7,電話
家に帰ってからずっとケータイとにらめっこしてる。
午後11時。やっとリビングに居るのが私だけになった。
サトシに電話掛けたかったけど部屋にはお姉ちゃんが居るからリビングで掛ける事にした。
ちょっと緊張するけど早く話したい。そんな気持ちだ。
大きく深呼吸して通話ボタンを押した。
『プルルル…』
『プルルル…』
で…出ない。
一気に気が抜ける。
『♪♭♯♪♭♯〜』
着メロが鳴る。慌てて出た。
『もしもし〜サキ?』
「そうだけど違ったらどうすんの?」
サトシは私の番号を知らないはずだし…。
「サキから来ると思ってたから。待ってたし。」
『ドキ。』心臓の鼓動を感じる。
「てかあの番号の教え方は無いよ―。周りに見られてたし。」
「あの時レポートやらなきゃで急いでたんだよ。まあいいじゃん。」
「メール何で嫌いなの?」
「別にキライじゃないよ〜。」
「えっ?メール嫌いって言ったじゃん。」
「それはサキに電話してもらいたかったから。声聞きたいじゃん。」
「ねぇ…何かキャラ違くない?」
饒舌すぎる。
「あは。さっきまで飲んでたんだよー。」
「だいぶ酔ってない?」
「別にー2杯しか飲んで無いしー。」
「ちょっと、人の事言えないじゃん。」
「そんな事よりさ、いつ行く?焼肉。」
ホントに行くんだ。気持ちが高まる。
「いつでも大丈夫だけど…出来たら金曜か土曜が良いな。」
「じゃあ今週の金曜ね。一日でも早く会いたいし。次の日休みだしウチに泊まってきなよ。」
ちょっと、なんだか大胆な事言ってない…?反応に困る。
「…分かった。じゃあ金曜ね。」
「また今度詳しく決めよ。明日電話するから。」
そう言って電話を切った。
なんか…ドキドキが止まらない。っていうか切った後の方がドキドキが早くなってる。
サトシ、本気で言ってるのかな?
それとも酔ってるから?
今の電話の事覚えてるかな?
『明日電話するから』
サトシが好きなのかまだ分からない。
でも話してて楽しいのは確か。
サトシの事もっと知りたいって思った。