第43話 命の繋がり
ラガオの木の根元。そこで、メネとレッドは待っていた。
僕たちの到着を歓迎しているかのように、風が吹いてラガオの木の枝葉がざあっと揺れる。
僕はリヴァの体を優しくぽんと叩いて、レッドの元にリヴァを送り出してやった。
リヴァはゆっくりとレッドに近寄って、顔を近付けた。
どうやら、リヴァはレッドに興味を示しているようだ。
レッドも同じように、リヴァに顔を近付けてすんすんと相手の匂いを嗅いでいる。
「互いに興味があるみたいだね」
二匹を見つめながら、メネが言った。
「これなら、大丈夫だと思うよ。きっと仲良くなれる」
彼女は僕の右肩に降り立って、僕の頬にそっと左手を触れた。
「後はエルたちの好きなようにさせてあげよう。メネたちはもう戻ろう?」
「うん」
僕とメネは、レッドたちの傍から離れて家に戻った。
椅子に座り、指南書を開く。
その横で、メネがお茶の準備を始めた。
「早ければ明日には、卵が産まれると思うよ。また明日、見に行こうね」
「ねえ、思ったんだけど」
僕は指南書から目を離して、メネに視線を向けた。
「エルの卵ってどうやって産まれるの? エルって性別ないんでしょ?」
指南書によると、エルには性別が存在しないらしい。
だから、疑問なのだ。卵って普通は雌から産まれるものだから、性別のないエルがどうやって卵を産むのかなって。
「それは、分からないなぁ。メネもエルの卵が産まれるところは見たことないから」
ティーカップを僕の前に置きながら、メネが小首を傾げた。
「休息地でずっと見ていれば見られるかもしれないけど、メネたちがいたらエルたちも落ち着かないだろうしね。気にはなるけど、気にしないようにしてあげよう?」
「……そうだね」
僕は頷いた。
僕が抱く疑問は、牧場作りには関係のないことだ。そういうものだと思って、気にしないことにしよう。
きっとそれが、牧場にとっては一番なのだ。
早ければ明日、卵が産まれる。
その卵から生まれるエルはレッドとリヴァ、どっちと同じ姿をしているのか、それとも全く別の姿をしたエルが生まれるのか、気になるところだ。
「はい、お茶入ったよー」
「ありがとう、メネ」
僕は指南書をテーブルに置いて、メネが淹れてくれたお茶に口を付けた。
休憩が終わったら畑に行って神果を収穫して、種蒔きだ。
まだまだ、一日の仕事は終わらない。
エルたちのために、頑張ろう。うん。




