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カップ麺と呼ばれた男 ~とある能力者の成長物語~  作者: 岡部雷
どんな人にも、認めたくない事実がある。
13/60

第13話 盗人は貧しいから盗人なのではなく、盗むから盗人なのである。

「結局、なんか西山の暴走と、花田先生の遊びにつき合わされただけだよな。そもそも、俺くたくたになるほど追いかけられたけど、それだけだし」



一番最初に冷静になったのは真田だった。



「話は最後まで聞けよ」



「……なんかごめん」



頭が冷えると、ただ馬鹿をやっただけだった。



「でも、美咲って男子よりかっこいいかも。行動力とか」



女子の一人がそんなことを言う。



「でしょ!?」



「でも、結構周り見えなくなるタイプ?」



上げて落とすとはこのことよ。



◆◆◆



帰り道、後ろから真田が追いかけてきた。

なんだか焦っている。

そして辺りに人がいないことを確認すると、声を潜めて



「おまえ、この学校どう思う?」



「どうって?」



「さっき、職員室に行く途中で、年寄りの先生とすれ違ったんだ」



忘れかけていたが、彼の能力は《知覚強化》。五感を鋭くする異能である。



「香水キツイなと思ったら、火薬の臭いが混じってた。科学の教師でもないのに、そんな臭いがするっておかしくないか?」



「火薬、ねェ……」



「俺、ここに来る前に、実は噂を聞いたんだ」



「どんな?」



真田は、より一層声を落として



「この学校、まともな教職員が()()()()()()って話。全員が身分を隠して、自分の本来の所属組織に生徒引き入れるためにいるって」



まさか。と思ったが、花田先生の言葉が脳裏をよぎる。



「『いろんな顔』って、そういう意味か? ああ、実は俺も気になることがあった」



「え、おまえも?」



「ああ。さっきの茶番レース。花田先生が用意したのは全く同じものだ。でも、小宮山先生は屋上に来てすぐ、『そういうことか』って言って片方持って行ったんだ。正解なわけないのに」



あれは、どっちを選んでもダメだったのだ。

なのに、あのときの顔は何かを確信していた。



「あのときの先生はちょっとおかしかったな。それから急に態度も変わったし」



たった二日。だけど、あの先生の態度の変化はどう見ても不自然だ。



「……下手に詮索するとどうなるか分からねえ。とりあえず今日は寮に戻ろう。おとなしくしてれば、大丈夫だろ」



「でもさ、優哉。俺たちってある意味閉じ込められてるよな?」



広大な土地に住んでいるから意識はしなかったが、真田の言う通り、ここは巨大な閉鎖空間だ。

そこにいる、正体不明の大人たち。



「俺らに何が起こっても、外には漏れないってことじゃね?」



「どうした? おまえそんなにヘタレだったっけ?」



クラスのリーダーとしてのイメージが固まりつつあったのに、今の彼はその片鱗すらない。



「……俺の祖父ちゃん、事故死ってことになってるけど、ほんとは殺されてるんだ」



いきなり重い話になった。



「軍の機密を公表しようとしたって。でも、それが今どこにあるか分からないし、警察もグルだったから、ただの事故死で処理された」



真田は拳を握りしめ、



「でも、死に顔見て思ったよ。あんな無念そうな顔は初めて見た。だから、俺はいつか祖父ちゃんの残した資料を見つける。そのためにここまで来た。能力があるって分かったときは嬉しかったよ。でも――」



強い意志が、根元から折れているように見えた。





「ああ、弱いなって」






「今日の授業で思ったよ。その上、あの噂も思い出しちまった。俺って、敵のど真ん中にいるんだなって思い知らされた」



逃げられない籠の中の鳥になった気分なのだろうか。



「手伝う」



気付けば、口に出していた。



「おまえの祖父ちゃんの無念、一緒に晴らしてやるよ。俺のことは気にするな。家族なんて、ここに来るときに捨ててきた」

明日は昼ごろに投稿します!

大人はどんな顔をしているのでしょうね……



毎日投稿します!

面白いと思ったり、続きが気になるなぁと思ってもらえたら、モチベーションのためと思ってブクマ登録よろしくお願いします!

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