8,心の奥
水曜日。
なんだかんだで3日連続サトシと電話してる。
サトシとは色んな会話をする。ホントくだらない話とかも。
しかも意外と気が合う。
『きのこの山』と『たけのこの里』なら『きのこ』だよね!っていうのとか。
(大抵の人は『絶対たけのこだよー』って言うんだ(T_T))
「サキは明日授業あるの?」
「明日ってか毎日あるよー。明日は1限と3限だけ。」
「うわ。嫌な時間割りだな。休みだったらデートしようと思ったのに―。」
デート!?冗談混じりって分かってるけどドキッとしてしまう。
「えっ?サトシ明日休みなの?」
「そう。いいだろー。」
「良いなぁー。そんなに休みあるなら医学部も4年制にすれば良いのに。」
「いやいや、授業大変だから。」
そうなんだ…。
「明日、3時以降は?授業終わったらヒマだよ。」
「残念ながら5時からバイトー。明後日遊ぶのにそんなに俺に会いたいの?笑」
「そっちが先に『デートしよ』って言ったんでしょ!?」
「あはは。」
「サトシってさぁ、付き合った事無いくせに結構口ウマいよねー。」
「ちょっと、年齢=彼女居ない歴は結構悩んでるんだからあんまり言うなって。もしかして掴まれちゃったの?オンナゴコロ。」
「残念ながらぜんぜーん(笑)」
……ホントはそうかもしれません…。
「なんだぁ―。そうそう、明後日6時に渋谷で良い?」
「うん。分かった。じゃあまたね。」
「毎日誰と電話してんの―?」
電話を切ると同時に背後から声がした。
「お姉ちゃん!まだ起きてたの?」
「明日の授業の指導案書いてたの。アンタ、ユータくんが忘れらんないとか言いつつもう彼氏出来たの?」
「そんなんじゃないって!」
「『そんなん』って事は電話の相手はオトコかぁ〜。ユータくんはもう吹っ切れたの?」
うっ…やっぱお姉ちゃんは痛いトコロを突いてくる。
「この人に会って、だいぶ前向きになれたけど、そんな数日じゃキモチ変わらないよ。」
心の奥にはまだユータが居る。
「ま、次に進めそうなんでしょ?焦らずに行けば気づいたらユータくんの事なんて思い出さなくなるわよ。」
「うん…。」
本当にそんな日が来るのかな?
サトシは私の事どう思ってるのかな?
私はサトシの事すっごく身近に感じてるけど、出会ってからまだ一週間も経って無いんだ…。
この一週間でサトシに気持ちが向き始めてるのは確かだ。
でも、今イチバン好きな人はユータってのは変わらない…。