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【1日目】本番

お待たせしました。


世界は動いている。時間は止まらず絶えず、世界は常に動き続けている。




布団から出て体を起こし、部屋に立てかけてある姿見を見る。




「ああ、戻ったんだ」




身体中から力が沸いているような、前回とは全く違うレベルのマナの量。うまく行き過ぎるくらいの出来映えだ。自分の命を対価にしているんだからそれくらいはしてもらわないと困るが。





いつもの癖で10chのボタンを押し、音量を上げると、よく見知ったアナウンサーが目に映り、”以前にも聞いた”慌てた口調でニュースを報道している。




「世界中の人間に特殊な能力が宿っている事が判明しています。現在、能力者が確認されている国は…」




時間軸も以前と同じだ、僕は安心してテレビを消した。




ただ、失敗はある。元から期待していなかったことだけれど




――融合して一つになったが記憶は以前のまま。自分の名前すら思い出せない。




多分、この能力はオリジナルのものなんだろう、ただ圧倒的すぎるんじゃないか?あの黒い鳥も一人で倒せるレベルだ。


多分、初期状態じゃなくてあの時のオリジナルをそのまま受け継いだんだ。




そして、マナの色が変わっていた。全く違う。ガラスのような透明さとは全くの逆。真っ黒だ。これ以上ないくらいの黒。マナの特色が変化していると考えていいだろう。




「ステータス」




...出ない。何でだろう...あっ、魔王が現れてないから?




考え事に更けていると、下から朝食を取れと、急かす声が聞こえてきた。ほんの少しだけれど嬉しいよ、ひさしぶりに会える。




「おはよう」




「あんたいつまで寝てんのさ。ところで...テレビ見た?」




「うん、みた。なんかアメリカでも発症しているみたい。」




「ふーん、まあええけどそろそろ学校行かな遅刻するでー」




「はーい、あ、お母さん」




「なんよ。」




今回はきっと上手く行く。大丈夫。絶対に。




「これ持ってて、ちなみにお父さん帰ってきたら絶対に渡して。僕に姉がいるのならその人にも渡して。今日だけは絶対に手放さないで」




「はぁー?いきなりどうしたんよ、美沙ならもう学校行ったわよ。」




「いいから、約束。絶対に。行って来ます」




「へんなの」




今回だけは、絶対に上手く行かせる。




---


本当は今日は学校を休もうと思ったけれど、普段と違う行動をするのは避けた方がいいと思った。未来を知っているアドバンテージが無になるかもしれないからいつも通り行動させてもらう。




学校ではグラウンドで能力を使ったり、自慢しあってる生徒がいる。これも前と同じ。




ドアを開け、2Dの教室に






――入....れない。気持ちが悪い。クラスメイトの死体が脳裏に焼き付いてそれがフラッシュバックしてくる。





まさか...黒い鳥が中にいたらどうしよう。





いやいや、変なことを考えると本当に事象が書き換わってしまうかもしれない、落ち着け。何もない。なにも。





どれだけ意識をコントロールしても恐怖で足が動かない。どうなってる。


手が震えてる、視野が歪む、だんだん真っ白になってきて、僕は床に




「なにしてるんだ、早く教室に入れ」




「あ...ごめんなさい、入ります。」




後ろから先生が声をかけてくれてなかったら倒れていた。教室を開けると見慣れた光景が、そして中でも侑太だけは目立ちに目立ってた。




「遅刻かよー!!!」




「桐原はセーフだ、それよりお前の普段の遅刻をなんとかしろ。」




教室が笑いに包まれる...けど、今、ハッキリと僕の名字を....




「えー皆、テレビでも放送しているが世の中は大変なことになっている。そして重大発表がある。」




なんだよと面倒そうに話す生徒、なになにと興味津々な女子達。僕は、教室のドアだけを凝視していた。




少しして、金髪の男性が教室に入ってくる。背は180cmくらい、細身で柔らかい物腰だが全身赤色、そうクリス先生だ。




担任が言った。




「今日からこのクラスに入ってくださるクリス先生だ、アメリカからわざわざ来てくださった。




異能力について教えてくれるので皆、真剣に学ぶように。なお、今日から授業の変更がある。




毎曜日、午後の授業は全て異能力についての勉強、及び実技を行う事になった。」





先生が話をし終わった後、喜ぶ声が飛び交う。クリス先生を見て黄色い声を上げる女子生徒達、ああ、ここも全く同じ。




だけど僕には一つだけ確信があった。


黒い鳥の時、こいつだけ生き残っていた。そして、何かを知っている素振りだった。




 アメリカの支援機関からきたと言っているが、この能力は全人類が同時発症のはずだ。スタートラインは皆同じはず。だけど


僕やフィリアみたいに、”前持って知っていたかのように”彼は、彼等は行動している。


能力の強さにも差がある。木なんていう単調な能力なのに応用が出来過ぎている。




絶対に何か知っていると僕は踏んでいる。




「かなめー、何あいつを睨んでるんだ?嫉妬してんのかー?お前にしちゃ珍しいなー」




....侑太も相変わらずお喋りだな。




「おい、かなめ何無視してんだよ。反抗期か?」




「え?僕?」




「他に誰がいるんだよ。さては彼女と夜中まで」




ああ、そっか。僕かなめって名前なんだ。


かなめ。ね。ふーん、まあいいんじゃない?78点ってところかな。名字は桐原か。ふふっ。




「おい。無視どころか何笑ってんだ。」




「かなめくんはご機嫌ですから。」




「きもちわりー、さっさと授業の用意しようぜ」



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