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カップ麺と呼ばれた男 ~とある能力者の成長物語~  作者: 岡部雷
どんな人にも、認めたくない事実がある。
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第11話 先手は大体敗北フラグ。

「ではこれより、勝負を始めます。わたしが合図を出したら、二人は屋上まで移動してそこにあるフラッグを取ってここに戻ってきてください。ただし、速度で勝負するのは公平性に欠けるので、ルールを追加しました」



花田は説明を続ける。



「屋上には、2本のフラッグがあります。見た目は全く同じ。ただし1つだけ、正解があります。それを持ってきた方の勝ちです。持って帰ってこれるのは1本だけ。両者がゴールしてから、正解を発表します。なお、能力の使用は問題ありませんが、相手を妨害するのはダメです」



対戦する二人が頷く。



「そして、屋上でフラッグの取り合いを防ぐため、榎本くんに監視をお願いしています」



「ちょっと花田先生、あいつが裏切って二人で俺に襲いかかってきたら?」



「それは問題ありません。今、わたしの携帯に屋上からテレビ電話で映像をつないでもらっています。人を使って撮影するのは、死角を作らないためです。そして、その映像はわたしが監視します。これで公平でしょう?」



納得したのか、小宮山は黙ってスタート位置に着く。



「位置について、よーい、ドン!!」



◆◆◆



携帯で様子を見ていた俺は、思わず柵に近寄った。


下からものすごい勢いで、西山が壁を登ってくる。

ロッククライミングの要領で、窓のふちに手をひっかけているのだ。能力で加速している。

なるほど、一直線に進めないなら、一直線に進める道を見つければいいということか。


階段を使って上に進む先生よりもはるかに早く、屋上に到達した。

ルール上はあくまで「移動」なので、西山の行為はルール違反には当たらない。



「よし! 榎本、フラッグは!?」



俺は一ヶ所を指さす。

黒い2本の旗が、並べて配置されている。



「で、どっちが正解!?」



しかし。



「……すまん」



「え?」



「俺にも、どっちが正解か分からない。そもそも、俺監視されてるから答え知ってても言えないし」



西山は不明瞭な叫び声と共に、2本とも持っていこうとする。



「ダメだよ。持っていけるのは一本だけだ。まだ先生が来るまで時間があるから、その間にゆっくり選んで」



西山はこれでもかと目を見開いて、視線を右往左往させる。



「触った感触も、重さも同じだ。さっき確認した」



「じゃあどうすんの!?」



「こればっかりは賭けるしかない。そろそろ先生来るぞ?」



言い終わる前に、扉が開いた。



「……そういうことか」



小宮山先生は1本のフラッグを躊躇なく掴む。

そのまま元来た道を戻っていく。



「ちょ、なんであいつ迷いなくあっちを持ってったの!?」



「俺に聞かれても分かんねえよ!」



もしあれが正解なら、西山の退学が確定してしまう。



「とにかく、これ持って戻れ! まだ決まってない!」



泣き出しそうな西山に、残りを握らせる。



◆◆◆



「はいはいおかえり~。さて、二人とも約束のものは持ってきたかな?」



屋上に残った俺は、無効の映像を見ていた。

両者がフラッグを花田に差し出す。

花田はそれをじっくりと見聞する。



「ふん……」



そして、フラッグを地面に置く。



「はい。決まりました」



全員が、固唾を飲んで見守る。



「この勝負、勝者は――――」



急に映像と音声が切れた。



え、ここで終わり?

さてさて、勝負の行方は……?



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