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第50話 ただひとつの希望

 エルたちに御飯をあげて家に戻った僕は、部屋の掃除をしているメネにカエラから聞いた話を話した。

 僕の話を聞いていたメネの表情が、どんどん強張っていく。

 邪神のことは、メネも知っていたようだ。

「……そんな。『蛇』が蘇るなんて」

「メネも、邪神がこの世界に封じられていることを知ってたの?」

「神界に住んでる神や妖精は皆知ってるよ! 『蛇』が封印されたのは三十年前のことだもの!」

 三十年前……結構最近のことだったんだね。

 メネはその辺をあたふたと飛び回った後、ラファニエルに伝えなきゃと言って何処かへと行ってしまった。

 部屋に残された僕は、椅子に座って指南書を開いた。

 何気なくぱらぱらとページを捲るが、見ている内容は頭の中にまでは入ってこなかった。

 邪神が復活したら、せっかくここまで蘇ったこの世界がまた目茶苦茶にされてしまう……

 何とか、邪神を蘇らせないでこの世界を再生する方法はないのだろうか。

 僕がぼんやりと考えていると、背後に誰かの気配を感じた。

 振り返ると、そこには小首を傾げたアラキエルが立っていた。

「今、メネが凄い顔して飛んでったんだが、何かあったのか?」

「……アラキエル」

 邪神のことをよく知っているだろう神たちの意見は聞いておきたい。

 僕は、邪神のことを彼女に話した。

 アラキエルが、僕の話を聞くにつれてその表情を神妙なものへと変えていく。

 話が終わると、ふうむと顎に手を当てて唸った。

「下界に封じた『蛇』が下界の再生と共に目覚める……か。そんなからくりになってたなんてな」

「何とか邪神を蘇らせずに済む方法はないでしょうか?」

「そんなもん、あったらこっちが聞きたいぜ。……ったく、ヴォドエルの奴もそれならそうだと何で俺たちに言わなかったんだろな。てめぇだけで事を解決しようとするからこんなことになるんだよ」

 流石の神々も、邪神の復活を阻止する方法は知らない……か。

 視線を伏せる僕に、アラキエルは腕を組みながら言った。

「『蛇』の目覚めを止める方法はないかもしれねぇが……『蛇』に対抗できる方法ならひとつだけあるぜ」

 人差し指を立てて、彼女は口の端に僅かな笑みを浮かべた。

「創造神様のエルの力を借りるのさ」

「……創造神様の、エル?」

 創造神様のエル……って、何か凄そうな響きだね。

 ああ、とアラキエルは頷いた。

「『蛇』と戦って『蛇』を下界に追い落とし、神界を救った全てのエルの頂点に立つエルさ」

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