第21話 学校あるある―② 小学校だと、同じスポーツでも学年で、ルールが違う。
ジャンプボールは、こちらに渡ってきた。
外野は各チーム最初は3人。内野は一度ボールが当たれば外に出るが、外野から当てることができたら内野に戻れるルールが採用されている。
元々外野の人は、当てても入れないとする。
最初にボールを手に取ったのは、江川さんだ。
彼女の能力は《気体操作》。
簡単に言えば風を操る能力だ。
風でボールを浮かせ、空中で回転をかける。
そのまま投げると、剛速球となって相手のエリアに飛んでいく。
「初手からえぐいね~」
西山にしっかり受け止められていた。
彼女の能力は、自分だけではなく、一定範囲内の無生物にも及ぶらしい。
その証拠に、あれだけ早かったボールが、一瞬にして速度を失う。
「んじゃ、こっちも!」
さっきと同じくらいのスピードでボールが返ってくる。
狙いは秋山さんだ。
「させねえよっ!」
クラス1の怪力、宇田川が真正面から受け止めた。
彼の能力、《身体強化》はシンプルだが純粋に強さに繋がる能力だ。
細かい説明は省くが、外部要因への耐性が異常に強くなる。
今だって、他の人がまともに受ければ怪我は避けられない。
「おりゃあっ!」
宇田川も全力で投げている。真正面が女子だろうが関係ないようだ。
「ざーんねん!」
なんと盾を作り出していた。
福原さんの能力は《物質生成》だが、これも少しややこしい能力なので、今回は説明を省く。
「先生! これはありですか!?」
「自分のチームの範囲だ。認める」
宇田川の抗議は、あっさり却下された。
「ねえ、ボールは!?」
「え?」
佐藤さんの声に、辺りを見回す。
どうやら気を取られている間に、ボールが相手の外野の手に渡っていたようだ。
だが。
「ん? ボールは?」
飛んでいった方向にない。
首をかしげていると、
ポテン、と外野近くにいた宇田川に、ボールが当たった。
「……え?」
当たった本人が一番驚いていた。
◆◆◆
現在、こっちのチームは、内野6人、外野4人。
あっちは内野7人、外野3人。
「岩田か!」
彼の能力は《迷彩》。自分と触れているものを周囲の景色に成りすませる。
「くっそ、やられた!」
悔しがっているが、表情は明るい。宇田川はそういう奴だ。
「こっちも負けてられねえな!」
次にボールを持ったのは田部。だが彼は、ボールをアーチ状に投げて、外野に渡す。
「俺に向かって全力で投げろ!」
彼が指示すると、最初から外野にいた一人、渡辺が本気で能力を使った。
渡辺は《個体操作》。無生物の固体なら基本的になんでも動かせる。
ボールは、慣性とは思えない速度で相手チームの内野を一直線に進む。
次の瞬間、俺が見たのは、巨大化した手のひらだった。
「「「うおおおっ!?」」」
向こうも驚いたのか、何人かが後ずさるのが見えた。
これは田部の能力である《拡大》。エネルギーを使って巨大化した体の一部分を作り出す。
見た目で言うと、半透明の超巨大手袋だ。
どうやら衝撃を吸収できるようだ。そのまままた外野に渡す。
「任せろ! これを繰り返せば勝てる! 見方は俺が守るから、全力で来い!」
それから数回は、上記のループになった。
渡辺は投げる位置を変えたり、ご丁寧にスピンをかけたりして、相手チームを翻弄する。
やがて。
「ごめん!」
二瓶さんにボールが当たった。正直、彼女は今回戦力外だ。
なぜなら、彼女の能力、《空間操作》は単純にスポーツで使うには危険すぎるからである。
◆◆◆
それからしばらくは、誰もボールに当たらない。結構な速度でボールをやり取りしているが、皆慣れているのだ。
本田が再びボールを受け取る。
「よし、今度は――」
ホイッスルが鳴った。
「おい、田部。さっきからおまえばかりがボールをもらってるな。今日はドッジボールじゃなくて、能力の訓練をしたいって言うから許可を出したんだ。他の人間にもやらせろ」
田部は一度小宮山先生にぶっ飛ばされている。
それがトラウマになったのか、今までの勢いが嘘のようにボールを手放した。
「じゃあ、うち投げていい?」
次にボールを取ったのは柊さん。
「えいっ!」
……お世辞にも、いいボールとは言い難い。
だが。
「あっつい!」
ボールを取ろうとした浜田が、取り落とした。
「あらかじめボールを熱くしたのだ!」
恐ろしいことをサラッと言う。
現在、こちらのチームは、内野6人、外野4人。
あっちのチームは、内野5人、外野5人。
実はもうすぐタイトルを変更します。
詳しい説明は、またそのときに。
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