第14話 裏の裏≠表?
上手くいけば、今夜もう一本投稿します!
深夜の校舎。
その屋上で、一人の人間が這いつくばって、ライトで周辺を照らしながら何かを探している。
ライトを地面と平行に滑らせていると、一ヶ所が反射で輝いた。その人物はそれに近づく。
それは、小型のカメラだった。
メモリーを内蔵したバッテリータイプで、録画は止まっている。
カード状の記憶媒体を取り出すと、踵で砕き割った。
◆◆◆
「小宮山先生、おはようございます」
早朝の、誰もいない職員室。
そこにいるのは、新米の教師二人。
小宮山は一人でコーヒーを飲んでいた。
「あれ、花田先生早いですね。着任してから一番じゃないですか?」
「たまには早起きも大事かと思って。小宮山先生はいつもこの時間ですよね。他の先生が言っていましたよ。『なんか来るのがやたら早い奴がいる』って」
小宮山は、よちよち歩きの子供を見ている気分になった。
「……学年主任のモノマネなら、もう少し、だみ声の方が近いですよ。努力は認めましょう」
「えー、そんなに似てないですかー?」
「申し訳ありませんが、お世辞にも」
「結構頑張ってるんだけどなあ……」
「生徒からの人気は、俺より上だからいいじゃないですか」
これだけ見れば、新米同士の初々しい会話である。
「えー、でも小宮山先生の方針は、生徒を軍や警察に行かせないことでしょう? だから、生徒にあんな態度をとってる。能力者は恐ろしいと、戦闘意欲をなくそうとしている」
「……はい?」
「国際能力者人権団体。あなたの本来の居場所はそこじゃないんですか? 元、日本軍諜報部第2局。本名不明の名無しの権兵衛さん?」
小宮山の表情は動かない。
「……どこでしくじったかなあ。一応、経歴は抹消して、顔も変えてるんですけどね。そこまで知ってるなんて、あなた、何者です?」
「言ったじゃないですかぁ。大人にはいろんな顔があるんですよぉ」
花田の口調はそのままだが、目は笑っていない。
「知らない人は怖いですか?」
「……と、言えたらまだ楽ですがね。日本軍人事部、特殊審議官の花田さん」
小宮山の言葉に、花田はぎょっとしたような表情を浮かべる。
「こう言っては失礼ですけど、殺気は隠した方がいい。ああ、あと昨日の茶番。全く同じフラッグを用意したらダメですよ。せめて色違いとかにして、選択の余地がないと。あれじゃあ、あんたに協力したうちの生徒が正解だって宣言してるみたいなもんです。両方失いたくないなら、もうちょっと頭ひねりましょうよ」
「……わたしの策に、あえて乗ったのでも?」
明るい口調から一転、背筋が凍るような恐ろしいものへと変貌する。
「そうですねえ。あなたからすれば、将来の戦力である西山や、事実上の敵対勢力の情報源になりうる俺がいなくなるのはまずかったんじゃないですか? だから、特例の人事権まで使った。もしくは」
小宮山はコーヒーを一気に飲み干す。
「屋上に隠しカメラ仕掛けてたのは、西山が言いつけを破って俺と交戦するかどうかを見るためでしょ? おたくら、即戦力には目がないから。もっとも、他の目的もあるかもしれませんが。あ、もしかしてカメラ、他にもありました? 俺がボロを出すとすればそこくらいしか心当たりがないし。でも、あんただったら、西山を授業で鍛えたほうが良かったんじゃないですか?」
饒舌になった小宮山を、花田は鬱陶しそうに睨み付ける。
「あんたには関係ないけど、今うちは」
「深刻な戦力不足でしょ? 3年前、《連合》レベルの二人が揃っていなくなったから。にしても、まさか本当に、『あの会社』相手に戦争でも起こす気ですか。今の軍は正気ですか?」
花田は諦めた様子でため息をつく。
「現時点で把握してるだけでも、《連合》レベルの能力者が4人もいる。おまけに、正体不明の能力者までいる。『あの会社』を野放しにしておくのは、危険すぎる」
「そうは言っても、今の軍や警察みたいな、能力者至上主義の連中の集まりを、あそこの社長は一番嫌っているはずですが」
が、小宮山の言葉は、花田の怒りに触れたようだった。
「あんたらだって、危険な能力者の立場を向上させようとしてるじゃない」
小宮山はわざとらしく否定のポーズをとると、
「俺らが目指すのはあくまで平等です。あんたらみたいに上から支配するのが目的じゃない。話はそれましたが、まさか今から準備しようとしてるんですか?」
「軍の上層部は、毎日その件で作戦を立ててる。だけど、横槍を入れる人がいる」
「横槍?」
「元々諜報部の参謀をやってた人なんだけど、他の人間が立案した作戦を片っ端から却下してるの。有名だけど、知らない?」
「ああ、鶴宮さん」
「なんだ、知ってたのか」
「あの人知らないって無理でしょう。見た目もあんなだし。とにかく、今回はお互い引きましょうよ。不必要な争いは、こっちとしても避けたいので」
「立場わかってます? こっちはいつでも用意できてますよ?」
「……俺にもしものことがあれば、うちの代表も黙ってませんよ?」
目に見える動きはない。しかしお互い、感覚を研ぎ澄まして相手を警戒している。
「……分かりました。この件に関してはお互い胸の内にしまいましょう。でも、私の邪魔はしないでくださいね?」
花田はいつものような笑顔に戻ると、鞄を置いて仕事に取りかかる。
小宮山は、服の内ポケットの中で《通話中》になっていた電話を無言で切る。
――お互い、上司への連絡を忘れない辺りは似た者同士である。
いやあ、どうなるんでしょうか?
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