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第74話 馬鹿のプライド

 ウロボロスが放ったビームが僕たちのすぐ後ろの地面を吹き飛ばす。

 カエラが後方を振り向いて、僕の髪を引っ張った。

「来てるわよ!」

「分かってるよ!」

 僕はフェアリーホースに指示を出して右に旋回した。

 しかし、ウロボロスの方も僕たちの動きに慣れてきたのか特に戸惑った様子もなく僕たちを追って来る。

 このままでは捕まる。それは明白であった。

「カエラ」

 意を決して、僕は肩の上のカエラに言った。

「僕から離れて! 君だけでも安全な場所に行くんだ!」

「正気なの!? 貴方」

 カエラは目を丸くして僕の顔を覗き込んだ。

「一人でこの状況を何とかできると思ってるの!? もしそうだとしたら貴方は大馬鹿よ!」

「そうだよ、僕は馬鹿だ!」

 閃光が僕のすぐ右側を貫いて地面に突き刺さる。

 巻き上がる土砂の波を突っ切って、僕は左に曲がった。

「馬鹿だけど、みんなを守りたいって気持ちだけは誰にも負けない! 僕は、エルやメネと同じくらいに君のことも大事なんだ!」

「悪いけど、お断りよ」

 カエラは首を振った。

「私は貴方がやることを見届けるようにヴォドエルに命令されてるの。危険なことくらい、とっくに承知してるわよ。だから最後の瞬間まで貴方と一緒にいるわ」

 ──僕には、それがカエラの思いやりであることがすぐに分かった。

 彼女は、僕を最後まで守ると言ってくれているのだ。

 僕は笑った。

「僕を馬鹿だって言ったけど、君も大概じゃないか」

「そうね。此処には馬鹿しかいないんでしょうね。きっと」

 肩を竦めるカエラ。

「でも、馬鹿には馬鹿なりのプライドがあるわ」

「そうだね」

 僕は頷いて、表情を引き締めた。

「それなら……逃げるよ! エルが来るまで、時間を稼ぐ!」

 反転して、ウロボロスの鼻先めがけて突っ込んでいく。

 ウロボロスが口を開く。その上すれすれを飛び越えて、ウロボロスの背面に回った。

 そこに迫ってくるウロボロスの尻尾。

 咄嗟に上に舞い上がり、上に避ける。

 そこに、光の鎖のようなものが現れた。

 鎖はフェアリーホースに絡み付き、足と羽を縛り上げた!

「……これ以上時間を稼がせるわけにはいきません。動きを封じさせてもらいますよ」

 微笑み顔のまま、冷たく告げるラファニエル。

 動きを封じられたフェアリーホースが僕を乗せたまま落下する。

 地面に落ち、僕はフェアリーホースの背から投げ出された。

 打ち付けた全身が痛い。思わず咳き込む僕。

 そこに迫り来るウロボロスの顔。

 ウロボロスは僕を咥えて、宙高く頭を持ち上げた。

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