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第60話 ラファニエルの真意

 しゅーっと音を鳴らしながら、蛇──ウロボロスが口を大きく開く。

 その穴倉のように見える喉の奥から閃光が生じて、それはビームのように僕たちめがけて飛んできた。

 ウロボロスの前から飛び退くメネとエル。

 僕はレッドに乗って、慌てて宙に舞い上がった。

 閃光が辺りの木々を吹き飛ばす。木っ端が舞い上がり、僕の足にびしびしと当たった。

 あ……危なかった……

 僕はウロボロスから距離を置いた。

 眼下では、エルがウロボロスを真っ向から見据えて構えを取っている。

 その手に、光り輝く大きな剣が出現した。

「お前、覚えがある。お前はかつて私と戦い、この世界に落とされた蛇」

 エルには、卵に戻る前の記憶があるのか。

 ならば、誰が説明しなくてもあれが邪神だということを理解してるはず。

 エルは剣先をウロボロスに突きつけた。

「お前は目覚めてはいけない存在。だからもう一度、眠れ。全ての命のために」

 そのまま剣を構えて、ウロボロスに突っ込んでいく!

 エルを脅威と認識したのかウロボロスの目がエルを捉える。

 咬み付こうと口を開いて頭を擡げて、


 ぱきぃん!


 エルとウロボロスとの間に、巨大なガラス板のようなものが生まれて両者の動きを阻んだ。

 エルは板の前で立ち止まり、ウロボロスはエルを見下ろして音を鳴らしている。

「……!?」

「お待ちなさい。戦うことは私が許しません」

 睨み合う両者を諌めるように、静かな声が戦場に割って入ってきた。

 ウロボロスの横──木々の間から。

 見覚えのある姿が歩み出てきて、ウロボロスの横に立った。

 それを見たメネが声を上げる。

「ラファニエル!」

 そう。エルとウロボロスの戦いを仲裁したのは、ラファニエルだった。

 彼女はエルをじっと見つめると、困ったように眉を顰めた。

「貴女は……創造神様のエルですね。何故貴女のような存在が此処にいるのかは分かりませんが、この子と戦うなどといった愚かなことはやめなさい」

 次に彼女は僕とメネに目を向けて、溜め息をついた。

「樹良さん、メネ……貴方たちが創造神様のエルを育てたのですね。本当に……余計なことをしてくれました」

 エルを育てたことが……余計なこと?

 ラファニエルは何を言っているのだろう。

 ラファニエルは右手をさっと振った。

 すると、エルとウロボロスの接触を阻んでいた板がすっと消え去った。

 さっきエルたちの戦いを邪魔したのは、ラファニエルだったのだ。

 ラファニエルはウロボロスを愛おしそうに見つめて、そっとウロボロスの体に手を触れた。

「この子は、私にとって欠かすことのできない大切なパーツなのです」

「ラファニエル、何を言ってるの!? そいつはこの世界を滅ぼす邪神なんだよ!」

 メネの言葉にラファニエルはにこりと笑って、答えた。

「世界を滅ぼした破壊の力が、私にはどうしても必要なのですよ」

 彼女はそう言って宙に舞い上がり、ウロボロスの頭の上に移動した。

 眼下の僕たちを見つめて、右手を前に翳す。

 それに応えるようにウロボロスがしゅーっと大きく鳴く。

 すると、強烈な風の塊が殴りつけるように僕たちに向かって襲いかかってきた。

 僕たちは弾き飛ばされて森の中を転がった。

 視界から、ウロボロスとラファニエルの姿が消えていく。そんな中、ラファニエルの声がはっきりと聞こえてきた。


「樹良さん、メネ……この子を蘇らせてくれてありがとう。貴方たちのお陰で、私の悲願がようやく叶います。その御礼に、此処で貴方たちに手を下すことは見送ってあげましょう」

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