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第48話 世界に眠る秘密

「ライトー。アロアー。メナティー。御飯だよー」

 荷車を引っ張りながら牧場に到着した僕はエルたちを呼ぶ。

 幾分もせずにこちらに近寄ってきたエルたちの前に、僕は台車から降ろした神果を山盛りに積んであげた。

 ばくばくと凄い勢いで神果を食べる皆を眺めながら、僕は家に置いてある神果のストックのことを考えていた。

 牧場を一回りしたら在庫は底をついちゃうから、そうなったら畑に行かなくちゃ。

 美味しそうに神果を食べる皆のことは見ていたいけど、僕にもやらなければならない仕事がある。

 次の牧場に移動しようと荷車を押そうとした、その時。

 遠くからこちらに向かって飛んでくる黒い小さなものの存在を見つけて、僕は手を止めた。

「……カエラ」

「…………」

 幾度となく僕たちの牧場作りの邪魔をしてきた黒い妖精は、口を真一文字に結んでエルたちのことを静かに見つめていた。

 まさか、エルたちの食事まで邪魔するつもりなんだろうか。

「……また邪魔をしに来たの?」

 僕がそう尋ねると、カエラは小さく首を振って答えた。

「もう、邪魔する意味はないもの」

 どうやら、彼女は邪魔をしに来たわけではないらしい。

 僕は彼女の全身を見つめた。

 破壊魔法でぼろぼろになった服や羽は、すっかり元に戻っている。

 ヴォドエルが治療したのかどうかは分からないが、結構生命力強いんだな。妖精ってか弱いイメージがあったから、意外だ。

「……あんなにぼろぼろだったのに、すっかり治ったんだね」

「残念ね、私が死ななくて」

「そういう意味で言ったつもりはないよ」

 ふん、と横を向くカエラに、僕は苦笑しながら言った。

「この世に滅びていいものなんてないんだよ。それは世界だって、君だって一緒さ」

「……貴方って本当に甘いわね。そんな性格でよく今までを生きてこられたものだわ」

 カエラは腕を組むと、僕の顔をじっと見つめてきた。

「……ねえ。貴方」

「何?」

「貴方は本当に、何も知らないでこの世界を蘇らせようとしてるわけ? ラファニエルは、何も言ってなかったの?」

 何も知らないで……って、どういう意味だろう。

 僕がこの世界について知っていることといえば、この世界は精霊がいなくなったせいで滅びを迎えたということと、この世界を救うためには精霊を生んでくれるエルをたくさん育てなければならないということくらいだ。

 ラファニエルもそう言っていたし、それがこの世界の真実なんだろうと思う。

「君は、何を知ってるの?」

「……本当に無知なのね。呆れたわ」

 カエラは溜め息をついた。

 前髪をくしゃりと掻き上げて、続ける。

「いいわ。教えてあげる」

 彼女は僕の目の前まで飛んでくると、空に目を向けた。

「この世界には、ある神が眠っている。それは絶対に起こしてはならない、神ならぬ神と言われているものよ」

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