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【2日目】僕だけの能力

目の前に石に対して僕は、顔を横に傾げて避ける。


握りこぶしほどある石が顔の側面を沿って通り過ぎていく……が、それだけで避けられる程、甘くはないはず。

相手はフィリアだ、きっと何かしてある。



後ろに振り向くと、通り過ぎて行ったUの字を描き、改めて僕に向かってくる。


石はフィリアの能力で操作されているようでこのままでは永延と避け続けることになる…



「マナ…使えますように」


神に祈るようにして僕は身体強化を始める。

小指の先からかかと、順に上半身に巡るように確実に細胞一つ一つを活性化させる。

白い粒子が体からふわりと小さなシャボン玉のように空に舞い上がっている。


まだ完全に体に馴染んでおらず、慣れない力を使ったため疲労感が体に出てくる。

そうしている間にも石は迫って来ている。



が、動体視力が明らかに上がっている。僕はかなりの速度で襲ってくる石を左手でキャッチし握りつぶそうとする。








「私の事、忘れてない?」



声と共に、後頭部に衝撃が走る。

一瞬、目元が狂い、平衡感覚を失うがすぐに立て直し、右腕を伸ばして腰の回転と共に振り向く。裏拳。



フィリアはしゃがんで、攻撃をやり過ごし、そのままの体制で右足で僕の足を払って来た……気がした。




『直感』




僕のマナの能力だ。第六感を強化する。明確な身体強化ではないし、五感の向上でもないが、僕だけの力だ。



「あたりませーん」


馬鹿にするような声と共に僕はジャンプすると、


案の定、彼女は僕の足を払いに来て転かそうとしに来た。

一旦間を取り、僕は彼女に話しかける。



「頭殴ったとき操作しなかったの?それで勝負は終わってた気がするけど」



「命を持つものを操るのはものすごく疲れるわ。それに長時間触れていないと操れない。」


フィリアは話している間も隙を見せない。『木』で足元を掴んでやろうと思ったが、瞬きすらせず僕から目を離さない。

模擬戦だと言うのに本当に命をかけて戦っている雰囲気である。

だけど、僕だってただ質問したくて話しかけた訳じゃないんだ。



隙は無くとも僕は、返答と共に攻撃を吹っ掛ける。

僕がスタックしている能力は『木』『火』『操作』の3つである。この中のどれを使うか、迷うが僕は既に決めている。



「そっか、ありがとう。じゃあ、お返し」



右足で地面に落ちている石を蹴る、蹴ったフィリアが操って飛ばしてきた石だ。

こっそり発動していた『操作』でそのまま彼女に打ち返してやろうと思った。

フィリアを倒すのに使うのは、『操作』だけ。それだけで勝ちたい…出来れば…うん…。



ちなみに彼女のマナの色は赤色である。つまり身体強化、今の僕の動きよりも何倍も軽やかにそして力強く動ける。



当然のように僕が操作して飛ばした石を軽々とキャッチし、それを地面に投げ捨て、こっちを見て笑顔を見せる。


僕の考えが、お前を操作で倒してやるという挑発が伝わったようだ。本気で怒ってるぞあいつ。


彼女は全力で走り始め、僕との距離を詰めようとする。

『赤色』は伊達じゃなく、短距離走の世界記録なんて簡単に超えている速度だ。



だけど、止められるのは想定内。僕には僕のやり方がある。



フィリアが元いた場所にある石が急に動き始める。



僕が『操作』で与えたのは、フィリアに向かって飛んでいく事ともう一つ。

僕に向かって『戻ってくる』指示を与えた。



さらに僕は、ポケットに入っていた懐中時計を投げつける。

フィリアはそれをまた右手で掴もうとする、けれどそれは悪手だ。




後ろから飛んできた石がフィリアの後頭部の直撃する。

ひるんだ隙に僕は『木』の能力で地面から枝を生やし彼女の足を固定する。

操作しか使わないと言ったな?あれは嘘だ。勝てばよかろうなのだ。


「懐中時計は操作してないのさ。枝を剥がされる前に終わらせるよ、『火』を発動」



僕の左手を右手に浮かび上がる炎の玉。墓地に居る火の玉のように怪しく光を放っている。

右手の彼女の顔の前に出し、決着の言葉をかける。



「服を燃やしまーす。嫌だったら降参してくれる?3秒数えるよ。いーち」


ゲス顔で彼女と顔を合わせながら火を服に近づける。男には男の勝ち方があるんですよ?



3をカウントしようとした時、足元に根付いた枝を剥がすのを止めて

歯を食いしばりながら彼女は答える。



「まいった。わたしのまけでいいです」



プライドがあるのか、「いいです」という上から目線の敗北宣言。かわいいなぁ。


僕は全ての能力を解き、一息つく。と、思いっきり頭を殴られる。



「クズ。最低。変態。」


「勝てばいいのです。でも、ごめんなさい。」


「…でも負けは負け。それに…優しいのね」


「なんのことかな。」



僕が後頭部にぶつけた石は丸石だ。後遺症が残らないようにそこまで速度は出していなかったことを言っているのか

礼を言われる。


闘いにして数分。だが、余裕の顔をしながらも疲労感は最高潮。3つの能力を使った上に同時使用もしていたから仕方ない。

集中が途切れ、今更になり肌が空から降る熱を感じる。

僕は地面に座り込むと、一言こう言った。




「水ください。」


「はいはい、ちょっと休憩ね」

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