第23話 頭数を揃えればよいというものでもない。
前のところで誤りがあったので書き直します。
すみません……
体育館の後片付けが終わると、小宮山先生が飲み物を配っていた。
炭酸が苦手な俺は、無難にオレンジジュースをもらう。
「まさか《伝達操作》をずっと張ってたとは思わなかったなー。それで俺らの動きが見えなくてもバレたと。一本取られた。つか真田、もしかして今回能力使ってなくね?」
《伝達操作》とは、簡単に言えば体の乗っ取りである。相手の運動神経に介入し、動きを封じたり、自分が思うように動かす能力だ。
しかしこれの前段階として、神経に入っているので相手の動きが読めるのだ。今回はそこを突かれたらしい。
「まーそうだけどな。そう落ち込むなよ。優哉たちだって結構いいとこまで行ったじゃん」
慰められても、悔しいものは悔しい。
「つーか、一番ノリノリだったな、おまえ」
「うるせー」
テンションが上がったっていいじゃないか。
◆◆◆
とある山奥。その一ヶ所にて、煙が上がっているエリアがある。
1人の女性がその中を歩いている。目的のものを見つけると、彼女は駆け寄った。
「どうでした?」
「どーもこーもないよ今日華ちゃん。数撃ちゃ当たるっていうけどさ、あれはひどいって。リアルすぎる玉砕覚悟じゃない」
そう語る人物の足元には、数百人に及ぶ人間が倒れている。
「……殺してませんよね?」
「それくらいのさじ加減は問題ないって。大丈夫、みんな気絶しただけだから」
「これ、相当な戦力つぎ込んでますよ。どれだけ構想練ったんでしょうね」
倒れているのは、単純な戦力ではない。国ひとつ落とせるレベルだ。
「言うても、君が本気を出せば蹂躙できるじゃないの」
「それは否定しませんけど、この先、この人たち軍でやっていけるんですかね? 数日は日本の防衛力はガタガタになるでしょうし」
「その件でさっき鶴宮さんから電話が来てさー、戦力の補充に時間がかかりそうだから、その間私が代わりにやれってさ」
「冗談でしょ!?」
「どっこいマジだ。なんでも、今年の学生たちは結構即戦力になりそうだから、使い物にならない世代を一掃したかったんだって」
涼しい顔をしているが、言っていることはかなり人道から外れている。
「……立案は鶴宮さんじゃないですよね?」
「あの人はああ見えて、割り切るの苦手だからねえ。違う人らしいよ」
今日華がほっと息をつく。
「あ、そう言えば、社長に言われた生徒、調べておきましたよ。なんか使い勝手が悪そうな能力ですね」
ある人物のプロフィールを、彼女は鞄から引っ張り出す。
「どうしてこの子を?」
「それはね、この子が人類の悲願のカギを握っているからさぁ!!!!!!!!!!」
オーバーなリアクションはいつものことだ。
今日華は今度はため息をついた。
◆◆◆
「小宮山先生、休日出勤ご苦労様です」
「なんですか、花田先生。何か嫌味でも?」
「いいえ。優秀な生徒をお持ちのようで、羨ましいんですよ」
「今度の体育祭は楽しみですね。今年の5年生は特に成績がいいらしいので、お互いに頑張りましょう」
「申し訳ありませんが、そちらの取り分はありませんよ?」
「はい?」
「実は今日、異例の事態が起こりまして、集団退職によって、我々の戦力は大幅に低下しています。これは国の存続に関わる事態ですので、全国から新人を急きょ募集することになったんですよ」
その言葉の意味を察した小宮山は、目を見開いた。
「まさか、そのためにあの会社に喧嘩売ったのか?」
「いいえ。あくまでこれは事故ですから」
花田は薄笑いを浮かべながら、その場を辞す。
目的を見抜けなかった己の愚かさを呪いながら、小宮山は地団太を踏んだ。
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