第44話 火と水の力を秘めたエル
一日経って。僕とメネは、再び休息地へと足を運んだ。
レッドとリヴァは、すっかり仲良くなった様子で二匹並んでラガオの木の根元にいた。
卵は、産まれていた。
湖にある小島、そこに祀られているように置かれていた。
赤と青がマーブル模様のように混ざり合った不思議な色の卵だ。
これは……どっちの属性のエルなんだろう。
「火と水の力を持ったエルだね」
卵を見たメネは、卵に手を触れて優しく撫でた。
「エルの中には、複数の力を持つものもいるの。交配で産まれたエルにはよくあることなんだ」
「へぇ」
親の属性を継いだエルか。何か特別って感じがするね。
僕は早速卵を家に持ち帰り、生命の揺り籠に置いた。
そういえば、この子は火と水、どっちの牧場に連れて行けばいいんだろう? 新しく牧場を作らないといけないのかな?
メネに尋ねると、彼女からはどっちでもいいよという答えが返ってきた。
何でも、複数の属性の力を持つエルは、どちらの牧場でも住むことができるらしい。
新しい牧場を作る必要はないんだね。安心したよ。
生まれたら、早速牧場に連れて行こう。
親子で仲良く暮らしてほしいなって思う。
「……見て、キラ」
メネが窓の外を指差した。
空が、暗くなりかけていた。今まで赤一色だったのが臙脂色に変化して、大地に闇を落とし始めている。
「やっと、空が元に戻り始めてきたね。光の精霊と闇の精霊が増えてきた証拠だよ」
この空の様子なら明日になったら朝が来るだろう、と彼女は言っていた。
遂に、空が元通りに復活し始めたのか。ずっと赤くて変化がなかった空だから、やっとまともな世界の姿が見られたみたいで嬉しいよ。
「……遂にここまで来たんだね」
彼女は感慨深げに呟いた。
「色々あったけど……世界をここまで元に戻すことができて、メネは嬉しいよ」
本当に、色々あった。
牧場作りを邪魔されたり、メネと喧嘩したり。
それでも、諦めないで牧場作りを続けたお陰でここまで来ることができた。
世界が復活したら、胸を張って、神界の神たちに見せてやろう。この世界に住む人たちに会いに行こう。
この世界もまだまだ捨てたものじゃないって、教えてあげるんだ。
「ラファニエル、何て言うかなぁ。この世界を見てもらうのが楽しみだね」
「そうだね」
僕は頷いて、夜になるまで外の様子を静かに見守っていた。




