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第17話 女神仲間のアラキエル

 まるでアラビアンナイトの世界から抜け出てきた姫君のような装束を身に着けたその女性は、ポニーテールに結った赤毛を揺らしながら、僕のことをじっと見つめていた。

 何だか品定めをされているみたいだ。浴びせられる視線が鋭い。

「アラキエル」

 女性を見てメネが声を上げる。

 アラキエル……って、メネが言ってたラファニエルと仲良しの神様か?

 何か、想像していたのと随分違うな。古き神々っていうから皆ラファニエルみたいにおしとやかな姿をしているものだと思ってたのに、彼女は随分と快活そうである。

 神殿でゆったりと過ごすよりも外を自由に動き回っているような、そんな雰囲気だ。

「ラファニエルに聞いてはいたけど、本当に異世界人にこの世界の再生をやらせようとはな。大きな賭けに出たもんだな」

「キラは絶対にこの世界を元通りにしてくれるよ! メネはそう信じてる」

「随分信頼してんだな。そんな有能そうな男には見えねぇけどな、俺には」

 アラキエルは肩を竦めた。

 僕、そんなに頼りなく見えるかな?

 まあ、周囲には同じ年頃の男子たちと比較したら何だかひ弱そうだって言われてたけどさ。

 メネはぷうっと頬を膨らませて、腰に手を当てながらアラキエルの顔の前に移動した。

「キラのことを悪く言わないで!」

「分かった分かった。悪かったって。ちょっと思っただけだ、そんな目くじら立てるなよ」

 アラキエルは後頭部に手をやって、髪をざあっと靡かせた。

 手が元通り前に来ると、その手には茶色の卵が。

「アースタートルの卵だ。こいつが必要なんだろ」

 僕の目の前まで来て、卵を手渡してくれる。

「あ……ありがとう」

 僕は卵を受け取った。

 アースタートルの卵は、レッドやメロンが生まれてきた卵と比較して殻が厚く硬そうな印象を受けた。

 こんなに殻が厚くて、中の赤ちゃんはきちんと殻を破って生まれてこれるのかな。ちょっと心配だ。

「アースタートルは他のエルよりも生まれるのに時間がかかる。早いとこ揺り籠に置いてやった方がいいぜ」

「う、うん」

 アラキエルに言われ、僕は生命の揺り籠に卵を置いた。

 レッドやメロンは揺り籠に卵を置いて大体一日で生まれてきたから、少なくともそれ以上はかかるってことか。

 時間がかかるのは別に構わない。生まれるのを待つ間に牧場作りをしたり、やることは色々あるからだ。

「キラ、っていったか」

 生命の揺り籠に置いた卵を見つめていると、背後からアラキエルが名を呼んできた。

 振り向くと、真面目な面持ちでこちらを見つめているアラキエルの姿が目に入った。

「俺たち神は下界に直接手を出しちゃならねぇって掟がある。この世界を救済するには、異世界から来た人間のお前に頼る以外に方法がねぇんだ。この世界のこと、宜しく頼んだぞ」

 神が直接世界に干渉できたなら、わざわざ異世界から僕みたいな人間を召喚する必要もなかっただろう。

 色々複雑な事情があるらしい。この世界にも、神様にも。

「もちろん、ただ救ってくれって言うつもりはねぇ。他の連中にも声を掛けて、できる範囲のことは協力してやるつもりだ。困ったことがあったら相談しろ、いいな」

「それならアラキエル、知ってたら教えてほしいんだけど──」

 メネが、カエラのことをアラキエルに話した。

 アラキエルは首をことりと傾けて、眉間に皺を寄せた。

「この世界の滅びを望んでる神、なぁ……俺の知ってる限りではそんな奴はいないけどな」

 しばし唸って考えた後、分かったと頷いた。

「一応分かる範囲で調べといてやるよ」

「宜しくね」

 カエラをけしかけているのが誰なのかが分かれば、神様たちの方で彼女を抑えてくれるかもしれない。

 まあ……相手もそんな簡単に尻尾を出さないだろうから、望みは薄いけれど。

「じゃあ、俺は帰るぜ。あまり長いこと下界にいると他の連中がうるさいからな」

 アラキエルはぴっと親指を立てて、笑った。

「いい牧場を作れよ! じゃあな」

 その姿が、光に包まれて消えていく。

 僕が瞬きをひとつした後には、彼女は完全にこの場から姿を消していた。

「アラキエルも期待してくれてる。頑張って牧場を大きくしていこうね」

「そうだね」

 メネの言葉に、僕は相槌を打った。

 この仕事には、ラファニエルやアラキエルだけじゃない、他の多くの神様の期待が寄せられているんだ。

 皆の期待に応えられるように、もっと色々勉強していい牧場が作れるように頑張ろう。

 とりあえず、今やるべきことは休息地作りだ。

「メネ、外に行こう。休息地を作らなきゃ」

 僕はメネに呼びかけて、外に向かった。

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