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カップ麺と呼ばれた男 ~とある能力者の成長物語~  作者: 岡部雷
緩いところと締めるところ。
17/60

第16話 土台がしっかりしてないと、必ず崩壊する

そんなこんなで数日。


午前中は普通の高校の授業。

午後は鬼のような先生たちと恐怖の鬼ごっこ。

ちなみに、捕まった生徒はその場で腕立て20回。


それが普通になりかけたころ、急に午後の授業が座学になった。



◆◆◆



俺を含む《範囲型》能力者は、隣の教室で受けることになった。

《直結型》は人数が多いために、大きい教室に移動している。



「さて、今日からは範囲型を極めていくための授業を行います。昨日までの鬼ごっこは、いわばテストみたいなもの。これからみっちり鍛えて、来月もう一回鬼ごっこをしたときに、どれだけ成長しているか楽しみです」



花田先生は黒板に《範囲型、直結型の長所と短所》と書く。



「まず、範囲型と直結型の分類について。一番分かりやすいのは念動力ね。この表を見れば、なぜ範囲型が少ないのかが分かります」


《念動力における、範囲・直結の見分け方》



問1・触らないと動かせない 


YES→直結型

NO→問2へ



問2・視界に入ったものしか動かせない


YES→直結型

NO→問3へ



問3・動かせる《重さ》と《距離》が反比例になる 


YES→直結型

NO→問4へ



問4・本気で物を飛ばすとき、物体に慣性が働く


YES→直結型

NO→範囲型




「最後の問題は、自分の能力の及ぶ範囲外まで物が飛ばせるか、と言う意味です。その範囲を出た途端に下に落ちるものだけが、範囲型の能力者になります」



これだけでも全体の8割が直結型の能力者。確かに少ない。



「だから、一人もいないなんてこともよくあるけど、今年は多い方ね」



うちのクラスは、俺と西山。隣のクラスは、男子が4人と、女子が3人。



「40分の9だったら、まあ、妥当な数か」

「確かに、遠くまでは能力使えないわ、うち」

「逆に近距離だと、めっちゃ強いよな」



隣のクラスが楽しそうだ。



「それと、範囲型の大きな特徴の一つ。それは」



花田先生が自分の能力を使う。彼女の能力は《流体操作》だ。体を軸にするように、風が発生する。教卓の上の書類が宙を舞った。

しかし、ここまでは風が来ない。



「このように、自分の能力をシャットアウトできることです。直結型だったら、周りの空気まで巻き込んで風が起こります」



そこで花田先生は一人を呼んで、自分に向かって手を突き出すように言った。

見えやすいようにと、手にハンカチを持たせる。



「あ、凄い」



生徒が感嘆の声を上げる。



先生との距離が一定のラインを越えた途端、ハンカチがはためき始めた。

離れると、また重力に従う。



「直結型とは異なり、範囲型の能力はグラフで表すと、横一直線。範囲が固定されている分、運べる重さにはほぼ限界がありません」



おお、と念動力を使うらしい隣のクラスの男子がガッツポーズをとる。



「ただし、運べる範囲は、良くて半径数メートルが関の山です」



ええ、と今度は落胆の表情を浮かべていた。



「わたし達範囲型のデメリット。それは『能力の有効範囲が極めて狭い』。わたしも、能力は半径1.5メートルが有効範囲の限界です」



つまり。



「わたしに抱き着けば暴風を食らうことになりますが、一定の距離を保てば、わたしから何かをすることはできません」



はい、と別の女子が手を上げる。



「じゃあ、西山さんみたいな人が、加速した状態でボールとか投げたら?」



範囲を出た途端、剛速球がヘナチョコに早変わりするのか?



「その場合は、加速した速度が上乗せされます。ただ、自分にボールが飛んできたときは、例え視界に入っていても、ボールがある程度近くに来ないと、それの速度は操作できません」



なので私も、と手のひらに消しゴムを置く。


次の瞬間、ドン、と鈍い音と共に、後ろの壁に消しゴムが埋まっていた。



「流体操作の応用で擬似真空を作り出して、それを利用して物を飛ばしたりはできます」



兵器じゃねーか!!!!



「ちなみに、範囲型に分類されるのは《念動力》及びその下位能力、《速度操作》、《バリア》、《空間形成》、《温度操作》、《空間操作》、《吸収》、《無効》の一部だけです。それ以外の能力は全て直結型になります」



この世界において《念動力》の定義は「気体・液体・個体の全てを、動かす力」である。つまり、このうち二つを動かせる《流体操作》は、《念動力》の下位にあたる。



「これらを踏まえたうえで、明日の授業は、学校の近くの川に行きます!」



まだ四月だというのに、外の日差しは、すでに夏のようだった。



◆◆◆



都内のとある場所。

敷地600坪の広大な面積を持つ、日本家屋があった。



「旦那様、お食事の用意が整いました」



若い男が襖の奥から声をかける。



「ああ、分かった。持ってきてくれ」



返事をしたのは、50代前半の男。細面の顔だけをみると、優しそうなおじさんだが、時折見せる鋭い眼光は、見たものを戦慄させる。



数分も経たないうちに、食事が和室に運び込まれる。

ビーフシチューとローストチキンである。

若い男――早馬(はやま)は、30代くらい。格好は執事である。



「今日はお加減が悪いようですが」



「ああ、分かるかい? いやね、俺はどうにも軍という組織には合わないらしい。今日、『あの会社』がらみの計画から外されたよ」



「ああ、それで」



「勝ち目がないからやめておけと言ったんだが、どうしても自分の目で確かめないと気が済まないようだ」



おじさん、もとい鶴宮知明(ともあき)は、黙々と食事にとりかかる。



「そういえば、谷地さんのところと、軍の人間が小競り合いを起こしたそうですよ」



「へえ、お互い、優秀な能力者を引き入れようと必死だな」



「ええ。でも、その谷地さんから妙な話を聞きました」



「ん?」



鶴宮はスプーンを止めた。



「『社長』が目を付けた人間がいるそうです」



「……詳しく聞こうか」



夜は、まだ続く。

あれ、主人公は最近……?



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