9話
結果姉にフルボッコされた後に試験は終了。
ヒルデ姉はどうやらR剣術スキル持ちらしく通常剣技だとNスキルしかないので勝てないんだよ。
一応両手持ちでも忍術スキルでは発動できるんだけどどうしても手数が少ない。
なにより違う技だとまた逆鱗に触れるのでこうやって素直に負けておきました。
試験後上機嫌な姉に連れられ俺、ドロシー、ミュゼの三人は学園の奥の方の部屋へ案内される。
ノックをしきれいな所作で受け答えをし入室する姉。猫かぶってやがる。
室内にはマッチョなおっさんが座っている。学園長室のはずなんだけど見る限り騎士団長のような風格だね。
「ミュウジィ様をお連れいたしました。」
優雅な一礼である。なんか今日はヒルデ姉の意外な一面ばかり見る。家ではぐーたら食いしん坊キャラなのに。別人なんじゃなかろうか?
「よくぞまいられたミュウジィ殿、そしてラウル殿、ドロシー殿も」
こちらも一礼する。こう見えても貴族の礼は習っているのだよ。一番ぎこちないけどな。
「こちらこそ、この度は私の我儘を聞き入れていただきありがとうございます。」
「いや、礼には及ばんよ。学びたいものを学ばせることこそ学園の存在意義だからな」
雲の上の話っぽいね。偽名で学園に来たのはやはり学園長采配のようだね。
「それで、校内の護衛だがこの主席生徒ヒルデ・シャロンに任せておる。わからんことは彼女に聞きたまえ」
「ミュウジィ様。ヒルデ・シャロンと申します。基本の護衛は私が統括いたします。そして授業中、平時の護衛として私の弟妹でありますラウル、ドロシーに任せますのでよろしくお願いいたします。」
「ちょ、ヒルデ姉!初耳なんだけど?」
遮るとヒルデ、ドロシー、ミュゼ三人とも不思議な顔をする。それも一瞬、ドロシーの表情が変わる。
「ドロシー?あなたラウルには説明してないの?」
「あはは・・・ ごめんなさい」
てへぺろしてやがる。どうやら元々そういう話だったらしい。道理で最初から王女と名乗ったわけだよ。
「一つお伺いしたいのですが。なぜ偽名まで使って?王族名乗って通うわけにいかないのですか?」
学園長に聞いてみる。
「うむ、深い意味はないらしい」
ないんかよ!吉本新喜劇なら全員どっひゃーって倒れるとこだ。
「お友達が欲しいんですの。私は継承権も回ってこないであろう三女ですしおそらく卒業と同時に公爵か他国王族に降嫁でしょうから、せめて学生時代くらいはと思いまして」
申し訳なさそうに言うミュゼ。ドロシーはその手をがっちりと掴み
「大丈夫よ!、私たちはもう友達でしょ!」
こういうのに弱いんだよねドロシーは。
まあしょうがない、ドロシーとヒルデ姉が絡んでいるなら逃げようがないもんね。
「そうですね。友人として、きっちり護衛をしましょう」
「ラウル、あなたは自重しなさいよ。王女様に手を出しちゃだめだからね」
しっかり決意表明した後にヒルデ姉からダメ出しが入る。こんなにモテない純朴な少年に向かって何て言い草だ。ドロシーもウンウン言わない!
やれやれ、のんびりとした学生生活は遠いかな。




