◆◆◆
場面は冒頭に戻る。
「勝てねえって絶対!」
俺の能力は一回の時間が極端に短いうえに、乱発が利かない厄介なタイプだ。
「そんなこと言ってるから、いつまでも逃げられないんだよ!」
両足にジェットエンジン付けて言う台詞じゃねえ。
花田先生の両足には、まるで竜巻のように風が吹いている。
しかも、先生の能力は正式名称が《流体操作》。
お分かりのように、液体と気体の両方を操る。変な話、捕まったら最後、肺の中の空気と、体中の水分を抜かれる可能性もあるのだ。
考えている間にも、先生の手が近づいてくる。
「こーなりゃ……」
俺は昨日自分の能力を見て思いついた、奥の手を使ってみることにした。
先生との距離が詰まる。
「まーた、疲れちゃったああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!???」
同じく暴風を纏った腕が伸びてくる。
次の瞬間、花田先生は見事に吹っ飛んだ。
主人公の話がようやく動き出します。
毎日投稿します!
面白いと思ったり、続きが気になるなぁと思ってもらえたら、ブクマ登録や評価をいただけるとモチベーションに繋がります!
ご意見、ご感想もお待ちしてます!




